今回のライブはアルバム『The Black Halo』再現と謳っていて、カーン様のConception~Kamelotというキャリアの中でもたぶん一、二の人気あるアルバムと思います。改めて聞いてみて思ったのは、すごく聞きやすい音像だなーということ。これも当時はあまり意識できていなかったのだけど、ギターやドラムの鋭角的な音をシンセパッドで包んで丸めている。全体に映画サントラみたいな趣あります。
このアプローチ、ある時期からのBlind Gurdianとかにも通じる気がするんですよね。ギターの刻み、リフのドラマによる物語が後景化して、背景になっている。Blind Gurdianで言えば『Imaginations from the Other Side』辺りが分岐点、生々しさと作り込みの幸福な結婚が成立した時期だったのではないかしら(プロデューサーはフレミング・ラスムッセン、Metallicaの『Master of Puppets』で有名な方ですね)。
ANGRAは『Rebirth』、Kamelotは『Karma』が双璧という意見を読んで、これ自分も同感です。今回のライブは『Temple of Shadows』と『Black Halo』が主題に掲げられていますが。その直前時期こそ、あくまでストレートなメロディと装飾性が完全一体した充実期だったのではないかしらと。その後のANGRAもKamelotも複雑化、映画音楽的ドラマ構築へ傾倒していった印象があります。
今回のツアー、過去のアルバム『Black Halo』中心のセットリストですが、こういう企画増えていますよね。特定の世代を狙い撃ちにすると言うか。それこそ「離婚したおじさん向けロック」の記事ありましたが、ジャンルは違えどその延長にある話なのかもしれない。でもねえ、結局は中身ちゃいますか。企画意図がなんであれ、披露される内容に意味が宿るわけで。少なくとも今夜のライブを後ろ向きとは思わなかったですよ。燃え尽き症候群で音楽から一度は身を引いたカーン様がステージに舞い戻り、"Center of the Universe"を歌う。満座の拍手を浴びて。美しい瞬間でしたよ。