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ロイ・カーン様の来日にかこつけて。映画サントラ化するメタル、ドラマの担い手は誰なのか?という与太話

Ascension (1995 - 1998)

はじめに

  • お財布事情的にライブエンタメに行くのは月に一回ぐらいと決めていて、11月はEdu Falaschi/Roy Khanの合同ライブを見に行く予定です。予習用にアルバムを聞き直していて、思ったことをツラツラと書いてみます。基本的に素人の後付け与太ですよ!と予め断っておきますが、メタルにおけるドラマの担い手は誰なのか、それは……という話です。

ドラマの担い手の差異について

  • 今回のライブ、わたくしの目当ては一も二もなくロイ・カーン様で、若い頃の彼氏はちょっとナルシスティックで過剰に演劇的な所作・歌唱を含めて、それはもうイイ男だったのよ……。今は禿頭の僧侶みたいって、彼は確か本当に宗教関係の道へ進んだ人なんですよね。
  • 今回のライブはアルバム『The Black Halo』再現と謳っていて、カーン様のConception~Kamelotというキャリアの中でもたぶん一、二の人気あるアルバムと思います。改めて聞いてみて思ったのは、すごく聞きやすい音像だなーということ。これも当時はあまり意識できていなかったのだけど、ギターやドラムの鋭角的な音をシンセパッドで包んで丸めている。全体に映画サントラみたいな趣あります。
  • これドラマの大部分は楽器群よりSEや音響が担っている感じもします。つまり実はインスト隊による官能性(ギターの生々しい刻みとか、ドラムを叩いたときの肉感とか)は若干薄くも感じます。良い悪いではなく、好みの問題ですが、自分個人としてはもうちょい生っぽい音造り、あと演奏が全面に出る方が好きですね。カーン様の始点となったバンド、Conceptionはもっと楽器隊がドラマの主役と感じます。
  • Conceptionにとって不幸だった気がするのは、当時の彼等はパワーメタルの文脈で評価されていた気がするんですよね。故にスロウダウン、曲が複雑化していくことが歓迎されなかった、という印象あります。しかしいったんの解散前のアルバム『Flow』とか今聞くとゴシックメタル→叙情派プログに移行した後期Anathemaとかにも通じるようなアプローチに感じます。2000年代プログメタル勢の引き算的進化の先駆けとも言えるんじゃないかなあ。ここら辺、もっかい再評価されて欲しいです。
  • Conceptionの名ギタリスト、トゥーレ・オストビーさんは後に、ヨルン・ランデ(Vo)、ジョン・マカルーソ(Ds)、ランディ・コーヴェン(Ba)、マッツ・オラウソン(Key)という凄腕過ぎるメンツと組んでARKというプログメタルのプロジェクトを発表しています。これ2ndは特に名盤と思います。アル・ディ・メオラを尊敬するトゥーレさんらしくフラメンコ風味の曲もあり。

演奏と音響の綱引き

  • 脇道それましたが、つまり中期以降のKamelotは劇的なんだけど、ドラマの主体は演奏そのものにあまり依存していない、音響の作り込みに寄っている。バンドの意向はもちろん、サシャ・ピートのプロデュースに拠る部分も大きいのかも。
  • (これあくまで音源での話なので、もちろんライブでは異なってくるとは思います)
  • このアプローチ、ある時期からのBlind Gurdianとかにも通じる気がするんですよね。ギターの刻み、リフのドラマによる物語が後景化して、背景になっている。Blind Gurdianで言えば『Imaginations from the Other Side』辺りが分岐点、生々しさと作り込みの幸福な結婚が成立した時期だったのではないかしら(プロデューサーはフレミング・ラスムッセン、Metallicaの『Master of Puppets』で有名な方ですね)。
  • 次の『Nightfall in Middle-Earth』以降は、壮大なコーラスやオーケストレーションが主役になっていって、ギターの刃はどんどん背景へ引っ込んでしまったと感じます(現時点の最新作『The God Machine』では敢えて過去の荒々しさを取り戻そうという意思を感じますが)。
  • もうすこし話を拡げるとシンフォ、ゴシック勢のNightwishやEpica、Within Temptation辺りも類似したアプローチと感じます。
  • 近年のDimmu Borgirとかもそうですね、もはやブラックメタルよりシンフォ系と言える音作り。
  • 皮肉に感じるのは再結成後のConceptionも解散前に比してDAW(音楽制作ソフト)の進化による副作用か、ギターの鋭角さが薄れていて、リフワークのドラマが薄く聞こえるんですよね……。結果的に過去のような演奏によるスリルは感じ辛い。うーん。
  • もちろん、別系統のアプローチはあって。プログメタル系列でもLeprousやHaken、あるいはPersefoneなんかは今でもリフや演奏がドラマを司っていると感じます。
  • 上記いずれのバンドも手法、結果的な音像はだいぶ異なるんですね。ゴシック、ブラック、シンフォ、プログといったメタルのサブジャンルの区分けより音作りの志向にバンドの思想が現れる気がします……というまーそれは当たり前と言えば当たり前の話ではあります。

ドラマの遷移と後続の揺り戻し

  • ANGRAは『Rebirth』、Kamelotは『Karma』が双璧という意見を読んで、これ自分も同感です。今回のライブは『Temple of Shadows』と『Black Halo』が主題に掲げられていますが。その直前時期こそ、あくまでストレートなメロディと装飾性が完全一体した充実期だったのではないかしらと。その後のANGRAもKamelotも複雑化、映画音楽的ドラマ構築へ傾倒していった印象があります。
  • DragonForce等はそのカウンターと言うか、ある種のシリアスさを投げ捨てて、メタルが持つ音の快楽のみを突き詰めていったバンドという認識です。先達が重厚長大化すると、後続がもっかい衝動的、快楽的な音に戻そうぜ!という先祖帰りが起きると言いいますか。
  • 最近だとVictoriusとか、そのさらに過激化、という感じでしょうか。

いったんのまとめ

  • いずれにしろロイ・カーン様を日本で生で拝める機会はそうそうないので、きっちり予習してライブに臨もうと思います。果てしない欲を言えば、Conceptionとしても来てくれないかなあ……。

実際のライブ体験について

  • 以降、ライブ前~当日も含めて記録を再編集してみました。

ライブ前のあれこれ

  • 家に怪しい封筒が投函されていて、なにこれとビビりながら封を開けたら11月のEdu Falaschi/Roy Khanの合同ライブのチケットでした、うわわーい。間違えて捨てたりしなくて良かったぜ……。
  • 前も書いたけど、家族の健康とか、将来を考えると、こんな呑気に遊び歩いていられる時間も限られるのかも、という気持ちあり。行けるうちに行っておこうとも思います。あと一番はお財布との相談だけどなー。
  • 明日はついに行ってくるぜー。ライブを楽しみ、目標に、毎日のあれやこれを乗り越え頑張って来た、というのは体のいい嘘で、実際はやり過ごして何とか辿り着いたというのが真相に近いです。こうした振る舞いを人生のドーピングと呼んでいて、薬が切れないように次のイベントが何かないかと徘徊、ライブ予約を繰り返すという……退嬰的だなあ。

ライブ当日、まずは何はなくともカーン様

  • 11/22、新宿ReNYにてEdu Falaschi/Roy Khanのライブ行ってきました。新宿西口B2出口すぐと調べておきながら、何故か新宿三丁目で降りてしまい、慌てて走って汗だくで現地到着。何をしているんだ……。
  • 前座にIllusion Forceというバンドの出演あり。初見だったのでなんも知らんかったのですが途中のMCにて、今日のVoは前任者で、それというもの新Voがインフルエンザに罹患し出演中止になりました。前任Voはお別れツアーもこないだやったのですが、今日急遽声かけて登壇してもらいましたと。腰くだけな話で周囲も爆笑、和やかなムードになってオモロかったです。
  • 前座終了、いよいよマイアイドル、ロイ・カーン様を拝める時が来ました。緊張してきた……。
  • ライブ終了しました。凄すぎてメロメロになりましたよ……んあー!
  • 前方どセンターに位置することが出来、かなり視界良好。カーン様の一挙手一投足、歌唱を目と耳に焼き付けてきました。バックの演奏些かデカ過ぎて聞き辛い瞬間ありも、低音の響きが記憶と違わぬ艶やかさ。そうカーン様の歌とアクションはセクシーなんですよね。時に蹲り、あるいは仁王立ち、手を震わせ苦悶の表情を浮かべて芝居をするように歌う。あるいは楽隊を率いて鼓舞するように拳を突き上げる。演劇的所作の数々。固有結界とでも言いたくなるよな独自の世界観を生み出し、舞台と観客を掌握する。稀代の歌手であり表現者やと改めて思いました。
  • 楯の会の制服みたいなキメキメのお召し物も相変わらずでうっとり。カーン様、相当ナルシストだと思うんだけど、この歳になってもサマになってるんだから凄いです。禿頭の僧侶みたいとか書いたやつ誰だ。
  • Wingerの時も思ったけど、歳取ってもカッコいいってのは、ほんとカッコいいよね……(トートロジー)。
  • カーン様、張り詰めた曲中と違い、曲間は笑顔で終始機嫌よさそうでした。MCではDuolingoで覚えたという謎の日本語「カッコいい弁護士です」を発声。明日もやるかも……hahaha。
  • セトリは伏せますが、音源で女性コーラスありの曲では、ゲストVoもありでライブ再現。この出演も知らなかったので驚きでした。なんですが、カーン様と見つめ合って歌うので嫉妬しましたね……(どういう目線なんだ)。
  • ヘヴィメタルというジャンルの喜び、楽しさは色々あるけれど、その中で自分が好きな昏さ故の官能性、リリシズムを具現化、人の姿をとっているのがカーン様とその歌唱かもしれん……とすら思いましたね(大袈裟、アルコール摂取で字義通り酔っています)
  • 今回のツアー、過去のアルバム『Black Halo』中心のセットリストですが、こういう企画増えていますよね。特定の世代を狙い撃ちにすると言うか。それこそ「離婚したおじさん向けロック」の記事ありましたが、ジャンルは違えどその延長にある話なのかもしれない。でもねえ、結局は中身ちゃいますか。企画意図がなんであれ、披露される内容に意味が宿るわけで。少なくとも今夜のライブを後ろ向きとは思わなかったですよ。燃え尽き症候群で音楽から一度は身を引いたカーン様がステージに舞い戻り、"Center of the Universe"を歌う。満座の拍手を浴びて。美しい瞬間でしたよ。
  • 前段であれこれ書いておきながら、ドラマを担っているのは誰かって、そんなもんロイ・カーン様だよ!という話です。
  • 欲を言えばあの曲もこの曲も、それこそConception時代も聞きたいところでしたが、まーそれはもしかしたらあるかもしれないと期待を胸に。

エドゥさんにも感謝

  • カーン様で些か盛り上がり過ぎた感あり、エドゥさんの時は自分、若干反応緩慢になっていたかも……失礼しました。
  • ナルシス漂うカーン様に比べるとエドゥさんは気の良いあんちゃんという佇まい。ブラジルで有名な曲なんだ!というMCから『ペガサス幻想』(聖闘士星矢のOPだよ)のカバー披露あり。hahaha。
  • しかし『Rebirth』アルバムから表題曲を歌った時に、今更思ったのが、カーン様に劣らずエドゥさんも大変なキャリアで、喉痛めて歌えなくなってたんだよなと。それが文字通りRebirthしてこのステージ立ってるわけですよ。あなたがいなければ自分が日本でカーン様見る僥倖にも恵まれていないわけで。アリガトウゴザイマシタ。
  • 演奏陣はタイトそのもので音源かと疑うよなブレイクの正確さ。特にカーン様のステージも含めてぶっ通しで叩いたドラマー氏、パワフルすぎません?これまた前段であれこれ書いたことを吹き飛ばすような生の迫力でした。
  • 自分はカーン様目当てで行きましたが、お釣りが来るような内容でしたよ。大阪公演行ける方はぜひ行ったってください。

ライブ映像

  • こちらはサンパウロでのライブ映像。カーン様の独特の歌唱、芝居がかったアクションが堪能できると思います。

おわりに

  • 開場から含めると都合4~5時間ぐらい立たちっぱなし、いいオッサンなので脚より腰が痛い……明日が休みでよかったです。
  • 11月は、虹ヶ咲の映画とこのライブを楽しみに生きてきた、正確には仕事をやり過ごしてきたので、お祭りが終わってしまった気分。これからどうしよう……(どうもしない、歯食いしばって働きましょう)。



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