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現代ラブコメ雑考。『着せ恋』『青春ブタ野郎』『放浪息子』『スキップとローファー』他。本当は倫理よりビジュアルが好悪の核にあるのでは……それはそう。

その着せ替え人形は恋をする TVアニメ公式ファンブック 喜多川海夢しか勝たん

はじめに

  • 幾つかのラブコメ作品を見たり読んだり、感じたことをツラツラと書いてみました。れいによって色々話が飛びますが、基本的には可愛いと興奮するよねー、でもそれでいいのか、ううう、俺は豚野郎だ……みたいな話です。

最近のアニメ凄いですね、という話

  • TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』2期1話を見たのですが、演出キレキレでびびってたじろぎました。
  • カラオケ館で鳴り響く歌と五条君のモノローグがクロスしていき最後に爆発する辺りとか。冒頭の学校の階段踊り場のカットも凝りまくった構図で、しかもそれが静止画だけでなく3Dみたいにグリグリ動くのだから仰天。
  • 1期って漫画を丁寧にアニメ化する、という方向でもちろん良作だったけれど、受け手の信頼を獲得した今、ブーストかましてやってやるぜという気合を感じます。全編このトーン、クオリティでいけるか分かりませんが、期待しても良いと思いました。
  • 青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』のアニメ1話も見ました。
  • こちらは『着せ恋』のアッパーさとは対照的に落ち着いたトーンながら、やはり演出が冴えていて。ああこれは人が意図を持って作っているのだ、というアニメの人工的であるが故の快楽があり。映像より先に音が聞こえる、電車のチャイム音が被さってカット切り替わる辺りがバッチリきまっていて気持ちええーとなりました。
  • 最近のアニメのクオリティって改めて凄いですね……。

『着せ恋』のめちゃくちゃ可愛い問題

  • 『その着せ替え人形は恋をする』2期アニメ、引き続き見ていて、基本的におもしれー、エロいー、かわいーという気持ちです(バカ)。
    • その着せ替え人形は恋をする 14巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
  • 漫画原作も最新巻以外は読んでいるぐらいには好きなのですが、こうして改めてアニメ化されると、気になることもあります。概ね、この漫画は、いまを肯定すると言うか、ひとのありようや好きは色々やん、という話でそれは好ましいものと思っています。
  • ちょうど2期アニメの序盤でも女装男子コスプレイヤーが登場して、「そんな気持ち悪いことやめて!」という誰かの言葉より、自分自身を肯定しようと宣言します。ええ話ですやん?しかしこんなの言わずもがなのヤーボなのですが、彼はたいへん可愛いんですよ。
  • 視聴者のおいらが、この話を気持ちよく見ることが出来るのは、彼がごっつい可愛いからなんですよ。これは逃げたくなるけど自分にとっては事実だと思う。つまり自己肯定とか本当はどうでも良くて(ひどい)、ただ見た目が麗しいからホクホクして見ているだけという。

可愛ければ良いのか?『放浪息子』について

  • そう考えると、志村貴子先生の『放浪息子』はやはり凄いと思います。
    • 放浪息子 (1) (BEAM COMIX)
  • あれは最初、二鳥クンというめちゃくちゃ可愛い男の子が女装する話として立ち上がり、読者のおいらはブヒブヒ読んでいました。おなじく女装する友人のマコちゃんはあまり可愛くない。そしてマコちゃんは、そのことを自覚して「二鳥クンはずるい!」という感情を持つ。ここまでだって十分な深堀りだと思います。
  • ただこれでさえ、コロコロしたデザイン含めて、いやいやマコちゃんだって可愛いよ!という逃げ道はありました。この漫画は更にアクセルを踏み込み、中年のおっさんだって女装したいという話が出てくる。いやそれ自体は良いんですよ。
  • でも、最初に二鳥クンの女装ブヒブヒとか読んでいたおいらの喉元には刃が突き立てられる。おまえ二鳥クンは全面OKで、マコちゃんはまあ良いんじゃないですかで済ませたけど、おっさんはどう思うんやと。結局ルックで快、不快を決めていただけちゃうんかと。
  • こんな漫画を描く、深ーく潜る志村貴子先生はマジ凄い、凄いと思いますが、潜り過ぎだよ!酸素足りないよ苦しい!という気持ちも正直あります……。
  • 繰り返しになってしまうけれど、自分が楽しんでいられるのは結局のところ、倫理的正しさとか大噓で、見た目、ビジュアルのおかげに過ぎないのでは、という話ですね。これはまーフィクションに限らずナマモノのアイドル、いやアイドルに限らず板の上で行われるエンタメ全般に感じることだったりします。
  • それこそ自分の守備範囲のプロレス/格闘技観戦とかもそう。自分はだいたい顔で応援する選手決めています。強い弱いとか二の次かもしれない(おれだけ?)
  • いやベつに顔で決めてもいいんですよ、ぶっちゃけそんなもん。ただまあ理屈ではなく顔で見てる、ビジュアルが好悪の感情の核にあるよね、ぐらいの意識はしておきたい、という話でした。

余談

美醜を超える祈り、『スキップとローファー』について

  • 美醜を扱った作品という連想ゲームを進めてみます。先日、新幹線で帰省したのですが、移動中はだいたいタブレットで漫画読んでいました。『スキップとローファー』11巻まで。
    • スキップとローファー(1) (アフタヌーンKC)
  • 生まれや育ちの違う、およそ同心円が重なることない人間同士が時間をかけて仲良くなっていく。現実には稀なことだからこそ、フィクションで描かれるそれは「祈り」であり、ご多分に漏れず自分も大好きな話です。もーねー、女子四人組見てるだけでポカポカするんじゃー。
  • しかしこの漫画、楽しいほっこりするだけでは終わりません。巻を重ねるにつれ解像度を上げ、一見は水平、穏やかに見える関係性に潜む「やだみ」が描かれます。
  • 志村貴子先生の諸作品『淡島百景』とかにも通じる、何もそこまで深く潜らなくても……とビビってたじろぐ部分もあり。
  • 特に美醜がもたらす好悪や対応の差、そこから生じるモヤモヤをまーきっちり描きますよね……。例えば地味キャラのマコっちゃんが頑張ってオシャレして、しかし自分は美人な友人の結月とは違う、可愛くない、性愛の対象として認識されていないと自覚する下りとか。
  • これはストーリー部分だけでなく、絵の部分もそうで、各キャラクターの可愛い/可愛くないをちゃんと目鼻のパーツを変えて描き分けています。「みつみに比してふみちゃんは普通に美人で、故に普通にモテる」と言われて、確かにそうだよ、そうなんだよ……。
  • でもこの漫画は良いな、好きだなと思うのは世の中そんなもん、で終わらない。差異を超えて手を結ぶことが出来たらどんなに良いだろうという「祈り」があるところ。マコっちゃんが自分の内側にある結月への嫉妬を自覚して、それでも新クラスに馴染めない彼女を助けたいと思う。プリンを差し入れして、二人が互いの気持ちを打ち明ける場面は何度読んでも胸が熱くなります。
  • ただまあ「こんなんねえ、都会の進学校だから成り立つ話だよ!」という指摘、郊外でヤンキーに囲まれ暴力に怯えて思春期を過ごしたわたくしも、まーそれはその通りと思う部分もあります。相互理解とかねえから、この世は荒野で唯一野望を実行に移す者のみがこの荒野を制することが出来るのだという世界もある。確実にある。
  • でも出来ればそうじゃない世界線の方がええよね……こんな高校だったら良かったのにとも思う(どないやねん)。
  • あと彼女彼等のように賢くありたかった……。作中一番のアホアホマンはたぶん山田と思いますが、彼は愛すべきアホで、きちんと他人に優しく出来る。自分はと言えば、ヤンキーに怯える一方、違う場面ではズルしてばかりでした。特に部活をサボってめちゃくちゃ迷惑をかけ、不興を買ったことを(スキップとローファーをまとめ読みしたことで)思い出しましたよ……。
  • まーそんな自分語りはどうでも良い、ほんと良い漫画!と改めて思いました。アニメ二期も楽しみです。

追記、12巻の救済について

  • 12巻も読みました。このところ、当初の主人公だったみつみちゃんの話が後景化して、男性キャラ志摩くんの葛藤の話がメインになっています。これ、最初から想定していたラインではなく、書いていくうちに付け足し膨らんだものなのかも(いや想像なので、本当のところは分からないですけどね)。
    • スキップとローファー(12) (アフタヌーンKC)
  • でも別にそれが悪いとは全く思っていなくて。優れたフィクションは、お約束や自明としていた設定を、物語が進む中でもう一度、作者が問い直した時に深化する、と書いていた方がいて。ひょうひょうとして掴み所なく見えた志摩くんの内面に降りていく、現在の展開もまさにそれと思います。
  • ただ過去の芸能の揉め事、母親との関係。いずれも悪人はいなかったという話で、これを肩透かしと思う人もいるかもしんまい。
  • でもねえ、上述したように『スキップとローファー』はお花畑のハッピー物語ではなく、美醜や欲望、葛藤に向きあった上で、こうあれかしという願いを描いていると思うので、やはり立派な漫画だよとわたくしは思うのです。特に今回のお話、家族関係のところはリアルな自分の過去と現状にも照射される気がして、あーもーなんも言えねえ、という気分になりました。
  • こんなこと書いた後に台無しにすること言うと、みつみちゃんと志摩くんは最終的にくっ付かない方がフィクションとしては美しいのではと思っています。その方が特別なものを見た気がする、と思いたい自分の欲望でもあるhahaha。
  • 一度振られた男性くんが、女性に相応しい人間になりたい、成長して再度相まみえたいと願う展開は、ある意味で『500日のサマー』みたいな失恋成長譚になってません?と言われてこれは確かに。最強無敵キャラに見えた志摩くんがそのポジションになっているのが独特で面白いですよね。

雑談、現代ラブコメのありようあれこれ

以下はこう言った話に関係するかもしれない喫茶店トークの雑多なまとめです。

正ヒロイン確定方式について

  • 青春ブタ野郎』シリーズの、主人公はモテるが正ヒロインが早い段階で確定している形式、『ソードアート・オンライン』とか『化物語』にも通じるものありますよね、という話。
    • 【Amazon.co.jp限定】青春ブタ野郎はサンタクロースの夢をみない 全巻購入セット(1巻購入メーカー特典:描き下ろしB3クリアポスター・イベント参加応募券付)(全巻購入メーカー特典:描き下ろし全巻収納BOX付)(全巻購入オリジナル特典:描き下ろしA5キャラファイングラフ付)(完全生産限定版) [Blu-ray]
  • 根拠のない連想で、これ泣きゲー由来なのではないかしら。主人公が複数ヒロインの問題やトラウマを解決していく気持ち良さ。その場合、主人公はハーレム満喫ではなく、毎回一人一人と向き合う、ある程度の誠実さが求められる。ただゲームは毎回分岐するので、N人のヒロイン攻略しても良いけれど、ライトノベルやアニメの多くは線形の展開になるので、全員と付き合ってしまうと「誠実さ」という徳目が失われてしまう。そこで正ヒロインが早い段階で確定する方式が採用されたのではないか……という与太です。
  • これなら「誠実さ」という武器は手放さず、サブヒロインにはモテまくる、でも交際はしない。僕にはもう正ヒロインがいるからゴメンよ……という気持ち良さも獲得できる。やったね!という。
  • お前らどんだけ気持ちよくなりたいねん、と言われたら、それはまあ、はい。

男性キャラのホスピタリティについて

  • 『着せ恋』の五条くんは家事全般できて特に料理は得意。あれで戦闘できたらFate/stay night衛宮士郎になる、という意見を読んでこれは確かに。
  • 宮崎駿御大は美少女に家を掃除してもらう、というシチュエーションを好んで描いた(『名探偵ホームズ』の「ミセス・ハドソン人質事件」の回とか、脚本は片渕須直さんですけどね)けれど、逆転しているわけですね。
  • エロゲー発なのにホスピタリティ高いダーリンでもある衛宮くん凄くない?それ言うと『空の境界』の黒桐幹也とか、ネットミームで褒められた言葉じゃないけど、ほぼ「理解のある彼くん」に相当しているのでは。エキセントリックな主人公を健気にフォローし続ける。更に言えば『Fate/Prototype』は地味なメガネっ子のわたしに騎士様が舞い降りる話とも言えます。
  • Fate等の作者である奈須きのこさんは菊地秀行とか笠井潔『ヴァンパイヤー戦争』の影響受けたと公言しています。しかし90年代伝奇小説って、ぶっちゃけスーパーマッチョ、ハードボイルドだど!な世界観だったわけで。心性的には大藪晴彦とか勝目梓の諸作に近い。よくそこから上述のような感性の男性キャラクター設定を生み出したよなー。大袈裟ですが、ある種の巫女的な能力ではないか、とすら思います。

エロの主体、まなざしについて

  • 『着せ恋』のエロの主体は基本的に女性主人公の喜多川さんにある。男性の五条くんはエロいコスプレをガンガンかましてくる喜多川さんに翻弄される。これは気持ちいい……。
  • いやつまり、ラッキーすけべとか風呂覗くとかもう古典過ぎてしんどいわけですよ。そこでエロの主体が女性側にある、ということにして男性キャラは形式上は翻弄される、でも視聴者の俺たちロボダッチはエロいもの拝めるので有難う、ありがとうという気持ち。
  • 『僕の心のヤバイやつ』もそういう構造あるのでは。女性ヒロイン、山田さんが無意識に男性の市川くんを性的にも翻弄してしまう。いわばオネショタもの的な楽しさ。
    • 僕の心のヤバイやつ 11 (少年チャンピオン・コミックス)
  • 一応まじめな振りをすると、色々な角度で楽しめるようになっているのが現代のラブコメという気はします。『2.5次元の誘惑』とかも、完全に男性目線のエロコメとして始まりながら、回を重ねるとヒロイン間の連帯こそが肝になってくる。
    • 2.5次元の誘惑 1 (ジャンプコミックス)
  • 『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』という漫画あって、自分はウヒウヒ読んでいるのだけれど、上記に比べると古い形式のラブコメで、視点があまり変動しない気はします。別にそれは悪いわけではない、主人公主体の物語でしか味わえない栄養もあるので。
    • すべての人類を破壊する。それらは再生できない。 (1) (角川コミックス・エース)
  • さっきから相当気持ち悪い話してない?まあ、なにを今更。というわけで、おしまい。



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