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貸金業該当性に関するノーアクションレター・グレーゾーン回答の読み方

貸金業該当性は、決済・信用を専門とする弁護士同士でディスカッションしても混乱するところだなあと思ったので整理してみました。実務の先端は佐野先生の『デジタル金融法務』の第5章(を前提にした個別判断)だと思いますが、まずは金融庁の判断事例を対象にします。

 

貸金業の定義規定の読み方

  • 貸金業法2条1項本文において、貸金業は、「①(a)金銭の貸付け又は(b)金銭の貸借の媒介②(a)手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は(b)当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うもの」と定義されている(ただし書きについては省略)。
  • このうち、媒介(①(b)、②(b))はそれなりに見通しがよくなっているので、本記事では扱わない。貸金業法2条1項本文で「貸付け」とされているもののうち、媒介を除いたものを、ここでは「貸付け(狭義)」と呼ぶことにする。
  • 貸付け(狭義)は、①(a)「金銭の貸付け」と②(a)「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付」からなる。
  • ①(a)「金銭の貸付け」とは、金銭消費貸借契約、すなわち金銭の交付と返還の約束をいう(第193回国会衆議院財務金融委員会第15号(平成29年4月25日)遠藤俊英政府参考人答弁第198回国会参議院予算委員会第13号(平成31年3月25日)栗田照久政府参考人答弁)。
  • 一方、②(a)「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付」とは、形式的には金銭消費貸借契約に当たらないが、経済的にこれと同様の機能を有する方法によってする金銭の交付をいう(平成30年12月20日グレーゾーン回答令和6年5月15日グレーゾーン回答)。
  • ①(a)と②(a)を比較すると、両者の違いは、返還合意の有無だということが分かる(金銭の交付がなされることは共通である)。そして、近時のグレーゾーン回答や最高裁判例で行われている経済的機能の判断は、返還合意に代わるものとして、②(a)でのみ要求されるものである。したがって、金銭の交付の相手方との間で返還合意がなされている場合には、経済的機能の検討は必要ない。
    • なお、金銭消費貸借契約は、合意に基づいて第三者に対し金銭を交付する場合にも成立するから、このような場合も、経済的機能の検討は必要ない。

 

ノーアクションレター・グレーゾーン回答の読み方

  • 経済的機能に関するノーアクションレター・グレーゾーン回答は、2系統に分けられる。
    • 貸金業該当性に関するノーアクションレター・グレーゾーン回答には、他に、①グループ内貸付け・JV貸付けに関するもの(その一部は平成26年、平成28年の貸金業法施行令改正により明文化された)、②貸金業者の背後の資金提供者に関するもの(貸付型ファンドのLP等)、③媒介に関するものが含まれているが、これらは経済的機能に関するものではないことに留意して読む必要がある。
  • 第1は、立替払いに関するものである。平成30年12月20日グレーゾーン回答(給与前払いサービス・非該当)、令和元年12月25日グレーゾーン回答(医療費立替払いサービス・非該当)、令和4年11月2日ノーアクションレター(金銭債務の支払い代行サービス・該当)、令和6年5月15日グレーゾーン回答(給与支払代行サービス・非該当)がこれに該当する。
    • この類型では、「当該立替えが相手方に対する資金融通(信用供与)を目的として行われるものか否か」が問題とされる(令和元年12月25日グレーゾーン回答)。
    • 貸付実行判断の有無、特に手数料が信用リスクに応じて定まるどうかは、立替えに固有の考慮要素である。
      • 金銭債務の支払い代行サービス事案では、特に理由を示すことなく貸金業該当性が認められているが、手数料が金額に比例していたことが決定的であったと思われる(当該サービスの手数料には、送金の対価の側面と与信の対価の側面が併存していたが、前者は金額には比例しないので、その少なくとも大部分が後者とみなされた)。一方、給与前払いサービス事案では、ユーザー企業が金額に比例する手数料の支払い方が選択できたが、同時に、「申請件数×固定金額(数百円)」の支払い方も選択でき、合理的なユーザー企業を前提とすれば、前者は利用額が少額であるユーザー企業向けのディスカウントにすぎなかった(言い換えれば、照会者は与信によって収益を得ることはできなかった)ことから、貸金業該当性が否定されたものと思われる。
    • なお、上記の文書群には、貸付けの実行判断というフレーズを使っているものがあるが、立替払い類型では「判断」をしているかは本質的ではなく(機械的であるにせよどこかで判断なされている。その上で、貸付けファンドの事例群ではどこで判断がなされているかが重要であり、その意味でこのフレーズに意味があったが、立替払いのケースではそうではない)、本来的にはこのフレーズは使うべきでなかったのかもしれない。
  • 第2に、売買に関するものである。平成24年9月14日ノーアクションレター(リースバック取引・非該当)、令和2年3月5日法令解釈照会回答(給与ファクタリング・該当)がこれに該当する。
    • この類型では、真正な売買かが問題とされる平成24年9月14日ノーアクションレター参照。真正な売買でない場合、売買目的物は担保とみなされることになる)。真正売買の考慮要素について一般論を示した文書はないが、さしあたり、法令による制約、当事者の意思が重要であり、後者については、さらに、譲渡の外形、解約・買戻請求の可否、対価的均衡等が考慮されると考えられる。
    • リースバック取引事案では前者がないことを前提に、後者を諸要素に照らして検討した結果、真正売買が認められ、給与ファクタリング事案では労基法24条という法令の制約が債権譲渡の妨げとなり、真正売買が否定されたといえる。
  • なお、第3の類型として、販売信用がある。ノーアクションレター・グレーゾーン回答はないが、販売信用は、金銭消費貸借契約と同様の機能を有するものとはみなされない。
    • 販売信用であれば金銭消費貸借契約と同様の機能を有しないとされることの根拠については、上記のとおり、明快な説明がなされているわけではない。一般的な実務家は、「販売信用は商取引を目的としており、信用供与それ自体を目的としていない」と説明するものと思われるが、商取引目的と信用供与目的は非両立の関係にはなく、前者があることをもって後者を否定することはできないと思われる。むしろ、割販法と貸金業法が並立している現状では、立法者自身が(その合理性はともかく)商取引と金融取引の二分論を採用しているから、販売信用には貸金業法の適用はない、と説明するほかないのではないかと思われる(商取引・金融取引の性質論を放棄ないし棚上げし、立法者意思に焦点を当てるということである)。

 

なお、金融審議会決済WGでの事務局説明によると、近く貸金業室が本記事に引用したようなノーアクションレター・グレーゾーン回答等で示してきた貸金業該当性の判断枠組みをまとめたガイドラインのようなものを公表する方向で検討しているようです。




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