
目次
はじめに
ブランドソリューション開発本部FAANS部バックエンドブロックの輿水です。
現地時間10月28日、29日の2日間、サンフランシスコで開催されたGitHub Universe 2025に参加してきました。本記事では、現地の様子をお伝えしつつ、発表内容の所感を綴ります。
この記事で伝えたいこと
- 新機能の発表から、"developer pain"を解消し続けるというGitHubの揺るぎないスタンスが伺えた
- AIコーディングへの楽観論が見直されつつある中、GitHubがその前途を照らしてくれるという期待が持てた
GitHub Universe 2025現地レポート
GitHub Universe 2025とは
GitHubが毎年開催する開発者向けカンファレンスです。キーノートでの新機能発表を皮切りに、数多くのセッションやワークショップが行われます。昨年に引き続き、今年もサンフランシスコのフォートメイソンセンターが会場となりました。
当社でもGitHubやGitHub Copilotを日常的に活用していることから、今回、参加する運びとなりました。
開催地(サンフランシスコ)の様子
アメリカ西海岸、シリコンバレーのお膝元で、エンジニアなら一度は訪れてみたい憧れの地です。ゴールデンゲートブリッジ、アルカトラズ島、セールスフォース・タワーなど、数多くのランドマークがあることでもよく知られています。

当日は天候に恵まれました。緯度は日本の東北地方とほぼ同じですが、地中海性の気候のおかげで日中は羽織るものが要らないほどの陽気でした。気温・湿度ともに快適そのものでした。

そして、さすがはサンフランシスコ、自動運転タクシーのWaymoが当たり前のように街中を走っています。むしろ、タクシーやライドシェアよりWaymoの方が多いのではないか、と感じるほどでした。
会場(フォートメイソンセンター)の様子
会場のフォートメイソンセンターはサンフランシスコの海沿いに位置する元軍事施設です。現在はリノベーションされ、芸術と文化の発信地として活用されています。

会場入り口です。写真は早朝でまだ陽が昇りきっていないため少し暗いですが、実際は朝から参加者の熱気で溢れていました。

会場内のパノラマ。それぞれの建物が異なるテーマのパビリオンになっています。

パビリオンの中はこのような雰囲気です。

奥へ進むと、壁沿いにスポンサーブースがずらりと並んでいました。

ここがキーノートの会場。数々の新機能がここで発表されました。

ちなみに、朝食・昼食だけでなく、おやつのドーナッツまで無料で振る舞われていました。円安の昨今、サンフランシスコでの食事代は馬鹿になりません。これは本当にありがたかったです。写真は朝食のフルーツカップです。種類が豊富で個数制限もありません。写真は実際に食べたもののごく一部である、ということだけ付け加えておきます。
現地でのエピソード
今回、日本からの参加者向けに、GitHubの方々が懇親会や本社見学会を企画してくださいました。単身での出張だったため、これは本当に心強かったです。何より、いつか訪れたいと夢見ていたGitHub本社に足を踏み入れることができ、感無量でした。

素晴らしい機会をご用意いただいたGitHubの皆様、ありがとうございました。
GitHub Universe 2025発表内容の所感
GitHubはAIコーディングの前途を照らす
ここからは、発表内容についての所感を綴ります。
GitHubは"developer pain"の解消で一貫している。だから、AIコーディングの未来はきっと明るい。これが、今回私が最も強く感じたことです。
AIコーディングはソフトウェア開発を激変させましたが、同時に新たな課題も生んでいます。GitHubはその負の側面から目を逸らさず、新機能を通じて解消しようとしています。Agent HQやCode Qualityといった発表は、まさにその姿勢の表れだと感じました。
詳しく見ていきましょう。
新機能の発表からスタンスが伺える
AIコーディングが開発を加速させるという期待は、ある程度現実のものとなりました。しかし一方で、逆効果や負の面も浮き彫りになってきています。ある研究ではAIコーディングによって逆に生産性の低下が示唆されており、技術的負債やスケーラビリティの低下、システムの不安定化を懸念する識者もいます。
もちろんAIコーディングは発展途上であり、これが本質的な課題なのか、過渡期ゆえの現象なのかは慎重な見極めが必要です。とはいえ、現場の感覚として、AIコーディングにある種の「つらみ」を感じる瞬間があるのは事実ではないでしょうか。
GitHub Universe 2025での発表は、この課題を直視したものでした。キーノートでGitHubのKyle Daigle氏はこう述べました。
GitHubは"developer pain"を解消し、混沌を鎮めるために存在する(GitHub exists to solve developer pain and to tame the chaos.)
AIコーディングは本来、私たちがより多くのことを成し遂げるためのものでした。しかし皮肉なことに、IDE、ターミナル、Webのチャット、モバイルアプリ…と、ツールを行き来する手間は増え、新たな"developer pain"が生まれています。その解決策として発表されたのが、Agent HQでした。その他にもCode Qualityなどの新機能が、同様にAIコーディングの"developer pain"を解消するものとして発表されました。
いつの時代も、"developer pain"を解消することを基本姿勢としてきたGitHubです。AI全盛の時代になっても、そのスタンスは変わらないことが伺えました。
次のセクションでは、Code Qualityを例に、GitHubがどう課題に向き合おうとしているのか掘り下げてみます。
例: Code Quality
本カンファレンスで、GitHub Code Qualityのパブリックプレビューが発表されました。関連セッションの冒頭、GitHubのMarcelo Oliveira氏が用いたレーシングカーのアナロジーが非常に印象的でした。
彼はF1の伝説的ドライバー、Alain Prost氏の言葉を引用しました。
速く見えるときは滑らかではなく実際には遅い。遅く見えるときこそ滑らかで本当に速い(When I look fast, I'm not smooth and I am going slowly. And when I look slow, I am smooth and I'm going fast.)
真に速いドライバーは滑らかでコントロールが効いているのです。
Oliveira氏はこれをソフトウェア開発に置き換え、コード生成はストレート、コードレビューはコーナーであると説きました。ストレートでいくら加速しても、コーナーを曲がりきれなければ意味がありません。スピードとコントロールはトレードオフではなく、両立させるべきものなのです。
この話は、現在の"developer pain"の本質を突いています。AIはコーディングを劇的に加速させました。しかし、そのスピードにコントロールが追いついているのか、私たちは知る術を持っていませんでした。いわば、スピードメーターやテレメトリーがない状態でアクセルを踏み続けているようなものです。自分がどれほどの速度で走っているのか分からないままコーナーに突入し、曲がりきれずにクラッシュして、そこで初めて速すぎたと気づく。つまり、本番障害や技術的負債の蓄積という事故が起きてから、ようやく問題に気づくのです。これが今の私たちの"developer pain"です。
GitHub Code Qualityは、このテレメトリーの役割を果たします。AIと静的解析を組み合わせ、スピードが出すぎていないか、コントロールが失われていないかをモニタリングし、問題があればドライバー(開発者)に警告してくれるのです。
具体的には、プルリクエストやリポジトリのスキャンでの品質の問題検出、GitHub Copilotによる自動修正、ルールセットによる品質基準の強制などが可能です。コード品質は保守性(Maintainability)と信頼性(Reliability)の2カテゴリで評価され、ダッシュボードでスコアを追跡できます。検出にはCodeQLによる静的分析とAI分析が併用され、C#、Go、Java、JavaScript、Python、Ruby、TypeScriptなど主要言語に対応しています。
AIコーディングで加速したはいいが、品質が見えなくて不安。そんな現場の"developer pain"に寄り添い、必要な計器を与えてくれる、非常に頼もしい機能だと感じました。
GitHubはこれからも"developer pain"を解消し続ける
Oliveira氏は、スピードと品質がトレードオフになるようなことはもう二度とないようにしていこう、というメッセージでセッションを締めくくりました。この言葉に、これからも"developer pain"を解消し続けるという、GitHubの姿勢が凝縮されていると思います。
AIコーディングへの楽観論が見直されつつある昨今ですが、GitHubがその前途を照らしてくれるなら、私たちは安心してアクセルを踏み続けられます。そう期待させてくれるカンファレンスでした。
おわりに
今回は私にとって初めての海外カンファレンス参加でした。単身での渡航、時差、治安、正直なところ不安もありました。しかし、やはり行って良かったです。得られたものは想像以上に大きかったです。このような機会を与えてくれた会社に感謝しています。
ぜひまた、この場所に戻って来たいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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