8月6日、タイミー、UPSIDER、カケハシの3社共催による「生成AI時代のPdM - 活用と未来戦略」と題したイベントが開催されました。本イベントでは、プロダクトマネジメントにおける生成AIの活用と、それに伴うPdMの役割の変化に焦点が当てられました。本レポートでは、タイミーのプロダクトマネージャーである柿谷 樹の講演「AIで変わるPdMの役割 — 思考する力が武器になる」を書き起こし形式でお伝えします。

はい、株式会社タイミーの柿谷と申します。よろしくお願いします。 本日は『生成AI時代のPdM』というテーマで、『AIで変わるPdMの役割 — 思考する力が武器になる』という、少々仰々しいタイトルでお話しします。今回は『思考』をテーマにしたいと思います。
改めまして自己紹介をさせてください。株式会社タイミーでプロダクトマネージャーをしている柿谷です。バックグラウンドとしては、リクルートで新規事業開発を経験後、主にtoB領域のプロダクトマネジメントを5年ほど経験しました。昨年タイミーにジョインし、現在はバーティカルな市場での売上拡大を担当しています。タイミーは2-side-platformですが、toB担当・toC担当のように線を引かず、バリューストリーム(ユーザーに価値が届く一連の流れ)を単位に開発チームを組成しています。そのため、1人のPdMがプラットフォームの両面を横断して見ることが多いです。

それでは本題に入ります。このテーマを考えるにあたり、プロダクト開発の前提が大きく変わる中で、結局PdMに何が残るのかを突き詰めた結果、PdMの価値は『思考』へシフトするのではないかという結論に至りました。本日はその点について重点的にお話しできればと思います。

アジェンダは『思考する』『思考を止めない』『思考環境を整える』の3つです。
1. 思考する ── 文脈を設計し、出力を見極め、対話で共有する
まず『思考する』についてです。『思考とは何か』という話ですが、デカルトの『我思う、故に我あり』といった話ではなく、私が読んだ本の中で非常に的確だと感じた説明を引用します。『思考とは、思考対象に対して何らかの意味を得るために、頭の中で情報・知識を加工すること』です。これは関数的な処理と捉えることができ、事象と知識というインプットからメッセージや意味合いというアウトプットを出すプロセスです。

この構造はAIの処理と似ていますが、本質的に異なる点があります。AIは不完全な入力に対しても、ハルシネーション(もっともらしい嘘)によってそれらしい出力を生成してしまいます。そのため、結局は人間による品質担保が不可欠です。ここに人間の価値が残ると考えており、プロダクトマネージャーには『コンテキスト設計能力』と『出力に対する審美眼』が求められるようになります。

この変化に伴い、ドキュメントの位置づけも変わってきます。アジャイル開発宣言では『ドキュメンテーションよりも対話』とされていましたが、AIに読み込ませるコンテキストが重要になる今、ドキュメントがAIへの重要なインプットとなり、PdMには『Why』を構造化するスキルが求められるようになります。これはPdMの役割が『コンテキストデザイナー』に変わることを意味します。ただ、これはドキュメント主義への回帰ではなく、コミュニケーションの重要性は普遍です。最終的にPdMには『思考の構造化』と『納得を生む対話力』が求められるようになると考えています。

2. 思考を止めない ── 継続的ディスカバリーが競争力の源泉に
次に『思考を止めない』についてです。これからの時代、継続的なディスカバリーこそが競争力の源泉になると考えています。一次情報が非常に重要になります。開発のデリバリー速度が爆発的に向上する中で、ディスカバリーも同じ速度で回す必要があります。そのためには、高速で一次情報に触れられる環境を構築し、そこから得た情報をもとに思考を常にアップデートし続ける仕組みが不可欠です。

では、何が大事かというと、これもAIとは直接関係ない部分もありますが、インタビューのリードタイムを極限まで短縮することです。明日インタビューしたいと思ったら、明日実行できるようなオペレーションを構築することが重要です。その上で、議事録の下書き作成などはAIに任せ、人間は考察に集中できる環境を作ります。そして『オポチュニティ・ソリューション・ツリー(OST)』のような思考フレームワークを活用し、論点を常にアップデートし続けることが重要です。

3. 思考環境を整える ── Bullshit Jobを減らし、意味ある仕事に集中する
最後に『思考環境を整える』についてです。PdMの仕事は『意味を作る仕事』へとシフトしていきます。AIの進化により、議事録作成や会議要約といった戦術的な労働から解放され、PdMは『意味の創造』という、より本質的な価値に時間を充てられるようになります。そのためには、いわゆる『ブルシット・ジョブ(無意味な仕事)』を減らし、思考しやすい環境を整えることが重要です。

チームや組織でAIを活用する方向性は、大きく2つに分けられると考えています。一つは、個人の成功事例を横展開し、チーム全体の生産性を底上げする試み。もう一つは、AI前提のオペレーションを抜本的に設計し直す試みです。まずは個人がアドホックにAIを活用し、そこで得たコンテキストや優れたプロンプトをチームで共有するなど、ボトムアップで進めていくのが現実的でしょう。

まとめ
まとめになりますが、これからのPdMに求められることは、『思考する』『思考を止めない』『思考環境を整える』という3点です。 タイミーは積極採用中です。ご興味のある方は、カジュアル面談からでもぜひお声がけください。ありがとうございました。