※この記事は 2025 Speee Advent Calendar 20日目の記事です。昨日の記事はこちら
はじめまして。Speee リフォームDX事業部で開発責任者をしている佐藤です。 私がこの事業部にエンジニアとしてジョインしてから、約2年が経ちました。
現在は一定規模の開発組織となり、Budii というリフォーム会社向け営業支援SaaSをはじめ、複数のサービスを牽引できる状態になっています。AI で営業データの構造化を完全自動化するするといった面白い取り組みも徐々に増えてきました。
約2年前の参画当初は、プロダクトも組織も事業フェーズが切り替わる過渡期にあり、正直なところ明確な方向性が見えていない状況でした。
この記事では、開発組織が事業と並走しながら発揮すべき価値を探り、組織として新たな形を作ってきたプロセスを振り返ります。
当時の私と同じような状況で模索している方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。なにより、「そういった状況でもなんとかなるぞ」というエールになれば幸いです。
第1章:参画当初の「価値探索フェーズ」
チームに参画した当初、事業自体は前に進んでいましたし、それを支える開発もある程度できている状態でした。 とはいえ、SaaSモデルの事業であるBudiiやAI活用を推進していくには、十分な体制とは言えませんでした。
このフェーズの切り替えを早期に実現することが、私のミッションでした。 まず意識したのは、事業と開発組織のフェーズが変わったと認識できる実績を、早期に生み出すことです。
新規事業「Budii」の高速立ち上げ
最初に取り組んだのが、新規事業「Budii」の立ち上げです。
当初は半年後のリリースを想定していましたが、これまでの経験上、ToBの業務システムはハイコンテキストな顧客要求を満たす必要があり、実際に使ってもらわないとそういった要求を吸収しきれないと考えました。
そこで、仮説検証の速度と回数を担保するため、「まずは2ヶ月でミニマムに出す」ことを目標に置きました。 そのうえで、以下の3点を徹底しました。
- 既存事業で実績のある技術選定や資産をフル活用すること
- 私自身がスタンスをとって意思決定を早めること
- 「責任は私が持つのでこれで行こう」というスタンスを示し、過度な議論を減らして意思決定の速度と頻度を上げるため
- PdMと協力し、一次情報をもとに「何を作らないか」を決めること
結果として、目標の2ヶ月にはわずかに届きませんでしたが、3ヶ月でのリリースを実現しました。 実際に速くリリースできたことで、想定と異なる顧客要求を早期にチームの議論のテーブルに乗せることができました。
「フェーズが変わった」と実感できる成果として、良い走り出しを切れたと思います。
既存事業をより伸ばすためにあえて「何でも屋」として振る舞う
新規事業と並行して、既存事業も伸ばしていく必要があります。 前述のSaaSはドメイン知識が重要だったため、それまで開発組織を支えていたメンバーの多くに、新規サービスの立ち上げに注力してもらう状況でした。
そうなると、当然既存事業を支え、さらに伸ばすために新たなメンバーを迎え、再度チームを構築する必要があります。
私自身、まだ事業やシステムの全体像を完全に把握できているわけではなかったので、思い切ってチーム内で役割を分けず、新規事業以外のすべてを1つのチームで担当するという判断をしました。 この段階で役割を細かく分けなかったのは、チームとしてどこに技術投資すべきかが、まだ見えていなかったからです。
同時に、チームの意思決定の指針として、1つの軸を設定しました。
「原則、ROIが見合うものを、事業インパクト順に実施する」
実際の運営としては、以下の形を取りました。
- 開発要望に対し、必ず「定量的な事業の売上/コストにどうヒットするか?」を算出する
- 毎月、要望のオーナー部門の責任者と開発チームが集まるMTGを行い、当面の開発計画を決める
- 計画の固定よりも、意思決定の基準や優先順位が事業部内で透明に共有されている状態を重視しました
- 事業インパクトが説明不能な要望は、検討外とする
- 「あれもこれも」となることを防ぐため、各部門の責任者には「事業インパクトの説明」に協力してもらいました
開発チームとしても、「算出された数字」そのものより、「どういうシナリオで自分たちの作ったものが事業インパクトにつながるのか?」を考える良い機会になりました。
最初からすべて上手くいったわけではありません。しかし、このプロセスを繰り返すことで、事業部全体として「開発内容と事業成果を接続して定義する力」が養われていきました。
結果として、半年先や1年先の見通しが立つようになり、事業インパクトベースで採用計画も立てやすくなりました。今では当初の約2倍の規模にチームが成長しています。
本来なら顧客や事業の理解を深めて、技術観点からの提案によって価値を最大化するアプローチを取りたいところでした。 しかし、このフェーズではあえてそれをしない選択をしました。まずは組織や事業の現状を丁寧に理解すること、そして信頼を蓄積することを最優先だと判断したからです。
第2章:エンジニアリング価値の特定
探索を続ける中で、徐々に大きな事業インパクトを生めるテーマが見えてきました。 その1つが「接客のAI化」です。
リフォームDX事業のコアサービスであるヌリカエは、外壁塗装・屋根塗装の会社探しサービスです。 一般的なオンライン完結のマッチングサービスとは異なり、問い合わせいただいたエンドユーザーに弊社のCS(カスタマーサクセス)からご連絡し、ご要望や懸念点を受け止めたうえで適切な工事会社を紹介するモデルをとっています。
エンドユーザーにとっては、経験の少ないリフォームを検討するうえで状況を整理できるメリットがあり、工事会社にとっては、1次対応を任せることで生産性を上げられるメリットがあります。
この接客は、クライアント企業にとっては業務の一部を肩代わりするBPO的な役割も担っています。加えて、事業立ち上げ当初からCSチームによって磨かれてきた、秘伝のタレのようなオペレーション資産がありました。
一方で、人力で接客しながら議事録をとり、施工情報や補助金情報など多くの情報を参照する必要があるなど、オペレーションの難易度は高まっていました。
そこで、ドメイン特有のコンテキストを踏まえた議事録をAIで自動作成する取り組みを筆頭に、AIを前提にしたオペレーションの創出に取り組んでいます。 こうした深い介入ができるようになったのは、立ち上げ期に様々な開発を経験し、事業の全体像を解像度高く描けているからこそだと感じています。
現在は開発組織が、業務設計そのものをリードしたり、要求整理から解決策の提案までをエンジニアが主導するなど、「システムを作る」手前の「業務を作る」フェーズから深く入り込んでいます。
第3章:個人戦から組織戦へ
こうした取り組みを経て組織が拡大し、注力すべき領域と各領域を並行して推進できる状態に少しずつ変わってきました。
現在は、新規事業や主要なプロジェクトごとにリードするメンバーが立ち、技術的な意思決定をチーム単位で完結できる体制になっています。 メンバーの自走力が高まったこともあり、私自身が手を動かして実装する割合は減ってきました。その分、事業部全体の技術的な方向性や、組織づくりに時間を使えるようになっています。
第4章:それでも、まだ途中段階
一方で、6.5兆円規模のリフォーム市場を本質的に変えていくには、まだ足りないと感じています。 例えば、以下のようなテーマです。
- 非構造化データの資産化
- 紙の図面、手書きの見積書、現場の写真など、現場に溢れる「非構造化データ」を解析し、活用可能な「資産」にする
- ドメイン固有業務のAI化
- 複雑な実務プロセスにAIを組み込み、業界全体の生産性を高める
現時点で正解が見えていないからこそ、速く取り組んでいきたいと考えています。 また、こうした時間軸の長いテーマと、日々の事業成果を接続してマネジメントする仕組み作りにも、さらにギアを上げて取り組んでいくつもりです。
正直に言えば、経営と技術を繋げるための言語化にはまだ悩みますし、壁にぶつかることもあります。 ただ、Speeeにはこうした高い視座での議論ができる経営陣や、現場で背中を預けられる頼もしい仲間がいます。
彼らの支援を受けながら、私自身も組織と共にアップデートを続けている最中です。
おわりに
この2年間で、組織もプロダクトも大きく変わりました。 それでも、産業の課題に目を向ければ、私たちはまだ道の途中です。
今のリフォームDX事業部は、
「巨大な産業課題」×「AI・LLMという強力な武器」×「リアルオペレーションを持つ強み」
という、エンジニアにとって手触り感のある、挑戦しがいのあるテーマに挑めるタイミングにあります。
リアルな産業の歴史を技術の力で変える。そんな仕事をしたい方、ぜひ一度お話ししましょう。
さいごに、Speeeでは一緒にサービス開発を推進してくれる熱い仲間を募集しています!
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