はじめに
こんにちは!LegalOn Technologiesでプロダクトマネージャーを務めている天野です。
CTOオフィスの時武が、先日以下のブログで宣言した通り、私たちはAI駆動開発を取り入れて日々プロダクト開発に取り組んでいます。
今回は開発だけでなく、プロダクトマネージャーの視点からCursorをどう活用しているか、リアルな事例をシェアしたいと思います!
世の中にはたくさんの素晴らしい活用例がありますが、正直なところ、AIツールは期待通りに動かないこともしばしば…あると思います。 成功事例ばかりではなく、私たちが実際に直面している「理想と現実のギャップ」と、それをどう乗り越えてCursorを活用しているかをお話しします。「あるある!それ、うちでもそうなのよ!」と思っていただければありがたいです。
ここからは、当社が企業の法務業務全般をAIで支援するべく提供している、グローバルでワンプロダクトである「LegalOn」の開発環境におけるCursorの活用をお伝えします。
理想と現実
理想と現実のギャップ①
理想:AIがPRD(Product Requirement Document)を自動作成し、当社の役員が求める基準に基づいて完璧にレビューまでしたPRDを使ってくれる
現実:PRDに記載すべきことは網羅されている。当社のプロダクト「LegalOn」らしさを出すために、現場の情報や知見をAIにいれることは欠かせない。
実際にCursorでPRDの自動作成をしてみると「PRDはここまで書かないといけないよね」とか「あ、忘れていた。これは人間よりも細かいところまで見てくれているかも」と感心することがよくあります。ただし、日本語の微妙なニュアンスや法務業界特有の言い回し、社内でしか通じない"暗黙知"をAIがすぐに理解するのは難しいと実感しています。
スキルアップのため、すでにリリースした機能のPRDをCursorにレビューしてもらったところ、「この表現は曖昧です」などの指摘を受けました。一つひとつ確認すると、確かに納得できる指摘もある一方で、「これは社内ですでに合意された表現なんですが…」と思うケースも少なくありませんでした。

理想と現実のギャップ②
理想:PRDから要件定義が作成できて、迅速な開発で機能リリースまでを実現できる
現実:これまでの開発プロセスやエンジニアの認知負荷を下げるドキュメンテーションが必要
要件定義のテンプレートをプロンプトで生成しようと試みましたが、期待通りの成果を得ることができませんでした。Cursorの生成内容からしてテンプレートの構造は理解できているようですが、当社特有の要件や細部の表現が十分に反映されていないケースが多いです。実際の業務環境でエンジニアリングマネージャーやエンジニアの方々に使ってもらい、フィードバックを収集しながら徐々に改善を進めている最中です。
ただ、完全なテンプレートとしては理想的ではないものの、Cursorによる出力結果はFeature Specを作成する際の部分的なドラフトとして十分に活用できる可能性を感じています。特に機能の概要説明や基本的な要件定義など、定型的な要素については効率的に文章化できることがわかりました。最終的には人間が内容を精査・編集する前提ではありますが、作業の起点として有用です。
思ってたのと違う現実の中で見えた光
PRD策定を0から書くのではなく、3~4割からスタートできる
①での結果を基に活用できる方法です。PRDや仕様書、開発ドキュメントって、作成する最初の一歩を踏み出すのがなかなか大変だと思います。(皆さんもそう感じませんか?)白紙から何かを作り始めるときって、「さて、どう構成しようか」「どんな言葉で表現しようか」「必要な情報は何だろう」と考えるだけでも結構なエネルギーを使うと思います。この「さあ、始めよう」というハードルが高いと、つい「明日やろう」と先延ばしにしたり、結果的に質が下がったりしがちです。
私たちは、Notion MCPで開発に関するドキュメントとCursorを連携しているので、Cursorで参照したいドキュメントや簡単な要件、キーワードを入力するだけで、たたき台となるドラフトを素早く生成できます。これによって、あとは私たちの専門知識や経験に基づいて内容を高度化させていくことができるのです。プロダクトマネージャーとしては、ゼロから書くよりも、既存の素材を編集・改良する方が遥かに効率的に作業を進められることを実感しています。
これにより、(私が個人的に直面しているだけかもしれない)書き始めの面倒さという心理的ハードルが下がり、作業スピードが格段にアップしています。
プロトタイピング
現在、弊社では外部サービスとの新たな連携機能の開発を進めております(正式リリースまでもう少々お待ちください)。この機能開発において、「LegalOn」と外部サービスとの連携イメージをCursorを活用してHTML形式で素早くプロトタイプ化し、それをお客様へのヒアリングツールとして活用しています。このアプローチにより、お客様からのフィードバックをその場でプロトタイプに反映させることができるため、単なる口頭での説明よりも具体的なイメージを共有でき、より深く有意義なヒアリングが可能になっています。お客様も実際の画面イメージを見ながら意見を述べることができますし、その場でプロトタイプを変えることもできるので、要望の精度が高まり、価値あるコミュニケーションが実現しています。
特に、プロジェクトの初期段階において、要件や仕様が十分に固まっていない状況では、「Cursorにざっくりとした方向性を伝えてプロトタイプを短時間で作成し、それをもとにお客様と具体的な議論を展開していく」というプロセスを驚くほど高速に回せるようになりました。従来であれば数時間〜数日を要していたプロトタイプ作成が1時間程度で完了し、お客様との対話の質が格段に向上したことで、最終的なプロダクトの品質向上にも大きく貢献しています。
上司のレビュー前のレビュー
みなさんも同じ経験があるのではないでしょうか?重要な機能をリリースする前には、上司や役員のレビューを受けると思います。そんなレビュー前の「予行演習」にCursorを活用しています!上司が「こんな質問をするかも」「この視点からチェックするだろうな」というポイントをプロンプトとして入れておくと、Cursorが先に厳しい目でチェックしてくれます。自分では「完璧!」と思った内容も、実はまだまだ穴だらけ...なんてことも少なくありません(これは誰しもあるだろうと思います...)。
Cursorを用いて上位者の視点を模したレビューを事前に行うことで、本番の上長のレビュー前に完成度を大幅に向上させることができています。さらに、Cursorはレビューポイントに沿った具体的な書き直し案も提案してくれるため、修正作業の効率化と品質向上のサイクルを加速させることが可能です。
参考までに、私たちが日常的に活用しているレビュープロンプトの一部をここでご紹介します。実際の運用では、CEO、CPO、プロダクト責任者、エンジニアといった各ステークホルダーが重視する視点や評価基準を詳細に組み込んだ、カスタマイズされたプロンプトを使用しています。

現実に負けない、今後の野望
Cursorを使うことで、プロダクトマネジメントのDiscoveryフェーズにおける各プロセスの高速化を実感しています。しかしながら、Cursorの出力結果を業務に活用し、理想に書いたようなプロセスで、お客様に価値を高速に提供するために、私たちにはまだまだやるべきことが多いと感じています。
プロダクトマネージャーの相棒または参謀としてCursorにもっと活躍してもらうためには、ドメイン知識や「LegalOn」の開発思想をいかにCursorに反映してもらうかが大事だと思っています。Rules for AIにどのようなプロンプトを設定するか。MCPで外部ツールから、適切な知識をどう読み込ませるかが今後ますます重要になってくると考えています。何を読み込ませて、もっと賢くするかは試行錯誤中です。
そして、私たちがお客様に適切なプロダクトを提供するために、プロダクトマネージャーが顧客課題や最新の技術動向を基に、プロダクトがどうあるべきか「意思を入れる」ことの重要性は変わりません。むしろ、高速化できるからこそ、また、Cursorによって一定水準のものが容易に作成できてしまうからこそ、「意思を入れる」ことがますます重要になってくると考えています。
まとめ
以上述べたように、私たちもまだ試行錯誤の真っ最中です。業種や業界の枠を超えて、終わりなきお客様の課題解決、ペインの解消ができるよう、非開発から開発まで生産性向上につながる情報交換・共有の機会があれば、大変ありがたいです。ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひ私たちにご連絡ください!
追伸:このブログ自体も、フレンドリーでライトな文章を書くのが苦手な私が、下記のプロンプトを活用し、何度もレビューを重ねて作成しています。もちろん、最終的な文責は私にあります。
これはテックブログのドラフトです。下記の点でレビューしてください。具体的な改善点も挙げてください ・テクノロジーブログを読むようなエンジニアやプロダクトマネージャーが面白いと思うか ・フレンドリーでライトな文章も織り交ぜてください ・SNSで好意的な話題になりそうか ・当社のことを興味持ってくれそうか。
仲間募集!
LegalOn Technologiesでは、一緒に働く仲間を募集しています! 尖った価値を提供すべくプロダクトにAIを当たり前に組み込み、私たち自身もAIをフル活用してお客様に継続的な価値を届ける挑戦を行っています。刺激的な環境で、プロダクトマネジメントの経験者はもちろん、これからプロダクトマネジメントのキャリアを目指す方も大歓迎です。ぜひ一度お話を聞きに来ていただければ幸いです。ご興味がある方は以下のサイトからご応募ください!