こんにちは、LayerX バクラク事業部でソフトウェアエンジニアをしている Tomoaki (@tapioca_pudd) です。
2025年12月、ラスベガスで開催された 「AWS re:Invent 2025」 に、LayerXから私を含めた4人のエンジニア(@kani_b, @shirakiy0, @onsd_)で参加してきました。
Keynoteでの発表内容やセッションの解説はすでに多くの記事が出ていますし、オンラインでも視聴可能ですので、今回は「現地参加ならではの体験」を中心にご紹介します。
はじめに
AWS re:Invent はAmazon Web Services(AWS)が主催する世界最大級のテックカンファレンスです。新サービスの発表が行われるKeynoteはもちろん、数千を超えるセッション、ワークショップなどが、ラスベガスの街全体を使って行われます。
今回我々はKeynoteや聴講型のセッションは後日オンラインでも視聴できるため、参加型のワークショップを中心に体験してきました。
ゲーム形式のワークショップ
AWS re:Inventはセッションだけで今回の場合3122個ありそれを5日間で実施するという、なかなかクレイジーなイベントです。セッションにはいわゆるセミナーぽいやつから、chalk talkと言われる非公開の講義スタイルのセッションや、ゲーム形式のセッションまで色々存在します。
ゲーム形式の参加型のワークショップにもGameDay, Jam, AI Leagueなどいくつか種類があり、今回私はAI LeagueとJamに参加したのでそちらの紹介をしたいと思います。
AWS AI League
AWS AI League は、AI技術を用いた競技形式の学習プログラムです。一言で言うと「GameDayのAI版」のようなものですが、AWSのイベントとしては珍しく賞金が用意されており、Kaggleなどのコンペティションに似たかなり本格的な競技です。

AWS re:Invent内で3つほどイベントがあり、そのうちの2つは上位に残ると決勝ラウンドに進出でき、賞金やトロフィーがもらえるという仕組みになっています。
私が参加したのは、 "Model Customization Challenge" です。簡単にいうとKaggleのようにモデルを作成し、その性能を競うというものですが、以下のような特徴がありました。
- お題: 「ラスベガスの訪問者向けバーチャルアシスタント」の作成
- 技術要素: 軽量なAmazon Novaモデルをファインチューニングし、特定タスクにおける推論精度で、より大規模なAmazon Nova(ベースモデル)をどれだけ凌駕できるかを競う
- 制約条件: 今回発表されたAmazon SageMaker AIの新機能 Serverless Customization を利用してモデルを作成すること
競技時間は数時間しかなく、非常にタイトな中にいかにスコアに寄与するような改善を数多くできるかが勝負の分かれ目となるという感じでした。データセットの拡充をしながらファインチューニングを3回ほど回し、最後に最も性能が良かったモデルでハイパーパラメータをチューニングしてモデル作成を2回ほど実行したら時間切れという具合でした。
結果ですがなんと 1位になれました。2位の方は限られた時間で私の倍近くSubmitをしていた強者でしたが、何とか逃げ切りました。 ハイパーパラメータのチューニングはモデルの学習時間にかなり響くので、エポック数などをミニマムにしてデータセットの拡充に時間を多く充てたのが功を奏したかなと思います。

これから参加する方へのTips: ワークショップの枠として予定されている時間の後も、コンペは数時間続きます。スケジュール表のワークショップ終了時間直後に予定を入れるとコンペに集中できないため、後ろの時間は空けておくことを強くおすすめします!
Grand Finale
Model Customization Challengeのイベントでは上位3名によるGrand Finaleが行われました。Expo会場で開催されたGrand Finaleは、陽気な司会者が進行するクイズ大会のようなノリで、Twitchでもライブ配信 されました。

こちらはシステムプロンプトのチューニング対決で、AIによる評価 + オーディエンス(人間)の投票 で勝敗が決まる仕組みになっており、エンタメとして非常に完成度が高かったです。
こちらは残念ながら3位と優勝を逃しましたが、緊張感のあるステージでプロンプトエンジニアリングするという稀有な体験ができて非常に面白かったです。

予選の優勝とGrand Finale3位の副賞としてAWS クレジットをいただいたり、入賞者限定のディナーパーティに招待いただきました。ここで各国のエンジニアやAWSの中のエンジニアとAgent開発をどれくらいできてるかについて色々話しましたが、グローバルに見ても、大規模にAgentを本番提供できている事例はまだ少なく、まだまだこれからの領域であることを改めて感じました。
AWS Jam
AWS Jam とはトラブルシューティングや構築課題を解く実践型イベントです。GameDayが「ターゲットへのリクエスト成功数」などでリアルタイムにスコアが変動するのに対し、Jamは「課題を正しく解く」ことに特化しており、正解すれば誰でも同じスコアが入ります。
JamにはLayerXから参加していた4人でチームを組んで挑みました。JamにもセキュリティやAIなどいろんなジャンルをテーマにしたものがありますが、我々が参加したのは'All In Jam'という全部のジャンルから出題されるというものでした。
60〜70チームが参加する中で 1位を獲得することができました。Jamには「Clue(ヒント)」機能がありますが、使うとポイントが減点されてしまうので、「ヒントは一切使わない」 という方針で取り組んだのが功を奏しました。タイム的には早く全問コンプリートしたチームがありましたが、点数で上回ることができました。
また、1つ課題を解き始めると課題に解くために要した時間のカウントが始まるので、色んな課題をつまみ食いするのではなく、集中して1つの課題をコンプリートしてから次の課題に移るのも大事でした。今回の参加メンバーは皆日頃から色んなAWSのサービスを触っていたので基本的にはそれぞれが並行して課題を解きつつ、詰まった時にはうまく協力することで時間をかけ過ぎることなく1つ1つの課題を完了させることができました。

All In Jamという名の通り色んなジャンルの課題が出題され、私はメインでML系の課題に取り組みましたが、内容はかなり実践的で学びの多いものでした。Bedrockを利用したchat bot作成などかなり身近なトピックも多かったです。個人的にはBedrockのGuardrailの機能など、まだ実務で利用したことがない機能に触れる機会となりとても勉強になりました。
優勝の特典としてカバンや水筒などのSwagはもちろん、このあと紹介するre:playのVIPのチケットも獲得することができました。
Chalk Talk
Chalk Talkは大学の講義のようなスタイルで、AWSの開発者がドキュメントには書いてないようなサービスの仕様などを解説してくれるセッションです。規模は大体30~50人程度で、参加者もフリースタイルで質問をして双方向にディスカッションが行われます。

アクティビティ
コンテスト以外でも、re:Inventならではのカルチャーを体感してきました。
re:Play

re:Inventの名物、巨大な会場を貸し切って行われる打ち上げパーティです。 今年は Beck と Kaskade がゲストアーティストとして登場しました。Jam優勝の副賞として VIPチケット をいただいていたので、快適なVIPエリアから最高のステージを楽しむことができました。
VIPのエリアはもちろんアーティストを間近で見れたり、ちょっと豪華なドリンクや食事が並ばずにゲットできたり、VIPエリア限定のアクティビティもいくつかあり貴重な体験ができました。
VIPなのですごい人がたくさんいて面白い話ができるかも...!なんて期待をしてましたが、お祭り騒ぎで仕事の話などする雰囲気ではなかったので私たちも楽しむことに専念しました。💃

5K Run
早朝にラスベガスのストリップ(大通り)を封鎖して行われるマラソンです。しっかりタイム計測もされ、完走メダルももらえます。朝のラスベガスの公道を走る爽快感は格別でした。

Amazon Fulfillment Center (LAS7) ツアー
ラスベガス郊外にあるAmazonの物流拠点(LAS7)の見学ツアーに参加しました。こちらはre:inventとは直接は関係ないのですが、AWSの方々のお陰で参加させていただけることになりました。
LAS7と呼ばれる施設は、アメフトのフィールド15個分。5,000名の従業員とロボットが協働する施設です。 ロボティクスを駆使したオペレーションがとても印象的で、ロボットが棚(Pod)ごと持ち上げて作業員の元へ運んでくる様子や、荷物を梱包する処理は圧巻でした。
また、非常に面白かったのが、作業員のパフォーマンス向上施策です。ピッキングなどの作業結果がリアルタイムでゲームのように表示され、リーダーボードで競えるようになっていました。「楽しみながら生産性を高める」工夫が徹底されており、弊社のAI-BPO事業のヒントにもなると感じました。

おわりに
re:Invent 2025では、新機能のインプットだけでなく、コンペティションという形での「アウトプット」を通じても多くの学びが得られた1週間でした。
特にAI Leagueでは、re:Invent期間中に発表されたばかりの新機能を題材にしており、それを即座にコンペに落とし込むAWSチームの開発スピードとセンスに感銘を受けました。また、Nova ForgeやSageMaker AIのServerless Customizationといった新機能から「モデルのチューニングの民主化」 というトレンドを強く感じ、MLエンジニア以外でも簡単にモデル開発を扱える時代の到来を実感し、よりAWSエコシステムへの期待が高まりました。
LayerXでは、エンジニアの海外カンファレンス参加や、新しい技術への挑戦を積極的に支援しています。(適用条件あり) ぜひ一緒に経済活動における複雑で⼤きな課題に挑みましょう!