保護者連絡サービス「tetoru」のプロダクトマネージャーを担当している米谷です。
tetoruは全国5,000以上の教育機関で、200万人を超える保護者の方にご利用いただいています。今回は、ある保護者の方のSNS投稿をきっかけとして取り組んだ、tetoruアプリのアクセシビリティ改善についてお伝えします。
視覚障害のある保護者の声
ある日、視覚障害のある保護者のSNSの投稿が目に留まりました。そこでは、お子さんの通う学校で利用されている連絡アプリの音声読み上げについてやりとりされており、その対応状況によっては視覚障害のある方にとって利用そのものが困難になるケースがあることを知りました。
この投稿を受け、tetoruの保護者向けアプリが、視覚障害のある方にとって不自由なく使えるものになっているかを確認したいと思い、私自身でも音声読み上げ機能を試してみることにしました。
実際にiOSのVoiceOverで操作してみると、テキスト部分については大きな課題はなかったものの、アイコンや画像が使われている箇所で一部が適切に読み上げられていないことに気づきました。
エンジニアへの連携と対応
チームにSNSの投稿内容と検証結果を共有したところ、メンバーが早速実装状況を調査し、いくつかの課題と改修方針を提案してくれました。主な課題は以下です。
- アイコンの読み上げが不十分
- ブックマークの操作や状態が不明瞭
- 未読・既読といった状態変更の対応不足
- 検索UIの読み上げが不十分
今回の改修では、アプリのトップページでもある学校からの連絡一覧画面のアクセシビリティ対応を重点的に行いました。この画面は学校からの緊急連絡などを確認するために利用されるため、優先的に改善することにしました。
iOSのVoiceOver対応では、要素の役割(accessibilityLabel)や操作のヒント(accessibilityHint)、状態変化への対応(UIAccessibility.post)などの適切な設定を行いました。また、AndroidのTalkBackにおいても、読み上げ範囲をアイコンなどの要素ごとに細かく分割して説明(contentDescription)を設定したり、iOSと同様に状態変化を動的に読み上げる対応を行いました。
さらなる改善としての文字サイズの可変対応
音声読み上げ機能の改善を進める中で、以前から一部のユーザーの方よりご意見をいただいていた「文字サイズが小さい」という課題についても、まずは学校からの連絡一覧と詳細画面について対応しました。
Androidは標準で文字サイズの変更に対応していましたが、iOSでは文字サイズが固定値で実装されていたので、OSの設定に合わせて文字サイズが可変となるよう調整を行いました。
この改善では、デザイナーがiOSのDynamic Typeの挙動を理解するために、SwiftUIを学習して実際にどのように文字サイズが変わるのかといった技術的な理解を深めながら、既存のUIに大きく影響が出ないように文字サイズの定義を提案してくれました。

おわりに
2024年4月から改正障害者差別解消法が施行され、事業者による「障害のある人への合理的配慮の提供」が義務化されました。
今回の対応はウェブアクセシビリティの規格である『JIS X 8341-3:2016』の準拠を意図するものではありませんが、多くのユーザーに日々活用していただく中で、少しでも早く改善することを優先しました。
また、多様な保護者の方への対応という観点では、日本語を母語としない方々にもtetoruを快適にお使いいただけるよう、学校からの連絡を自動翻訳する機能のリリースを2025年9月に予定しています。視覚障害のある方への配慮と同様に、言語の違いも学校と保護者のコミュニケーションにおける大きな障壁となる場合があります。
tetoruは今後もより多くの利用者にとって使いやすいサービスを目指し、引き続きアクセシビリティの向上に取り組んでいきます。