
アンドパッドのエンジニアがFlutter Kaigi参加してきました!
Flutter Kaigi 2025 にアンドパッドのエンジニア4名が参加してきました。 今年の Flutter Kaigi 2025 は、例年の「Flutterの新機能を追うイベント」とは明らかに違い、技術的な転換点を迎えた年だったと強く感じました。
特に、MCP / LLM など AI の実務活用が本格的に議論され始めたことは非常に大きな変化といえます。
本記事では以下の点をまとめました。
- 2024 → 2025 の大きな潮流変化の読み解き
- 技術カテゴリ別セッションマップの確認
- アンドパッドのエンジニアとして特に刺さったセッションの深掘り
今年の FlutterKaigi を「技術戦略」の視点で整理していきます。
今回のFlutterKaigi2025の転換点
前述の通り、MCP、LLMといったAI関連技術やその実践に関するセッションが入ってきたことこそ、大きな潮流の変化といえます。 さらに、DORA レポート *1では、生成AIを「拡声器(Force Multiplier)」として位置づけ、適切に使えれば開発チーム全体の生産性を増幅する技術 と定義しています。
今年採択されたセッションでは、まさにその視点が色濃く反映されており、Flutter エンジニアの関心は「AIを使うと何ができるか?」から、“AIをどう組み込み、開発と品質をどう再構築するか?”へと明確にシフトしていました。

技術カテゴリ別セッションマップ
今回のFlutterKaigi2025のいくつかのセッションをカテゴライズしました。 (注:全てのセッションを網羅しているわけではありません。)
1. 低レイヤ / RenderObject / VM / JIT / Impeller
Flutter の内部構造に踏み込んだセッション。 2025 で多かったのがFlutterの内部構造に関するセッションです。
- Impellerで何が変わったのか
- RenderObjectとは何か?animated_toに学ぶレイアウト計算と描画の仕組み
- あの日のHot reloadはなぜ動かなかったのか?〜OSセキュリティ(WX)とJITコンパイラの攻防〜
- BuildContextの正体とInheritedWidgetの仕組み
2. AI・自動化・E2E・MCP
AI×テスト×自動化が本格化。 Flutter の運用と品質保証のパラダイムが変わる領域。
- Dart and Flutter MCP serverで実現するAI駆動E2Eテスト整備と自動操作
- ユーザーのアクションを伴うWidgetのGoldenTest
- モバイル端末で動くLLMはどこまで実用的なのか
- FlutterにおけるFigma Dev Mode MCP活用Tips 5選
3. ネイティブ連携 / Add-to-App / プラットフォーム統合
iOS/Android との高度連携、ハイブリッド構成の発展。
- Flutter ネイティブ連携手法 2025
- Add-to-appで真のLiquid Glass対応を目指してみた
- iOSのAssistive Accessって何?Flutterでも気をつけたいUIの話
4. パフォーマンス最適化 / ビルド高速化
ビルド高速化・キャッシュ・安定運用。 大規模アプリに刺さる知見が多い。
- Flutterビルドキャッシュの内部構造とテスト高速化への応用
- 24時間止まらないFlutterアプリの作り方
5. アーキテクチャ / 状態管理 / 画面遷移
アプリ構造、責務分離、Widget管理。
- MVVMからMVVM-Cに変えてみた話〜画面遷移どうしてる?〜
- Master of Widget Key ~ Widget再利用とパフォーマンス最適化~
6. UX / アクセシビリティ / UIデザイン
UX と KPI/SLO を繋ぐ話、アプリの使いやすさを科学する領域。
- 顧客価値を実現するFlutter:KPI・SLOから考えるUIUX設計
- カスタムジェスチャーの実装から学ぶGesture
- iOS Assistive Access(※ネイティブ連携とも関連)
6. 監視 / 運用 / Observability
本番アプリ運用を支える仕組み。
- Flutterアプリ運用の現場で役立った監視Tips 5選
- 24時間止まらないFlutterアプリの作り方(※パフォーマンスとも連動)
7. ビジネス・プロダクト戦略 / 収益化
Flutter をビジネスとして捉えたセッション。
- Flutterアプリで収益を上げる方法
- 顧客価値を実現するFlutter:KPI・SLOから考えるUIUX設計
エンジニア注目のセッション
Flutter DevToolsで発見!本番アプリのパフォーマンス問題と改善の実践
Flutterは毎年のバージョンアップで目覚ましい進化を遂げていますが、DevToolsのアップデートについては正直なところあまり追いきれていませんでした。今回のセッションはDevToolsをより効率的に活用するための多くの発見がある貴重な機会になりました。 単なる機能紹介に留まらず具体的なユースケースを交えながら解説されていたので、自分の開発現場でどのように役立つかを具体的にイメージしながら聞くことができました。
たとえば、これまで私はパフォーマンス改善のためにDevToolsのデフォルトビューを眺める程度でした。しかし、Trace Widget Builds といった設定を有効にすることで、より詳細なビルド情報を取得できるという点はすぐに活用できそうです。
また、Riverpodの状態監視プロセスを改善する方法も非常に参考になりました。これまではコードを直接追ってデバッグすることが多かったのですが、これからは分析結果に基づいた具体的なアクションを取れるようになり、開発効率が格段に向上しそうです。
オフライン対応!Flutterアプリに全文検索エンジンを実装する
アプリにオンデバイスでLLMを組み込むお話でした。 アプリ内ローカルで動くLLMの実装に興味があって見ていたが、その中でRustのコードをFlutterから呼び出せるようにしているのが面白かったです。
FlutterからC/C++のコードを呼ぶにはメソッドチャンネルを使ってKotlin/Swift経由で呼ぶ必要があると思っていましたが、FFI (Foreign Function Interface)を使うと簡単に呼び出せることがわかりとても参考になりました。具体的な手順も紹介されていたので、自分でも何か軽量なLLMを作って組み込んでみたいと思います。
Flutterコントリビューションのススメ
FlutterKaigi 2025で最も期待していたセッションは、「Flutterコントリビューションのススメ」でした。 アプリエンジニアとしてFlutterというフレームワークを日々利用しており、その構造もある程度理解しているため、フレームワークへの貢献に非常に興味があります。 セッションでは、具体的にどのIssueを対応すべきか、どのようにプルリクエスト(PR)を作成するか、そして実際にマージされるまでのプロセスについて解説されました。 セッションのスピーカーであるWakamiya Kojiさんは、実際に遭遇したFlutterの不具合と、それを修正してから正式にリリースされるまでの過程について語ってくださりました。
このセッションで学んだ特に重要な点は以下の通りです。
- 時差によるレビューサイクルの遅延: PRにフィードバックをいただいてからすぐに修正しても、時差の関係で再レビューしてもらうのが次の日になることが多い。
- Issueの優先度: P1のIssueはFlutterチームが対応するため、コントリビューターとしてはP2やP3のIssueを対応した方が効率的である。
- 貢献のしやすさ: flutter/flutter リポジトリはDartで書かれている部分が多いため、普段からFlutterを書いている人なら誰でも貢献できる可能性がある。
- オープンソース開発のスピード: Flutter自体はオープンソースですが、開発スケジュールは外部からは不透明です。そのため、対応して欲しい問題や不具合があれば、チーム内で優先度を議論するよりは、自分で解決する方が結果的に早い。
Dart and Flutter MCP serverで実現するAI駆動E2Eテスト整備と自動操作
今回のFlutterKaigiの中では、このセッションが最も「AI駆動」を真正面から扱っていたと感じました。 従来のLLM単体では突破できなかった課題に対し、MCPという新しい仕組みを使ってアプローチを切り替えていく姿勢は、エンジニアリングとして率直に面白い試みだったと思います。 最終的に「まだ実運用には耐えない」という結論に至っていたとしても、そこに至るまでの設計・実験・検証のプロセスを含めて、2024年時点では他に見られなかったタイプの挑戦でした。AI×E2E自動化という新しい領域を切り拓こうとする姿勢自体が価値であり、その発表は称賛すべきだと感じました。
今後のFlutterKaigi
Flutter Kaigi が今後 FlutterNinjas と統合され、より大きなコミュニティへ進化していくという発表には、会場全体が沸き立っていました。 国内イベントの枠を超え、国際的にも存在感を持つ “日本発の Flutter カンファレンス” が育っていく姿を目の当たりにし、技術者として胸が熱くなる瞬間でした。
アンドパッドも、Flutter を日々使うプロダクト開発者として、この成長し続けるコミュニティの一員であり続けたいと考えています。 これからも知見を共有し、課題に向き合い、現場から得た学びを還元しながら、Flutter Kaigi のさらなる発展に貢献していければ幸いです。
来年も、さらに進化した Flutter と、より強いコミュニティに出会えることを楽しみにしています。
iOS/Androidエンジニア募集中
アンドパッドではiOS/Android エンジニアを募集しています!
*1:DORAレポート:開発のスピードと品質を4つの指標で数値化し、プロセスのボトルネックを特定して、次に投資すべき改善を意思決定するためのDORAが発行しているレポートhttps://dora.dev/research/2025/