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同じ作品を3回味わうだけで、思考が深くなる:読む→聴く→観る

こんにちは、プロダクト部 部長の稲垣です。(自己紹介やこれまでのキャリアについて↓をご覧ください。) tech-blog.rakus.co.jp

お客様を知らないといけないので、「もっと深く考えて」と言われた瞬間に、急に手が止まることがあります。 フレームワークや知識は増えているのに、いざ実務だと「機能の足し算」しか出てこない——。

これ、能力の問題というより “鍛え方の種類” の問題だと思っています。 今日提案したいのは、名作を使った超シンプルな思考トレーニングです。

同じ作品を「読む→聴く→観る」の3回、メディア違いで摂取する。 それだけで、ユーザー理解に必要な「論理/情緒/直感」を行き来できるようになります。

この記事で得られること

ユーザーが 言語化できる情報 と 言語化できない感情 を分けて捉えるコツ

  • 画面を「足す」よりも、価値を「残す」ための 引き算の設計
  • 思考が詰まった時に、発想を動かす 具体的な手順

なぜ「同じ作品を3回」なのか

脳はラクをしたがるので、つい “慣れた窓” から世界を見ます。 ビジネス書ばかり読んでいると、何でもビジネスロジックの窓で解釈してしまう。 すると、ユーザーの温度感や迷い、言葉にならない「違和感」を取りこぼしやすくなります。

そこで効くのが、同一題材のメディア切り替えです。

同じ物語でも、活字・音・映像で、脳に届く情報の種類が変わる。 =思考の筋肉を、強制的に“別の角度”から使えるようになります。

実践:3メディア分解(所要:合計2〜4時間)

題材は何でもOKですが、最初はメディア展開が豊富な作品がやりやすいです(例:『星の王子さま』)。

※作品名・サービス名はあくまで例です。特定の企業やサービスを推奨する意図はありません。入手しやすい方法(紙・電子・図書館・音声・配信など)でOKです。

1回目:読む(活字)—「構造」を立ち上げる

狙い:論理構築力/情報設計(IA)寄りの筋肉

読みながら、次のメモだけ取ります(全部書かなくてOK)。

  • 登場人物(または要素)の関係は?
  • 物語の転換点はどこ?
  • “作者が言ってないこと”は何?(空白はどこ?)

ここでやっているのは、文章から「骨格」を立てる練習です。 プロダクトで言えば、ユーザー行動の前後関係や、要件の構造化に近い。

2回目:聴く(音声)—「温度」を拾う

狙い:共感/リズム感/体験設計(UX)寄りの筋肉

オーディオブックや朗読、ラジオドラマなどで聴きます。 ポイントは「意味」ではなく「揺れ」を拾うこと。

  • どこで声が強くなる? どこで間が空く?
  • 自分の感情が動いたのはどの場面?
  • “言葉にできない”けど残った余韻は?

ユーザーインタビューでも、言葉より 間・言い淀み・声のトーン に価値が乗ることがあります。 聴く練習は、そこを拾う感度を上げます。

3回目:観る(映像)—「引き算」を学ぶ

狙い:直感/審美眼/表現の取捨選択(UI)寄りの筋肉

映像は情報量が多いぶん、作り手の“選択”が見えます。

  • 何を見せ、何を見せなかった?
  • 1秒で伝えるために、何を捨てた?
  • 「正解」を提示しすぎていない?

ここで得たいのは、足し算ではなく“残し方”の感覚です。

深掘り:強いプロダクトは「80%で止める」

私も経験が浅い頃ほど、不安から「全部説明したくなる」瞬間がありました。でも、体験が強いプロダクトほど、実は 余白 があります。

余白設計のコツ

  • 説明を 80%で止める
  • 残り20%を、ユーザーが「自分の言葉/自分の意味」で埋められるようにする

ユーザーが“自分でわかった”瞬間、プロダクトは「誰かのもの」から「自分のもの」になります。 この手触りが、継続利用や愛着(ブランド)につながります。

このトレーニングを「ユーザー理解」に接続するコツ(仕事への落とし込み)

3回やったら、最後にメモを1枚にまとめて、次の3つだけ作ります。

  1. ユーザーの“言語化された要望”(読むで拾った骨格)
  2. ユーザーの“温度・揺れ”(聴くで拾った違和感)
  3. 体験としての“残し方”(観るで見えた取捨選択)

そして、プロダクト改善の形に変換します。

  • 「ユーザーは何に迷っている?(迷いの正体)」
  • 「その迷いを減らす“最初の一歩”は何?(オンボーディングの1手目)」
  • 「説明を増やす代わりに、何を消せる?(余白設計)」

この3つが揃うと、「機能の足し算」ではなく 価値の設計 に思考が寄ります。

もう一段伸ばす:あえて「アウェイ」に行く

3メディア分解に慣れたら、次は 自分が避けがちなジャンルで同じ実験をします。違和感が強いほど、思考の回路が増えます。

  • ロジック派なら:感情や熱量が主役の作品(例:『火花』)
  • リアリストなら:抽象度が高い作品(例:『銀河鉄道の夜』)

AIで“振り返り”を加速する(※安全に)

AIは答えを出す道具というより、思考の壁打ち相手にすると効きます。 各回のあと、メモを短く貼って以下を聞くだけでもOKです。

  • 「この作品の論点を3つに要約して。根拠になった描写も添えて」
  • 「反対意見(別解釈)を2つ出して」
  • 「プロダクト改善に置き換えるなら、どんな仮説と検証案になる?」

結び:日常のすべては、思考の実験場

「思考力が弱い」と落ち込む必要はありません。 鍛え方を少し変えるだけで、視点はちゃんと増えます。 まずは手元の作品を、これまでと違うメディアで1回だけ。思考のOSは、そこから静かに更新され始めます。


参考:このトレーニングをする時のおすすめ作品

※「音声化/映像化されているとやりやすい」という観点の例です(特定サービス推奨ではありません)。

海外の作品

  • 『ハリー・ポッターと賢者の石』(J.K.ローリング)— Audibleあり/映画化(2001)
  • 『指輪物語 旅の仲間』(J.R.R.トールキン)— Audibleあり/映画化(2001)
  • 『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス)— Audibleあり/映画化『まごころを君に』(1968)
  • 『三体』(劉慈欣)— Audibleあり/Netflixドラマ化(2024)
  • 『ダ・ヴィンチ・コード(上)』(ダン・ブラウン)— Audibleあり/映画化(2006)
  • 『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)— Audibleあり/ドラマ化(2015)
  • 『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ)— Audibleあり/ドキュメンタリー化(制作進行中)

日本の作品

  • 『こころ』(夏目漱石)— Audibleあり/映画化(1955)
  • 『人間失格』(太宰治)— Audibleあり/映画化(2010)
  • 『雪国』(川端康成)— Audibleあり/映画化(1957)
  • 『沈黙』(遠藤周作)— Audibleあり/映画化『沈黙 -サイレンス-』(2016)
  • 『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)— Audibleあり/映画化(1985)
  • 『ノルウェイの森(上)』(村上春樹)— Audibleあり/映画化(2010)
  • 『白夜行』(東野圭吾)— Audibleあり/映画化(2011)
  • 『告白』(湊かなえ)— Audibleあり/映画化(2010)
  • 『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健)— Audibleあり/ドラマ化(2017)
  • 『火花』(又吉直樹)— Audibleあり/Netflixドラマ化(2016)
  • 『屍人荘の殺人』(今村昌弘)— Audibleあり/映画化(2019)
  • 『かがみの孤城』(辻村深月)— Audibleあり/アニメ映画化(2022)

記事を読んでラクスのプロダクト部に興味を持ってくださった デザイナー/PdM の方 は、ぜひカジュアル面談からご応募ください。

※プロダクトマネージャーのカジュアル面談は、基本的に私(稲垣)が担当します!

●採用情報 プロダクトマネージャー career-recruit.rakus.co.jp

デザイナー https://career-recruit.rakus.co.jp/engineer_jobs/uidesigner_tokyo/career-recruit.rakus.co.jp




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