
自己紹介
こんにちは、株式会社ラクスでプロダクトマネージャー(以下PdM)をしている柴と申します。 楽楽精算のPdMを経て、現在は楽楽精算モバイルアプリ・楽楽明細・楽楽債権管理・AIリーン開発と複数のプロダクトでPdMを担当しています。 (PdM積極採用中です!!)
今回はPdMという役割を経験して私が感じてきたことを記事にしてみます。 PdMを目指している方やPdMという役割にもやもやしている方の参考になると幸いです。
はじめに
「隣の芝が青く見える」——この言葉が、私のPdMキャリアの最初の数年間を象徴していました。
SNSで目にする「戦略を描くPdM像」、イベントで語られる「PMFを達成したPdMの話」、そして「経営に貢献するPdM」の事例。 それらと比較して、私は「自分のやっていることは、本当にプロダクトマネジメントと言えるのだろうか?」と疑問を持っていました。
そんな中でも派手ではないけれど確かに意味のある仕事を続けた結果、今は複数のプロダクトのPdMを担当させてもらっています。
この記事では、過去のモヤモヤや迷いも含めながら、「自信がない中でも前に進み続ける」ためのマインドや行動習慣をお伝えします。 比べることに疲れたジュニアPdMに、ちょっと肩の力を抜けるようなヒントを届けられたら嬉しいです。
1. ジュニアPdMが感じる"理想像"のプレッシャー
SNSやイベントで語られる「理想的なPdM像」に圧倒される
PdMとしてのキャリアを歩み始めた頃、私はSNSやイベントで語られる「理想的なPdM像」に圧倒されていました。 戦略を描くPdM、PMFを達成したPdM、経営に貢献するPdM——これらの情報を見るたびに、「自分は全然できていない」と感じていました。
外部から得られる情報と自分の日常業務を比較して、いつも「もっと大きなことをやらなければ」と焦っていました。
ただ今振り返るとこれらはすべて結果(成果)であり、そこまでの道のりは皆同じように日々の業務の積み重ねであるということに気づきました。
2. 実録:同じ会社でも、PdMの仕事はこんなに違う
楽楽精算・楽楽精算モバイルアプリ・楽楽明細・楽楽債権管理・AIリーン開発、それぞれでのPdM業務の違い
ラクスに入社して、実際に複数のプロダクトを担当したり、他社のPdMと直接交流する中で気づいたことがあります。 それは同じ会社でも・会社によっても、プロダクトによっても、PdMの役割や期待が全く違うということです。
以下が私が各プロダクトの参画当時に求められているなと感じ、実行したことの概要です。
(市場環境やAI技術の発達などの外部環境や内部の組織変革によって常に変化していますのでその点はご留意ください。また現在も携わっているプロダクトもありますが統一感のためにあえて過去形で書いています。)
楽楽精算(経費精算システム)
成熟期を迎えた楽楽精算では、PdM/PMMともに他のプロダクトと比較して人数が多く、役割分担も明確な中で、新規参画したPdMには個別の案件(課題)への深い入り込みと主体的な推進が求められました。各案件は影響範囲や難易度が高く、課題の本質を見極め、進め方を組み立てる力が特に求められる環境でした。複雑な課題を整理し、仕様策定とエンジニア・ビジネスサイドの合意をリードする業務が中心で、この時期は「課題解決と合意形成に徹する日々」でした。
楽楽精算モバイルアプリ
成長期かつ今後重要な成長ドライバーになるべきモバイルアプリでは、課題はあるが、何を優先すべきか、どういった順番で進めるかの整理がされていない状態であり、モバイル開発チームとしてしっかり成果をあげる必要がありました。ビジョンから体制づくりまで支援し、安定した開発を実現することが求められ、この時期は「チーム安定化とビジョン実現に徹する日々」でした。
楽楽明細(請求書発行システム)
成熟期の楽楽明細では、エンジニアのキーマンに様々な業務の推進/意思決定が依存している状態でした。また、ジュニアPdMが先行して参画しており、成果物のレビューや業務のサポートが必要な状態でした。スケールに向けた属人化からの脱却と同時にチームの成果を守ることが求められ、この時期は「チームサポートと成果保護に徹する日々」でした。
楽楽債権管理(債権管理システム)
導入期の楽楽債権管理では、0→1フェーズであり、最速でのPMFを目指すために市場や顧客を深く/広く理解して、優先して解くべき課題を発見する能力が求められる環境でした。役割分担も明確に決まっておらず、自発的かつ積極的に行動することが求められ、この時期は「市場理解とPMF追求に徹する日々」でした。
AIリーン開発
AIリーン開発では、市場ニーズの検証とプロトタイプの作成が主な役割でした。AI技術の検証、プロトタイプの作成・テスト、事業貢献の可能性探索など、将来の事業拡大を見据えた技術検証業務が中心でした。この時期は「技術・ニーズ検証に徹する日々」でした。
上記のようにプロダクトの規模やフェーズによって、ビジネス側との関係性やPdMに特に求められる役割も大きく異なります。楽楽精算・楽楽明細のような大規模(ステークホルダー、売上)プロダクトでは、1人のPdMでは対応しきれません。PdM内でも長期的なビジョンとロードマップを策定や、個別機能の仕様策定・開発管理、ユーザー対応・要望収集を行うというテーマ単位での役割分担が必要になります。
3. 他人比較をやめる:隣の芝は青く見えるけど、それでよい
プロダクトのフェーズ・体制・文化で"青さ"の基準は違う
「隣の芝が青く見える」という感覚は、プロダクトのフェーズやチーム体制、組織文化によって生まれています。導入期、成長期、成熟期で求められる役割が違いますし、チームの人数やスキルレベル、経験値でできることも違います。また、組織の意思決定の速さやリスク許容度、イノベーション重視度も影響します。
「今の自分が、目の前のお客様やチームに何を提供できるか」を軸にする
他人と比較するのではなく、お客様にとって今のプロダクトで何が改善できるか、チームにとって今の自分が何をサポートできるか、事業にとって今の状況で何が貢献できるかを考えるようにしました。
「求められていること」に目を向ける
各プロダクトで「求められていること」は異なります。完璧なジョブディスクリプションがある場合はそれに準ずることができますが、多くのプロダクトマネージャーは間に落ちるボールを拾う役割を担うケースが多いと思います。プロダクトの成功のために組織として何が求められているか?に常に目を向けるようにしました。
小さな信用を積み重ねて、信頼を得る
大きな成果を一度に出すのではなく、小さな信用を積み重ねることを意識しました。期限を守ることや品質を保つこと、進捗を共有して課題を早期発見すること、小さな問題も真摯に向き合うこと、分からないことは素直に聞くことなど、一つ一つの行動が信頼につながっていきます。 その信頼によって大きな仕事を任されるようになります。
4. それでも見失ってはいけない"PdMの本質"
各プロダクトでの役割が違っても、目指すべきはプロダクトの成功
具体的には、ユーザーの課題解決や使いやすさの向上といったユーザー価値と、売上向上やコスト削減、効率化といった事業価値の両立を目指すことです。
タスクに追われて目の前しか見えなくなる中でも、定期的に「この仕様が誰の課題を解決して、どう売上につながるのか?」を問い直す
日々の業務に追われていると、目の前のタスクしか見えなくなります。それを防ぐために、以下のような習慣を持ちました。
週次振り返り
今週やったことの意味を考えること、ユーザーにとっての価値を確認すること、事業への貢献を言語化することが重要です。
月次振り返り
プロダクトの方向性が正しいか確認すること、優先度の見直しを行うこと、長期的な目標との整合性を確認することが必要です。
PdMの自信は「正しい問いを持ち続けること」からも生まれる
以下のような問いを常に持ち続けることが重要です。ユーザー視点では「この機能は誰の課題を解決するのか?」、事業視点では「この改善はどう売上につながるのか?」、技術視点では「この実装は適切な技術選択なのか?」、チーム視点では「この進め方はチームにとって最適なのか?」といった問いを繰り返し考えることで、PdMとしての自信が育まれていきます。
5. どう育てるか:PdMとしての自信をつくる3つの行動
「誰の役に立てたか」に目を向ける
身近な「ありがとう」を信じることが重要です。
営業からの感謝
「この機能のおかげで商談が進んだ」や「顧客の要望に迅速に対応してくれて助かった」といった声
CSからの感謝
「ユーザーの問い合わせが減った」や「問題の原因を特定してくれて助かった」といった声
開発からの感謝
「仕様が明確で開発しやすかった」や「優先度が明確で計画が立てやすかった」といった声
顧客からの感謝
「使いやすくなった」や「業務効率が向上した」といった声
「プロダクトを前に進めた感覚」を言語化する
小さな進歩でも、それを言語化することで自信につながります。
仕様が決まった
「曖昧だった要件が明確になった」や「関係者の認識が揃った」といった感覚を言語化することで、小さな進歩でも自信につながります。
優先度が決まった
「開発リソースの配分が最適化された」や「ユーザーにとって重要な機能が優先された」といった感覚を言語化することで、プロダクトを前に進めた実感を得られます。
リリースが完了した
「計画通りにリリースできた」や「ユーザーからの反応が良かった」といった感覚を言語化することで、成果を実感できます。
「学んだことを振り返る」習慣を持つ
定期的な振り返りが成長につながります。
週次振り返り
今週学んだことや改善できたこと、次週への課題を整理することで、小さな成長を実感できます。
月次振り返り
今月の成果や学んだスキル、次月の目標を整理することで、より大きな成長を実感できます。
1on1での報告
成長した点や課題となっている点、サポートが必要な点を整理して報告することで、上司との対話がより充実したものになります。
ラクスのPdM組織では各プロダクトのPdMが集まって行う週次・月次の定例会が実施されるともに、上長やビジネスサイドのキーマンとも1on1を実施しており、 上記のような振り返るや課題のすり合わせを行う場が設けられています。
6. おわりに:歩き続けることで育つキャリア
正直に言うと、他人と比較して落ち込むことは、今でもあります。でも、それは自然なことだと受け入れられるようになりました。
プロダクトマネジメントは、常に変化し続ける分野です。完璧な状態は存在せず、常に改善の余地があります。だからこそ、今の一歩に集中することが重要です。
小さな行動でも、誰かのために動いたその行動は、確かに価値を生んでいます。それを信じて、一歩ずつ前に進み続けることが、PdMとしての成長につながります。
今、自分なりに育ててきた芝が、少し青く見えるようになってきた——それが、伝えたかったことです
PdMキャリアを通じて、私は自分の足元に目を向けることができるようになりました。 他人と比較するのではなく、自分の現場と向き合い、目の前の課題に真摯に向き合うことの大切さを学びました。
今、自分なりに育ててきた芝が、少し青く見えるようになってきました。 それは、完璧な状態になったからではなく、自分の価値観と向き合い、一歩ずつ前に進み続けた結果です。
まとめ:同じモヤモヤを抱えているPdMへのメッセージ
他人と比較しない
プロダクトによって役割が違いますし、フェーズによって求められることも違います。自分の現場に集中することが重要です。
小さな価値を積み重ねる
約束を守ること、コミュニケーションを大切にすること、問題解決に真摯に向き合うことが、小さな価値を積み重ねることにつながります。
定期的に振り返る
週次・月次での振り返りや学んだことの言語化、成長の実感を定期的に行うことで、継続的な成長が可能になります。
正しい問いを持ち続ける
ユーザーにとっての価値や事業への貢献、技術的な適切性について、常に正しい問いを持ち続けることが重要です。
隣の芝が青く見える世界で、自分の足元に目を向けられるようになるまで。 それは、他人と比較するのではなく、自分の価値観と向き合い、一歩ずつ前に進み続けることです。
あなたの芝も、きっと少しずつ青くなっていきます。焦らず、一歩ずつ、歩き続けていきましょう。
[Appendix]PdM・デザイナー積極採用中!
ラクスでは様々なフェーズのプロダクトに携わることができます。
興味を持った方は是非カジュアル面談からお申込みください。