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物流現場で頭上を通るコンベアを内製して、作業時間を300秒から17秒に削減した話

はじめに

こんにちは!物流部門で設備技術チームに所属している中垣です。
MonotaROの物流センターに勤務しており、設備導入や改善業務に取り組んでいます。

本記事では物流現場における「自動化設備の内製フロー」についてご紹介します。

「物流の人がテックブログ!?」と思われるかもしれませんが、先日開催された社内カンファレンス「ManabiCon(マナビコン)」で本記事の内容を紹介したところ、システムエンジニアの方々からも「課題への取り組み方」に学びがあると非常に好評をいただき、執筆する運びとなりました。

マナビコンについては過去に関連記事も出しているので詳しくはこちらをご覧ください。

tech-blog.monotaro.com

【この記事から学べること】
・設備内製のプロセス
・物流現場の改善事例及びプロセス

どんな設備を作ったのか

まず、今回内製した設備の全体像を紹介します。

内製コンベア全体像
アルミフレームと専用の電動部品を組み合わせて製作しています。

当社物流センターの出荷エリアに設置しており、既設コンベアのリジェクト部から梱包台まで、商品の入った段ボールを自動搬送します。

【構成と役割】

  1. 導入コンベア  :リジェクトされた段ボールを上昇リフターまで搬送

    導入コンベア

  2. 上昇リフター  :段ボールを、頭上高さまで昇降

    上昇リフター

  3. 上空搬送コンベア:歩行者通路の上を搬送

    上空搬送コンベア

  4. 下降リフター  :作業高さまで降ろし、各梱包台へ供給

    下降リフター

  5. 完成品コンベア :梱包後の段ボールを出荷場所へ搬送

    完成品コンベア

以上が内製した設備です。

なぜ内製したのか

「へぇ〜こんな設備を作ったのか〜。でもなんで内製したん??」と思われるかもしれません。
理由は率直に「コスト」です。

きっかけはカタログでした。
あるメーカーのカタログでリフター装置を見つけ、その金額を見たときに「安い!これは使える!」と活用イメージが湧き、導入を検討し始めました。

内製により、コンベアメーカー発注と比較して5分の1以下のコストで収められています。

プロセス全体像

次に、内製プロジェクトのプロセス全体像です。

  1. 現状把握と改善案の検討
    • 現状把握
    • レイアウト検討
    • 改善効果の試算
  2. 試作と検証
    • 試作コンベアの設計・製作
    • 検証実施
  3. 社内レビュー(関係者合意)
  4. 詳細設計
    • 概算見積の算出
  5. 稟議申請(投資承認)
  6. 調達、制御設計
    • 部材発注
    • コンベア制御(PLC/配線)の設計
  7. 製作・試験
    • 組立
    • 単体試験
    • 連動試験
  8. 据付・立上げ
  9. 導入後改善

次章以降で、主要なプロセスに絞って解説します。

現状把握と改善案の検討

【現状把握】
出荷エリアには、最終工程で段ボールにふたをする自動封函機があります。封函機は段ボール内の商品の高さを自動で検知し、その高さに合わせて四隅をカットして折りたたみ、ふたをします。

一方で、最大サイズの段ボールでもふたができないほど背の高いオーダーは、折りたたみコンテナに入れ替えてコンベアから抜き取り、手作業で梱包する「手梱包」ラインへ搬送していました。

この流れでは次の3点が課題となっていました。
1. コンベアからコンテナを抜き取る作業
2. 抜き取り場所から手梱包エリアまでの搬送
3. 一から箱を組み立てて梱包する手作業

【改善案の検討】
それぞれの課題ごとに、次の改善を行う方針としました。
内製したコンベアで、「2.搬送の自動化」を実現しています。

1. 抜き取り作業の発生抑制
- 封函機の設定を見直し、上限高さを超える場合でも商品の高さで四隅をカット可能にする。
- 機械的制約により、ふた動作は行わずに四隅カットの状態でリジェクトへ排出する。
2. 搬送の自動化
- リジェクト部から手梱包エリアまでの自動搬送レーンを新設する。
3. 手梱包の簡略化
- 四隅カット済みの段ボールが到着するため、折りたたんでふた用資材を貼るだけで出荷できるようにする。

これにより、抜き取りと搬送の工数を削減し、手梱包も「ふた作業」が中心になります。
実測の一例として、手梱包作業時間は前:約300秒 → 後:約17秒となり、約94%の短縮を確認しました。

試作と検証

現状把握と改善案の検討で、試算結果から改善の効果を見込めることが分かりました。

しかし、内製コンベアの導入実績がなく、既設コンベアと違った方式を採用する計画であったため、

  • ちゃんと段ボールを搬送できるのか?
  • 搬送不良を起こさない電動部品の配置は?
  • 軽いものから重いものまで問題なく搬送できるのか?

など、コンベアを試作して検証を行い信頼性を担保する必要がありました。

そこでまず最小限の構成で、導入コンベアを試作し検証を行いました。
検証では、軽いものから重いものまで代表的なワークを用意し、搬送状態や制御の確認を行いながら修正を繰り返し、試作の改良を行いました。

一定の手応えが得られた段階で、試作機を現場に仮設置し、リジェクト部から導入コンベアへの受け渡しやリジェクトされたワークの搬送状態を評価しました。
あわせて、手梱包の生産性改善の運用データを採取し、生産性試算の前提を現場条件で裏づけました。

このプロセスを通じて、電動部品配置の基準値や制御パラメータの目安を確立でき、設計にそのまま反映可能な知見が揃いました。結果として、生産性の試算精度と内製コンベアそのものの信頼性を向上させることが出来ました。

製作・試験

無事に社内稟議を通過し、製作プロセスに進みました。

製作では、次の流れで各コンベアユニットを組み上げました。

  • アルミフレームの組立
  • 電動部品の取り付け
  • 制御配線の実装

特に制御配線は工数がかかり、作業負荷が大きい工程でした。

続いて、各ユニットごとに単体試験を実施。軽量・重量・偏荷重などの想定ワークを流し、搬送状態を確認しながらセンサー位置や電動部品の配置、制御パラメータを調整して完成度を高めました。

次に、単体試験をクリアしたユニットを連結し、連動試験を実施しました。連動試験では、コンベア間の乗り移りや信号連携に不具合がないかを中心に確認し、必要な修正を加えて安定稼働の条件を固めました。

単体試験ではユニットが最小単位のため大幅な修正が可能で、連動試験では乗り移り部などの軽微な修正に集中することで、作業効率を高められました。

最終的に、すべてのコンベアをつないで実際の稼働環境を構築し、ライン全体の搬送試験と調整を繰り返しました。

据え付けの際は各ユニット単位まで分解し、現場へ搬入して設置を行いました。

入念な試験で完成度を高めていたため、据え付け工事は1日で完了し、翌日から稼働を開始できました。

まとめ

苦労した点

リフター部分の設計で、使用する電動リフターの取扱説明書に記載されている情報をもとに、安全カバーやテーブルの設計を行ったので、図面を作製するのに苦労しました。

また電動パーツの駆動配線やセンサー類の配線をすべてイチから作製したことや、異常の要因分析と改善を繰り返し行い、安定的に搬送ができるようになるまで苦労しましたが、どれも楽しく取り組む事が出来ました。

まなび

小さく試して完成度を上げ、段階を踏んで進めることにより、順調に製作を進めることが出来ました。

また据え付け前に完成形を作り、搬送テストと改善を実施して完成度を上げ、可能な限りそのままの形で移設して据え付けを行ったことによって工事期間を最小限に抑える事が出来たことは、非稼働の時間が短い当センターにおいては大きなまなびとなったと思います。

MonotaRO では資材調達ネットワークを変革するために様々な改善に取り組んでいます。 また、「他者への敬意」「傾聴」「主体性」といった行動規範が日々のコミュニケーションや意思決定の基盤として大切にされており、それが風通しの良さや協力し合える環境につながっています。実際に多様な考えを尊重し合いながら、自分の意見やアイデアを発信できる文化が根付いています。

もしこのような価値観や働き方に興味があれば、ぜひ カジュアル面談 でざっくばらんにお話ししましょう。 (特に本記事にご興味のある方は「その他」をご指名ください😉)

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