今日、完全に不意をつかれて、ある騒動に傷ついてしまった。
私は足が大きいことがコンプレックスだ。
今、26㎝の靴を履いている。
背が高いわけではない。158㎝しかない。
今は、足が大きい女性もいるよと言われたとしても、私の場合足の幅も広い。
だから、普段はウォーキングシューズかスニーカーを履いていることが多い。
どうしても、正装する場合は、パンプスや女性らしい靴を履かなければならないが、それを探すのは至難の技で大変な思いをしている。
現在履いているウォーキングシューズも、ユニセックスな感じの紳士物の26㎝の物を履いている。
ユニセックスとはいえ、一見して紳士物にしか見えないのはわかっている。
それでも、ほんの少しでも幅が細く見える物を探したつもりだった。
どこかに人と行くときに、靴を脱いで座敷などに上がることがあまり好きではないのは、脱いだ靴を人目に晒すからだ。
人によっては履いている靴をまじまじと見る人もいるけれど、たいていの人はそんなには見ないと思う。
しかし、持ち主から離れて並んでいる靴は、よく見られる。
自分の靴を探しながら見るから仕方ないが、そのシチュエーションになることがあまり好きではない。
その靴が私のだとわかることが、何か悪いことをして見つかるのではないかとヒヤヒヤすることと同じくらい緊張するからだ。
その点、脱いだ靴を下駄箱に入れるお店などはまだマシだ。下駄箱を見つけるとホッとする。
サッと脱いでコッソリしまい、またコッソリと履いて出てしまえば人の目に触れないからだ。
前置きが長くなってしまったけれど、今日の出来事はこうだった。
私はPTAの役員をしていて、今日はその集まりがあった。
入学式の資料を作るということで、役員11名中の半数以上がPTA室に集まった。
いつものように和やかに作業は進められた。
作業が終わって、私以外の仲間は帰ろうとしたけれど、私にはまだ仕事があった。
それは、1週間後に迫った卒業式の朝に、6年生にPTAからプレゼントするお菓子を渡すのだけれど、その時間を6年生の先生と約束するという作業だった。
まだ授業中だったので、あと10分ほど休み時間まで待たなければならなかったのだ。
本当は、誰かに一緒に待っていて欲しかったけれど、これくらい一人でもできるし、一人でした方がいいかなとも思っていた。
ただ、先生に話に行くだけなんだけれども、失礼のないようにとか、今のタイミングでいいかなとか少しナーバスになってそのことに集中していたから、みんなと会話をする余裕をなくしていたとも言える。
ところで、PTA役員は、他の保護者よりも学校に来ることが多いから、学校の下駄箱を借りることができている。
それで、来年度の役員を副会長から会計監査に変わる仲間や、お子さんの卒業とともに役員も辞める仲間が、今年度まで借りていた下駄箱を返却するという話をどうやらみんなでしていたようだった。
現在、下の方を使っていた人に上の方が空くから使ったら? というようなことを彼女たちが言いながら、片っ端から開けていっている矢先にその騒動は起こった。
どの下駄箱が今使われているのか気になったから、全てを開けていったのだと思う。
いや、騒動というのは、私のあくまでも主観であって、私以外の仲間にとっては取るに足りない出来事だったとは思う。
「え? これ、誰の?」
「ん? 男の人の靴だよね」
私は、6年生の先生に話をしに行かなければという思いでいっぱいいっぱいだったので、一語一句は覚えていないけれど、そのようなことを言っていたようだった。
「誰?」
PTA役員として男性は今所属してないので、本当に誰のものかわからなくて怖くなってしまったようで、みんなでざわざわし始めていたときに、ようやく、私がそれに気がついた。
「あ、それ、私の」
「えー!!」
すごく驚かれた。
その事実が胸に突き刺さった。
「足いくつ?」
「25.5か26」
「大きいね」
「うん」
「ごめん、すごいびっくりしちゃった」
「うん」
「足が大きい人は手も大きいっていうけど大きいの?」
「どうだろう?」
「普通かあ。でも大きいかも」
「そうかな?」
「……」
「……」
そんな会話が繰り広げられた。
ものの1分もないと思う。
でも、私は、返す言葉がなかった。
なんなら
「そうなんだよ。足のサイズに合う靴がなくていつも困るんだよ」
とでも言って笑えればよかったのかもしれない。
でも、なんの心の準備もせずにいたから、全く悪意のない発言だって知りながらもすごく傷ついてしまったんだ。
だから、気の利いた言葉の一つも出なくて、空気が澱んでしまった。
空気を澱ませてしまったことも辛かった。
なんで笑い話にできなかったんだろうって。
家に帰ってきても、なんか落ち着かなくて、ついさっきまで、グルーブのLINEで「さっきは反応が悪くてごめん」って発言しようかと思っていた。
けれど、やめた。
それだと、あまりにも自分がかわいそうだ。
でね。
すごくモヤモヤしているから、せめて、その時の自分の気持ちを書き留めておこうと思って、今、書いている。
本当は悲しかったんだ。
私だって好きで大きな足をしているわけじゃないんだ。
そんな、みんなでびっくりしなくたっていいじゃないかと思った。
みんなが意地悪でそんなことを言ったんじゃないってことはわかってる。
純粋にただ驚いただけなんだってわかるよ。
でも、悲しくて、なんて言っていいかわからなかったから、言葉がうまく出なかったんだよ。
言葉がうまく出なくて空気を澱ませてしまったことも辛かった。
でも、仕方なかったんだ。
だから……だから、仲間のことも、私自身のこともゆるそうと思う。
悲しんだ自分。
私が傷つくなんて思いもよらなかった仲間たち。
空気を澱ませてしまった自分と、空気を澱ませてしまったことに申し訳なさを感じる自分も、みんなゆるそう。
ここまで書いてようやく、ホッとした。
私も人知れず、例えば、ただ純粋に驚くことによって、人を傷つけていることもあるかも知れない。
本当に悪意はなくても、人を傷つけることもあるんだ。
そのことに気がつけただけでも、今日のことは意味のあることだったのではないだろうか。
これからも私は、この大きな足で地面を踏みしめながら生きていくことになる。
恥ずかしがってしまっては、足に申し訳ない気もする。
ホッとしながらも、まだモヤモヤは残るけれど、少しだけスッキリもしたので、今日のところはこれで終わりにしようと思う。