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聳える「クスノキの番人」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は東野圭吾の初めてのアニメ映画化、という売り文句。本屋に行ってみたら続編も出ていました。それにしても東野圭吾の映像化は山ほどあるのに「初」のくくりで売れると踏んでいるのはなんというか豪胆ですよね。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.6点

(以下ネタバレ有)

 好感を持つ、というライン。湧き上がるパッションは自分にはなかったが、単にツルッとした東野圭吾原作をそのままアニメーションにしました、程度の量産品の扱いよりは間違いなく上に置きたい感じ。

 開幕、即クビからの留置所、というダイナミックなスタートだが、とにかく主人公の玲兎をクスノキの番人に突然就かせるところまでいかないと話が始まらないのでここは爆速。爆速ののちに、クスノキの番人として仕事を進めながら、クスノキの秘密を探るというブラック企業、もといミッションが与えられる。並行しながら浮気を疑う娘との調査となる佐治家、最初に勤務していた菓子メイカーの社長と息子、ここまでフックアップしてくれた柳澤家、と3つの家の物語とクスノキの祈りを進めていくのだが、基本的に全部同時並行でエピローグも各話分ちゃんとある、という感じなのでなかなか脚本には苦労したのでは?という感じ。クスノキの番人しながら柳澤家の経営に触れていくところは『マイ・フェア・レディ』的であり、お菓子メイカーのところは同性の若者同士で対照的な処遇で交流し、佐治家とは浮気調査の探偵っぽさと大学生年代の恋愛、のようにエピソード的には違う味をさせながら、の展開で飽きさせない工夫をしている。ついでにもう一個飽きさせないのが柳澤千舟、唐突に拘置所に弁護士を派遣して現れる淑女は、高級海藻の嗜みを教えながら、人生に絶望している玲斗に「愚かですねえ」と言ってくれる。基本的に「女王の教室」以降の日本人は天海祐希にこういうことを言ってもらえるだけでワクワクするので、彼女の存在だけでめっちゃ嬉しいのである。天海祐希で居続けながら、千舟でもあり続けていた。天海祐希、かつ柳澤千舟、である。顔が見えても全然良い。天海祐希に限らず、髙橋文哉、宮世琉弥、そしておそらくもっと出色の齋藤飛鳥といった声優陣は仕事をしたと言えるだろう。高橋文哉は「よっしゃあ」だけ練習してくれれば良い。

 正直、クスノキの秘密、というのも大したことない上に、それを隠して自分で分かることこそがクスノキの番人になることだ、とか言っておきながら人の秘密かもしれない祈念を録音して聞いたことが発覚した上で、運任せに人生をしてきたことが後悔している、などという懺悔をしたら秘密を教えてくれるシステム、そしてその途端に受念とか言い出す御曹司くん、と進め方自体はかなり強引だ。クスノキの祈念が悪い方向の呪いかもしれない、佐治家の母の体調不良は他害の呪いかも、と進んでいくのも説得力がない。とはいえ、佐治家の物語を済ませてから進んでいくと短編集のような感触の映画になってしまうのも理解できるだけにここは寄り添ってあげたい、と思う。そう思わせる映画になってた。MOROHAみたいなラップをしだした時だけは見放そうか迷ってしまったことは否めないが。

 アニメーションがやはりどこかまとめすぎない良さ、というのだろうか、それを感じる。勿論、クスノキで千舟さんの祈念を受け取った時のアニメーションも良かったのだが、時々劇画のようなタッチになるほど書き込んでみたり、クスノキでの祈念は多分3Dにおこしてやってるし。あと銭湯。中年以降の男性の体つきでここまでちゃんとしてるのは初めて見た気がする。そこをクリアにリアルにしていくことならアニメーションの未来があるのか、とは言われるとさっぱり分からないが、時間を超えて継承する想い、と言うテーマからしたらあの千葉繁じいさんの肉体に関しては合ってると思う。いやこれほんとすごいと思うよ。

 とはいえ引きで見た時のクスノキの荘厳さというか、一枚絵の強さはもっと欲しかったというか、この木なんの木知らない木、ぐらいの感じなのがちょっと勿体無いか、というところはあるかな。繰り返される東京スカイツリー、東京タワーと比較して聳え立つ、そこにあり続ける時間を超えるものとしての強さを感じる一枚絵が欲しい。

 ちょっと『マイ・フェア・レディ』的なところで言うと、あまりに上流階級スタンプラリーすぎるのは多少気になるかな、というか。大成功した菓子メイカーであんなにやさぐれて金箔を横流ししてしまう杉田智和にはスポットも当たらず、キャバクラ時代の佐々木くんと上田麗奈も悪い誘惑、千舟さんかっけーの材料に過ぎず。佐治さん家はいざとなると老人ホームで娘のピアノコンサートを開いちゃうんだし、発想がブルジョアではある。そもそもご記念にいただくお金が恐ろしい額面であり、それを何度もしている人たち、という点でなんと言うかそんな連中の想いを受け継いで、みたいな話で感動しろ、というのは100円玉の裏表で人生を決めている層に寄り添わなすぎでは?とはなる。それを後悔として千舟さんが抱えていること、それさえ忘れてしまいそうなことがこの映画自体のゴールになっていることからも、ノブレスオブリージュな話だとは思うのだが、まあ引っ掛かりはする。そもそも上流階層たちはクスノキの使い方を知ってるわけで、まあほぼほぼ社交界にようこそ、だもんな。いやー、好感は持っているんですよ、うん。




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