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この島の片隅に「ペリリュー-楽園のゲルニカ-」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 水木しげるの伝記も映画化した方がよさそうだなぁとぼーっと思ったけど、それゲゲゲの女房だ。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

 ペリリュー島。正直、知らなかった。平たく言えば、太平洋戦争で日本が占領した南洋諸島パラオ諸島の一角。劇中でも言及される多くの島々と同様に、ここでも多くの日本兵が玉砕に近い形をとった、そこでのサバイバル、ゲリラ戦法を描いた作品となる。

 珍しいな、という感覚を覚えるのが主人公の田丸一等兵がボンクラであるのは類型的だが、彼が舞台の中で功績係に任命されるところ。あまりにもあっけなく死んだ小山の死にざまを偽装するところから始まる彼の功績係としての任務は、大本営発表と同根のうさん臭さが立ち込め、それはひいては現代におけるデマ合戦の端緒ともいえるかもしれない。この視点から戦争映画を語るのは斬新だと期待したが、中盤までは割と普通の戦争映画。米軍の上陸作戦に対抗して死んでいくしかないペリリュー島の面々、生きて帰る、という願いと、それでいてふわっとしている帰属意識とで生き残りと合流してのゲリラ戦が始まる訳で。正直言って、ここら辺のパートは別に称賛するようなものは何もないかな、と思いました。戦争の悲惨さに関して言えば、『プライベート・ライアン』を見ろ、『野火』を見ろ、『ハクソー・リッジ』を見ろ、『激動の昭和史 沖縄決戦』を見ろ、と言ってしまう。勿論、そうした過去のアーカイブ、傑作群たちにアクセスするよりとにかく劇場に行ってくれれば戦争を反省する映画が見られる、という一定以上の意義を果たしてはいると思うが、頭身を下げてこのアニメーションで描く意味では物足りない。全裸にする以外の意味は無かった。戦車の描写をみて、ガルパンの新作出さずにガルパンの日常モノスピンオフを劇場公開する理由を考えているようではだめなのだ。すなわち戦車が殺人兵器に見えていない。『ユニコーン・ウォーズ』のような残虐性を際立たせるゆえの頭身と思っていたがそうでもなかった。

 ただ、この作品の面白さともいえる功績係を際立たせてくれるのは終盤の展開だ。昭和19年に始まった戦闘が2年経過したことによって、明らかに1945年を過ぎたことを知っている観客に対して、未だ終戦を知らない田丸たち。終わらない戦争、島に戻りつつある平穏、米軍キャンプから物資を盗んでも与えられない打撃。田丸と吉敷は米軍に投降することで事態を明らかにしようとする。そこに立ちふさがる戦争を終えられない男たち。マクロな視点での米軍と日本の戦争の話に見えて、実はミクロな視点の話であったことが明らかになると同時に、これを潜り抜けた田丸の発案によって、ペリリュー島になお潜伏する日本軍の残党に対して、既に戦争の終わった日本に住む家族からの手紙を通して終戦を真実として受け取ってもらおう、という試みは隊員ひとりひとりと対話し続けて来れた功績係としての側面が強い。そう、戦争にどうコミットし、兵隊としてではなく、個人として受け取っていくことで、ミクロな視点から戦争を終わらせるということを描く、ということをしている。まあ正直功績係でなくても、将来漫画家になりたくて絵を合間合間で描いていた、というだけで事足りるとは思うが、そこへの着目を刺せるということだろう。2時間の映画にしてしまったことで、あまりにもあっさりと経過してしまった2年間の積み重ねで軍隊から個を解放する作業が出来るだろうことを考えると、なかなか映画にするには向いていない。

 こと、日本映画においては第二次世界大戦を描くと被害の話がどうしたって多い。そりゃ多くの人は亡くなっているのだから当然だ。だが、本作のようなペリリュー島を始めとして、多くの島で日本軍はこの映画よりももっと過酷な統治をし、米軍に対しても甚大な被害を与えた加害者の側面もある。そうした加害とゲリラの側面を強く持ったまま、ミクロな視点での戦争を終わらせられなかった人物が「恥ずかしながら帰って参りました」の横井庄一だったり、現在三苫薫選手の在籍するブライトンのアカデミーのSNSアカウントで写真を掲載して炎上してしまった小野田寛郎だろう。ペリリュー島でのゲリラ戦闘はこの両者と比較すればはるかに短いが、しかしそれを思い起こすには十分だろうし、そしてミクロな視点での戦争を終わらせることの難しさ、誰かの仇を取る、という感情の置き所の難しさについては『果てしなきスカーレット』よりも語り口としては成功していると言っていいだろう。




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