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大逆転「ホウセンカ」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回の作品は『ホウセンカ』。木曜日の夜にも、毎月1回をめどに配信しているアニならに参加して『ホウセンカ』を含む作品について話しました。

 それでは本題に。

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WATCHA4.0点

Filmarks3.9点

(以下ネタバレ有)

 本作はアニメーション制作がCLAP。『映画大好きポンポさん』『夏へのトンネル、さよならの出口』に続いての作品がこれ、ということでシンプルにまずは安心感を与えてくれるイメージ。そして、監督脚本が『オッドタクシー』の木下麦×此元和津也のコンビ。此元さんはこのタイミングでテレビドラマ『シナントロープ』の脚本も担当しております。

 で、当然『オッドタクシー』コンビが仕掛けてくるんだから、なんかこう大どんでん返しを狙ってくるんだろう、みたいな構え方をこっちもしている訳です。おまけに劇中で取り上げらるキーワードが「大逆転」。野球の中継だとか、オセロの盤面だとか、色んなモチーフを使いながら大逆転を示唆し続ける。一方、その大逆転が起こりうるだろう現在地は、無期懲役小林薫演じる阿久津が、刑務所の中ピエール瀧演じるホウセンカと会話しているだけ。命の灯が消えかけている段階だとホウセンカの声が聞こえるらしい、という一個の設定のウソを噛ましているのでこっちは身構えるんだけど、よくよく考えると『オッドタクシー』も入り口で動物です、っていう嘘をかましておいて、だから構造は似ている。

 何が言いたいかブレまくっている気がするので戻してみると、それだけこっちは身構えている。ホウセンカは阿久津の生んだ想像上の存在だろう、とかそんなオチで終わったら結構怒っちゃうレベル。阿久津と称しているけど、コイツは実は阿久津の心臓をもらったケンスケで、ホウセンカが阿久津で、とかもありえるぞ…と。それだけ身構えているんだけど、当然、刑務所からの大脱獄みたいなエンタメじゃないので、語って聞かせる回想がメインの話。だから、画面も別にスペクタクルな何かは起きない。なのに聞ける。そして結局代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームランは出ない。なのに聞ける。なのに失望しない。これが結構凄いと思う。個人的な印象としては相槌が凄く良い。ピエール瀧、よく考えれば『アナと雪の女王』の初代オラフなんだから声優業、とりわけ今回のようなトリッキーな役回りが出来る人なのをNetflix専用俳優と化している現在にすっかり忘れていたのですが、まあこれがいい。ちょっと素っ頓狂気味な声質にしているのも、間もいいし、たかが植物がなんでそれ知ってんだよ、みたいな言い回しも含めて小林薫演じるいわゆる昔なヤクザとの変奏にあっている。音響監督も脚本も含めてのいい仕事。もっと言うと、ぴょこぴょこスマブラパックンフラワーみたいに動くホウセンカの可愛さもあるので、やはり総合点で勝負して勝ててる。

 その上で、そのピエール瀧に呑まれていると、存命なら高倉健がやってただろと思うぐらい実直に聞こえた小林薫が張り巡らした大逆転のゴールがお金、心臓移植、生存、とズレているように思わせる中で気づけば実直ではなく、執念深い、深みを感じる声に聞こえてくるようになっていた。よくやっている。

 語られる回想と言えば、ほんとうに大したことの無い話だ。バブル前からバブルにかけて、好きになった女性を身請けして、子どもが生まれて。バブルの恩恵にあずかって羽振りが良くなるにつれて家庭を顧みなくなり、そして子どもに心臓移植の必要があることが分かる。お金がいるけど水商売に消えている。兄貴分と共謀して、抗争に見せかけて組の金庫番を殺して持ち逃げする。それだけ。実写でやるには、流石にもうしんどいかもしれないぐらいのものである。でも、『孤狼の血』シリーズ以降、特に生えてきていない大作ヤクザ路線は厳しいのか、なかなか俳優陣も揃えづらいジャンルを復刻させることにある種成功している。ヤクザ映画、確かに時代劇と同じような扱いになっているのかもしれない。

 そんな中で、端から日陰者のはずではあるんだけど、確かにあの時期大手を振って歩いていた(んだろう、としか言えないけど、私は生きていない時期なので)ところから刑務所に入って、でも「大逆転」をするには、まず自分が負けていることを認め直す作業が必要で。当時は許された気がしてしまう家父長的な阿久津の振る舞いも、刑務所の中での自省表現としては存在しうるし、それゆえに逆転の芽が、そう芽が生えてくる。あの当時のまま年老いてまだ負けを認められない安元さん演じる提の兄貴は逆転できない。負けてることを認めていないから。そしたら、ホウセンカが送られてきて許可される。そしてそのホウセンカが話しかけて来るなんて奇跡も、起きたっていいじゃないと思えるのだ。仁義なき戦いに挑んだ阿久津の最期が、昭和の終わりを告げ、ホウセンカは「知らんけど」と散る。散りざまに花火をもっかい出すのはこっちを信頼して欲しかった。このトーンならそれはいらん。こっちで重ねる。




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