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第37回東京国際映画祭報告「キル・ザ・ジョッキー」「ギル」「トラフィック」「オリビアと雲」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は東京国際映画祭の報告。昨年は『アートカレッジ1994』と『深海レストラン』の中国アニメ2本だけだったので東京国際映画祭単体でのブログを書くのは2年ぶりです。2年前は『コンビニエンスストア』『クロンダイク』『山女』『アシュカル』『第三次世界大戦』と、見事に海外作品は『クロンダイク』のみの一般公開でしたが、今年見た実写は一般公開されそうなクオリティでした。アニメは、どうだろう。『深海レストラン』のほうが絶対良かったもんなぁ。

 

 

1.キル・ザ・ジョッキー

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WATCHA3.0点

Filmarks3.2点

 変奏曲とかそういう言葉を思い出すような不思議な感覚になってしまう作品だった。『永遠に僕のもの』のルイス・オルテガ監督新作。

 主人公のジョッキーは開始時点で結構メンタル的にヤバそうというか、全編を通して主演のナウエル・ペレーズビスカヤートが基本的に無表情すぎてなんだかずっと死んでいるようなものである。馬用の麻酔をくすねてレース前にウイスキーで割って飲んだり、しっかりした身体検査の後の通路ですれ違いざま「聖母に祈りを」とか言われて突き進んだ先の聖母の置き物の中に酒が隠されていて一気飲み。JRAがジョッキーたちのスマホ使用にブチギレている対極の世界。そんな彼がジョッキーとして臨んだGⅠで落馬して脳挫傷。ここだけ聞くと完全にシリアスな話なのだが、むくっと起き上がって病室にあった女性の衣服を着こんで頭包帯でぐるんぐるんのまま街中を徘徊し、賭け競馬の元締めをぶっ殺す。コメディ…コメディなんだよね?街中をふらつきだしてからしつこいぐらい体重計に乗って0を指すのを見せてたから、落馬で死んでいるんじゃなかろうかと目をかっぽじっていたら、普通に生きているし、警察が探し始めるし、自首するし、収監されているし、と思ったら天井歩くし。チューニングを合わせるのがめっちゃ難しかった。見ていないんだけど、『永遠に僕のもの』もこんな感じなんですか??ダンスシーンと身体性とか、『美しき仕事』感がある。あれもチューニングが全然合わなかった。

 いずれにしても、パートナー役アブリルウルスラ・コルベロさんがガル・ガドットとかそういう感じの気品ある美しさを見せつつ、悪いおじさん連中も渋さを出せていた。

 

2.ギル

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WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 私は自殺しようとしてなかった、から始まる物語。川に転落した主人公を助けた鰓のある男。助けられた女性がこの鰓のある男を探してSNSに書き込んでその正体を知る人物と語る。そしてその後、鰓の男を訪ねる。そして語る。それだけの話。

 それだけの話なのだが、もう大変よろしくない。終わってみれば、2人の友情の話でいい話なのだが、3人の登場人物がそれぞれ話しているときの回想なのに視点がバラバラになってしまって、その上で時制もぐっちゃぐちゃなので、誰が、誰の視点での話を、いつ、誰にしているのか、が非常に不親切。不親切というか、下手。そもそも回想なのにすでに死んでいる母親のナレーションが入ってくる辺りは全くダメ。そこをどうにか整理し直さないと幼少期の2人の出会いから成長期までが誰視点で語られているのか推進力を持てない。

 その上で、集中する気合に繋がるようなアニメーションの良さもない。多分セルルック3DCGなのだが、全体的に物足りなく、背景美術ともうまく一致していない。スマホの画面とか、引きの絵の時の人物が単に横移動しているだけ、みたいな処理もあるということで正直一般公開するにはクオリティが足りないと感じた。

 

3.トラフィック

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WATCHA4.0点

Filmarks3.8点

 オランダとルーマニアを舞台にした移民の話。オランダでは合法な雇用に従事する移民として暮らすギネルとその妻ナターリアはルーマニアに娘を置いてきている。続々とやってくる移民労働者をバイリンガル故に指示を飛ばすナターリアは派遣されたウェイトレスの仕事で性的暴力に遭う。その時の証言をしてくれそうな男に到達する為、美術展を訪ねたと思ったら、ギネルと彼を誘った悪友イツァたちがその美術展から絵画を盗み、そして地元に逃走して捕まるまでという話になる。

 東欧と西欧の文化的な差異だったり、富豪と貧民の対比がなされていく中で、基本的には男って愚かね、と言える性被害の話が軸になりそうでならない。はっきりピカソのことすら知らないギネルなど、絵画を現金としか捉えていない貧民側、良くは分からないけど絵画として考えている警察側、価値を付けらない思い出と捉える所有者、あるいは息子を貶める証拠なので燃やしてしまう母。ひとつの物事をどう解釈するかに大きな断絶があって、共通言語なんてものはまやかしである、みたいなテーマを感じるんだけどだとしたら性被害の話やオランダでの移民労働の話が完全に後退してしまい導入としてだけ使われたのならそれはそれで不満、みたいな突き抜けなさを感じてしまった。一方で、多様なレイヤーが積み重なる欧州での移民に関連する問題について、明確な快刀乱麻を断つ一撃を求めるのはこっちが分かりやすく解釈したいだけなのでは、という自戒も。

 まあでも、稀代の美術品をあんな扱いする時点でギネルたちのことを真面目に考える気にならないのも事実。なんというか、ある程度どんな考え方も尊重するようにしているつもりでも、知性や歴史・芸術に敬意の無いやつの話を聞く気にはやっぱりならん。

 

4.オリビアと雲

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WATCHA3.0点

Filmarks3.0点

 中米・ドミニカ共和国初の大人向けアニメーション映画。勿論ドミニカ共和国の映画自体が初めて。あとドミニカ国ドミニカ共和国は全く別の国。野球見ていると知っていることのある知識。

 まあとにかく翻弄される。アニメーションの作り方が多様というか、実写や写真、コラージュもう何でもありすぎる。良く言えばアニメーションの秘めた無限の可能性やその包容力を感じさせる、と言えるし、悪く言えばちょっとやりすぎている。個々のアニメーションとしての見どころはたくさんあるんだけど、この作品としての文法が存在しない。日頃見ている日本のアニメというものが、如何にヘンテコなものであっても作画監督システムによって統制されきっている存在であり、スパイダーバースのような作品だって固有の文法と引き算がされていることが分かる。エンドロールでそれぞれのパートを誰が担当したのかが分かるのだが、そういうやり方と考えてしまうとまあ『ポプテピピック』なのだ。それを異なる言語で長編で見せられた時、まあ中々にしんどいという感想になるのは致し方ない。申し訳ない、こういう奔流型は得意ではない。




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