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流浪「愛に乱暴」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回は試写会で鑑賞させていただいた作品。『インサイド・ヘッド2』同様にFilmarksでの試写会なので感想を公開前にアップさせていただきます。

 それにしてもいいロケーションだった。『クリーピー』ぐらいロケーションが完璧。

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WATCHA3.5点

Filmarks3.7点

(以下ネタバレ有)

 話としては『ジョーカー』になる…かと思いきや、という感じだ。日常のルーティンを映しながら(特にゴミ出し)、確実にむしばんでくる社会の色んなちょっとしたこと。主人公の桃子はそこに疎外感を感じながら静的な怒りをたぎらせてルーティンが乱暴になっていき、それを江口のりこが見事な好演だった。勿論、第1の居場所となっている家庭を杜撰に扱う小泉孝太郎は、最早逆に悪い人のイメージが定着し始めているような気すらするいやーな感じの人で、誰が悪いかと問われれば徹頭徹尾コイツが悪いんだが、という存在に見事になった(劇中で登場する順番が前後しちゃうので括弧で書くが、どうやらその家庭という居場所も自分で勝ち取った、奪い取った場所っぽい。その上で、夫の実家の脇に住む、そして仕事もやめているっていう時点で色々人生の諦めをしているはずだし)。そして、次の彼女の希望である仕事も奪われるどころか、一瞬抱かせた復職への道も閉ざされる。よく考えたら小泉孝太郎よりコイツの方が悪逆非道かもしれない。ああじゃあ生まれ出た実家に戻ってみれば、そこにもそれはもうない。むしろ過去の象徴をどんどん捨ててくれと言われる始末。結構悲しいというか同情したいのは、別にその人たちも桃子をいじめたいわけじゃないってあたり。それこそ各々が頑張って自分の持ち場を確保していった結果場所が無くなっていったわけですもんね。劇中で、首輪がついている野良猫を「最悪」と評したあたり象徴的。

 で、結果としてまあクライマックスに突入する段階でチェンソーが起動して地獄の鎌の蓋が開く、もとい畳の下の床板を開ける。過去の自分の拠り所を掘り起こして、オーガニックに生きてきた人生を捨てて二朗系っぽいラーメンをすする。

 それでも、それでも最後に毎日してきたいい人のロール、ムーブが実を結んで、夫の言ってくれないホームセンター店員の李くんがありがとうをくれる。ああやっと承認された。そして彼女ははなれから母屋へと人生を移せる、という流れは綺麗。それゆえに、桃子にはホームセンターにまで走らせないで欲しかった。ここまでの江口のりこの演技も含めてすっごく静的だったからこそ、動的な見せ方が急すぎる。走り出すと邦画…みたいな悪いイメージがちょっと出た感覚。

 また、もういっこ思うのは、確かに展開としての驚きはあったんだけど、その驚きが結構目的化しちゃった感じはある。野良猫相手に攻撃的な風吹ジュン、呼びかけ続ける江口のりこといった行動はなんじゃったんだ、となるし、眺めていたのは馬場ふみかの垢ではなくかつての自分の垢だったというのもちょっとそのツイストのためだけになっていた気がする。なにより、映画が始まった時から徐々に壊れていく話のようで、最初から(あるいは流産の時点から)壊れてた人の話になってしまったような気もする。だって映画始まった時からあのアカウントを見続けていた訳で、それって孝太郎が浮気しているのを知っているから、と思ったら浮気は寝耳に水ってなると最初から壊れてるじゃん、っていう感じ。勿体ない!

 もう夜遅くなったので一番考えていたけど言語化できていないことを述べておきましょう。この映画、35mmフィルムでスタンダードサイズで撮影されており、すっごく文脈としてはバーバラ・ローデンの『ワンダ』、そしてシャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080コメルス河畔通り23番地』という再評価の進むフェミニズム映画の文脈っていうのを考えなくてはならないでしょう。こうした映画は居場所を奪われたり、日常のルーティンが徐々に崩れていって、最終的に大きな破綻に向かってしまうニューシネマ的な話の流れでしょう。ただ、この作品はそこに対してもう一回居場所を与えるという答えを出しました。それをどのように考えるか、どうしましょ。




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