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開く襖が誘うは「モノノ怪 唐傘」感想

 どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。

 今回はノイタミナの劇場版。山本Pは『虐殺器官』の恩があるので基本的に好意的に見てしまう気がします。それにしても、ED主題歌がアイナ・ジ・エンドさん歌唱でしたが、絶対にTKが作ったろ、と思ったら案の定でした。

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WATCHA4.0点

Filmarks4.2点

(以下ネタバレ有)

 

 3部作が公開後に発表された本作。まあせっかく掘り起こしたIPをメインアニメーターの離脱どころか、noteで現状報告をしないといけないほど揉め、短編集のように中編を重ねたアニメに軸を通す存在で唯一あった主人公が不倫で降板。そこまでした作品が単発映画で終わるのももったいないというか、単発映画で終わらないからそこまでしても公開までこぎつけた、っていう感じなのでしょう。そうとう大変だった感じがエンドクレジットの長さ、作画監督の人数にも表れていたように思えます。

 ただ、作品としてはその甲斐あって、というべきでしょう。見事。かなり独特のカラリングをしていくことで違和感と情報量を背景からも担保することで閉所での話を続けても退屈させない画作りをそのままに、それを完全手書きで遂行した前がおかしいんであって、という感じでうまい具合で3Dも使いながらって感じ。まるで絵巻物とかそういう古美術がそんまま動いてるみたいですね、は変わらず現代化した。

 今回の舞台は大奥。現代日本でシンプルに扱うにはあまりにもセンシティブというか、舞台装置にしかならないなら、というところのある場所。そこに薬売りさんがどうやって入っていくんだろうと思えば、割と強引な突破ではあったがまあ正攻法で突破。大奥の女中として入ってきたお朝とお亀の2人の新人という視点を導入することで大奥の閉塞感を表現しつつ、お仕事モノの文脈も取り入れていく感じ。いいですよね、〇日目で繰り返される水を飲む儀式と大奥式朝礼。誰が顔が見えて誰が顔が見えないのか。急速に出世していくお朝の立ち位置が非常に分かりやすい。

 分かりやすいと言えば、ストーリー的にもめっちゃ分かりやすくしてくれていて、テレビ版の頃から話は視聴者が考えてねって感じのちょっと投げている感じはあったのだが、今回は「捨てる」ということを強く意識させる大奥入場の儀式を経て、毎日の水の不味さとそこから沸き立色、湿りと渇きの対比で、大奥、ひいては組織を生き抜くために何か自分の中の大切なものを亡くして自分を殺していくことによる情念がモノノ怪であると見事に説明しきっている。その上で、アニメとかそういうのを飛び越えた映像としての上下動の面白さがある。井戸に象徴される、大奥という横に長そうな空間にありながら不思議な上下構造とそこを移動する物体、というのもシンプルに面白いが、今回の怪異は唐傘ということで異変が起こる際には雨が降ってくるし、被害者も上に吸い上げられて乾いて落ちてくる。見上げる、という動作も入ってくれば、今回は描写されなかった天子様=城の天守閣という更に上の存在も見えてくる。シンプルな大奥内における女中の出世の構造も重ね合わせている。解決として、薬売りの見せ場があって一旦流れが途切れたこともあって、完全な円満とはいかない中でもお朝はお亀を心に抱いて乾かないように、ということであろうがちょっと切れ味が落ちている感じはある。構造的に乾きを否定できない組織が大奥であり、封建制度であるのに、そこはちっとも解決していない。だが、モノノ怪という作品自体がスパッといくタイプではないので仕方ないだろう。そこまでは期待していない。

 無論、3部作ということもあって今回は種蒔きで済ませたのかな?という点もあるのは事実だ。そも水の話はおそらく決着が着いていない。ツダケンが喋ってなさすぎだもの。あるいは、天子様が側室の一人にご執心という方のピラミッドも割と放って置かれれば、役人としてやってきた2人もただの目撃者以下の存在であり、そして今回は被害者候補にもならなかったが歌山にも強気の態度を取り続けられる大友という存在もまた不気味である。間違いなく、これから更なる表の権力の話になっていくはず。いや、これでテレビ版同様にまるっと違う話になるなら驚きだが、その場合はこの作品として評価が下がるだけだ。

 タイミング的には、歴史ものとして『逃げ上手の若君』が異常なほど素晴らしい出だしを記録していることは正直頭に浮かんだことは否めない。確かに本作はいい作品だが、どっちを人に勧めるかと言われると正直なとこ逃げ若だ。テレビシリーズよりもポップで分かりやすくしてくれている印象だったが、巷の感想は難解というものも多いらしいし。

 そうそう、どこか細田守っぽさをアニメーションから感じたんですが私だけでしょうか…?




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