どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。
今回はコギトワークス×U-NEXTの新レーベルNew Counter Films第1弾。タイトル的に言えば出陣です。ミニシアターと海外配給でガンガンやっていこうという邦画レーベルということで期待です。劇場公開と同時にU-NEXTでの有料配信をやっていくことでミニシアターの無い地域にも供給していく感じですな。

WATCHA3.5点
Filmarks3.7点
(以下ネタバレ有)
二ノ宮隆太郎監督最新作です。なぜもっと映画ファンは騒がないのでしょう。『お嬢ちゃん』『逃げきれた夢』と傑作続きです。そもそも注目されるきっかけだった『枝葉のこと』を未見なのが辛いというか、今まで見る手段全然なかったやん!と思ったらこれに合わせてU-NEXTで配信してました。入るか。
で、今回の作品は男3人組が世直ししていく、って感じの話なんですがスタンダードサイズのスクリーン。二ノ宮監督が常に感じさせる何か暴発しそう、表面張力ギリギリでやっている感じが長回し、フィックス気味なカメラで表現できるんだから凄いというか。『逃げきれた夢』での光石研が普通に学校業務しているだけで緊迫感が溢れるのもそれです。これは他の人の映画で感じたことが無い。最初は子ども相手に触れ合ったり、その母からのバレエ教室への誘いにコイツ大丈夫か?と思わせる坂東龍汰演じる渉だが、こいつはずっと喋らない。ずーっと黙ってる。『RooT』とは全然違うアプローチだ。めっちゃ主演作の『フタリノセカイ』も見ているのだが坂東さんの演技がどうだったかさっぱり覚えていないのが口惜しい。でもペラペラしゃべるタイプじゃなかったはず。
代わりに喋りっぱなしの高橋里恩演じる英治が憎いったらない。歩きたばこを注意したり、男同士のキスを笑った女性二人組に注意したりと、まあこれが世直しなんですがそれが世直しか、と。口が非常に達者というか、すっごくアイロニカルに相手の人間性を否定していく論破論法でわたしがダイッキライなタイプの論法。それでいてコイツが働いている居酒屋では模範的な青年に見えているのが難しいところ。この映画では色んな人物に共通していますが、そういう論法を駆使していないと息苦しくて生きていけない若武者たちの物語だったと思います。まあ別に英治もそれから3人目の光則も肯定はされていませんが(光則演じた清水尚弥はあの清水尋也のお兄さん!)。
黙りっぱなしの渉は黙認しているようで「お前の父親殺してやろうか」にだけは大きく反応する。まあようはこれが溜めて溜めてゲージマックスどーん!!に繋がる訳ですが、この爆発の瞬間も打撃音もせずすっごい静か。そしてそこから英治が口にしていた誰も彼もが殺すだ死ねだ、言葉が軽いぞとキレているのを実行するように親父に死んでくれと談判しに行く。だが彼は別に殺さない。ここでぐっと乗り越える。乗り越えて親父も彼も、刀で首を落とされるように頭を下げる。
3人で騒いで怒られる喫茶店のマスターとの1vs1での対話が非常に印象的。渉が他人に影響を与えること、与えられることが怖い、それが認められない自分の父親から自分に対しても影響があるという事実が嫌だ、怖い、そういう認識だったところを「それは素敵なことじゃないか」と肯定してくれる岩松了さんが最高。そして飛び出す「気持ち悪い」は、このマスターと渉の間にある異質さ、違いを肯定するもの、影響を与え合える存在であることを肯定し、そしてそれは人生を祝福する、冷笑に対する明確な答えとしての気持ち悪いだったと思います。そうした異質さを際立たせるための冒頭からの怒涛の偏見描写なのかもしれません。
光石さんや松重さんも前作で素晴らしかったけど、おじさん撮るの上手すぎる。木野花さんも素晴らしかったし。