この記事は DevHR Advent Calendar 2025 の7日目の記事です。
全社人事の組織開発部門で、責任者兼プレイヤーを務めています。本来の担当は CoE ( Center of Excellence ) としての人事ですが、今回は開発部向けの HRBP や DevHR に近い立ち回りをした取り組みをまとめます。
直近、事業部の特定チームは、今後の事業成長に貢献し続けるために、組織マネジメント体制の強化と、メンバー一人ひとりの成長加速が急務となっていました。全社人事の知見を現場で活かすべく、約1年間に渡ってこの部門のマネジメント支援を継続的に実施しました。

メンバーのマネジメント支援
以下のようなメンバーのマネジメント支援を実施しました。

評価運用全体の支援
対象のチームのメンバーに対して以下の活動を支援し、マネージャーの負荷を軽減しました。
- 目標設定の支援
- メンバーのキャリア志向の確認
- メンバーの現在のスキル、マインドの水準を評価基準と照らし合わせて確認
- 次のグレード、現在のグレードを踏まえてどの部分を伸ばすかメンバーと相談
- 伸ばしたい部分について、どのような目標や達成計画で伸ばすかメンバーに検討してもらう
- メンバーの目標、達成計画を確認し、フィードバックを実施
- 確認した内容について 2on1 でマネージャーも同席して認識合わせ
- 中間フィードバックの支援
- メンバーたちが半年の活動を整理して、マネージャーに報告するためのお手伝いをした
- 自己評価の整理の支援
- メンバーたちが1年の活動を整理して、マネージャーに報告するためのお手伝いをした
今回の目的は支援ではありますが、現場での評価活動に自ら関与することができたのは、制度責任者としては貴重な経験でした。
仮に支援の必要がない状況でも、制度の導入時や改訂時は少数のメンバーの評価活動に同席するのは制度運用の解像度を高める意味でおすすめだと感じました。
評価期間としては、前年度から今年度にまたがる期間で支援を実施し、今年度は少し前に登壇で発表した Gemini と NotebookLM を組み合わせて 目標設定の負荷を軽減する方法 / Goal setting with gemini and notebooklm - Speaker Deck の導入も支援しました。特に、チームとしてもツールの支援が欲しい状況だったこともあり、正式導入前の検証期間においてはむしろこちらが検証の支援をしてもらえました。感謝。
成長の支援
経験を通じて自ら成長する力を高めることを目的とした 1on1 を継続的に実施しました。
これにはマネジメント負荷の軽減の意味だけではなく、全社的な育成課題に対して小さく取り組む意味もありました。
所属企業では、プレイングマネージャーが多いことや、自立・自走・セルフマネジメントを良しとする環境であり、メンバーに対して一定の成長支援はするものの付きっきりで伴走するようなスタイルではありません。入社直後やジュニアな時期については一定手集めにサポートしつつ、自走して動ける自力を身につけてもらい、一人前以降については自分で自分の成長をコントロールできる力を身につける状態が理想です。
それを踏まえて、経験学習を身につけてもらうことで、自律的な成長力を身につけてもらおうという背景がありました。
なお、この取り組みについては本人の要望に合わせて実施していたため、不要という人には実施せず、実施頻度についても本人の温度感に合わせました。
人間だし、相性もあると思うので「私と合わないと思ったら遠慮なく言ってね。中止するので。」と添えて実施しています。
1on1のアジェンダは以下の内容を基本にしていました。
- キャリアについて : 最初に丁寧に整理したら、それ以降は変化があるときだけ確認
- 強みについて : 最初に丁寧に整理したら、それ以降は変化があるときだけ確認
- 成長の確認 : 新たにできるようになったこと、習熟度が増したこと、新たに得た知識など成長の要素をふりかえります
- 成果の確認 : 一区切りの成果があれば確認し、記録します
- よかった部分、課題のふりかえり : 成長や成果など良かった部分と解決が必要な課題について最大3個ずつふりかえります
- 次の取り組み : よかった部分か課題のふりかえり結果をもとに何か一つだけ次に向けて取り組むことを決めます
- その他は相談したいことや話したいテーマがあれば自由
基本のアジェンダは上記の内容でしたが、深堀りすることで個別にトピックが広がることもあり、その中で、考え方や知識を広げるきっかけを増やしたり、好奇心を広げるきっかけをつくれていたら良いなと思います。
経験学習の促しに関する基本的なコンセプトは以下の ZennBook にまとめた内容です。
一部のメンバーについては、目に見えて言動に変化が現れ、積極的な動きが目立つようになりました。
チームのマネジメント支援
以下のようなチームマネジメント支援を実施しました。

チーム目標の設定支援
多忙なマネージャーの負荷を軽減できるように部門の目標の前提情報を整理しました。
会社・事業部の目標と現状のチーム課題に基づき、新たな年度に目指すべき目標の方向性を整理しました。この前提情報を整えることで、マネージャーの目標設定負荷を軽減しました。また、目標の設定したあともチームで継続的に取り組んでいけるように、KPIのダッシュボードを用意し、月次で更新しつつチーム定例で認識を合わせながら進めるような土台をつくりました。
可視化支援
チームが関わるビジネスの全体像や、ビジネスが生み出す価値の全体像を可視化することを支援しました。
この際に、この部門のマネージャー・隣の部門のマネージャー・営業部門のマネージャーなどからヒアリングをして情報をまとめました。
これによって、チーム内に限定されがちだった視座・視野・視点から、関係者全体や長期的な時間の流れも含めた視座・視野・で物事を考えるきっかけを作りました。
チームの課題の整理、進行、管理支援
チームが現在直面しているビジネスの課題、人や組織の課題を整理しました。
この対応のために、2つの定例に参加しています。
- チーム定例(部長、マネージャーを含むチーム全体、私)
- チームのマネージャー定例(部長、マネージャー、私)
- マネージャー定例の内容は要点をまとめてチーム定例で共有しています
重要度、緊急度に応じて、対応が必要なものは Backlog に登録し、担当を決め、期日を決め、一つずつ着実に対策をしていけるようにしました。
開発関係者でありがちなのは、システム開発においては GitHub や Backlog などできっちりタスク管理しているが、組織課題やタスクフォースについてはタスク管理していない、というようなケースです。
今回は組織課題を着実に進めていくためにも、 Backlog で課題管理をする方式を選びました。
この流れの中で一部の課題についてはチームメンバーが手をあげてくれて、自主的に主体性とオーナーシップを持って動いてくれたのが頼もしくもあり、嬉しくもありました。こういった細かなリーダーシップの機会は未来のマネージャーや技術リードの土台になっていくため重要です。課題を整理し、可視化することで、誰かが担当する機会を生み出しやすくなる側面もあるわけです。
採用支援
今回、人員不足という背景から支援に入ったため、採用支援も実施しました。
- 入社に向けた期待値調整とアトラクトを兼ねたオファー資料の作成支援
- 採用職種の求人市場の状況について調査レポートを作成し、共有
- 求人票のブラッシュアップ
- スカウト媒体でのスカウト代行
- 採用タスクフォースを立ち上げ、採用の課題の把握、対策の実施を着実に進める体制を構築
- チームでブログ発信の音頭を取り、発信の促し
などを実施しました。
引き継ぎ相手の入社
2025年7月にプロジェクトマネージャーが入社したことで、支援の引き継ぎを開始する目処が立ちました。入社から4ヶ月経過し、安心して引き継げることを確認できました。 なお、定例・個別での会話を含め、この新しい PM の方とは密に連携し、入社後の立ち上がりを手厚く支援していました。歴戦の PM の方ですが、密な連携による状況把握の支援により、期待どおり立ち上がり速度を高めることに貢献できたと感じています。
現在は各種支援の内容を引き継ぎながら、年末で支援を終了します。メンバーの1on1については、少し前から2on1に切り替え、内容の引き継ぎを行っています。
雑感
今回、必要性があって介入支援をしていましたが、事業部とは距離が遠くなりがちな全社の人事が、具体的な開発チームの活動にまで入り込むHRBP/DevHRのような業務まで担当したのは、非常に良い経験でした。
全社の活動の具体が現場でどうなっているのかを、伝言ではなく自分で体験できたわけです。また、個別に介入支援していたこともあり、全社の人事施策の導入前検証の際の協力相手を得たという意味でも Win x Win でした。その部門としてもなにか便利で有用な仕組みが導入されるならぜひ試したい、という状況だったし、私自身も関わりながら検証することができます。
予告
DevHR Advent Calendar 2025 の8日目は masaki endo さんです。お楽しみに!