
この記事は『2025年 人事 x AI活用 Advent Calendar 2025』の4日目の記事です。
このアドベントカレンダーでは、人事領域におけるAIの活用に必要となる基礎知識から事例まで、広くまとめます。
この記事では、プロンプトのテクニックについてまとめます。
前提
このアドベントカレンダーに関わる記事は、以下の分業でまとめています。
- お題の決定 : 私
- 記事内容の検討 : 私 & AI
- アウトラインの決定 : 私
- 詳細の執筆 : AI
- 詳細の文章の微調整 : 私
- 画像作成 : AI
プロンプトとは
前回のおさらいです。プロンプトとは、AIに何を生成してほしいかを伝えるための指示文や入力テキストのことです。
ユーザーがAIに対して、画像、文章、コード、音楽など、特定の出力を得るために与える「問いかけ」や「命令」として機能します。AIの出力の質と方向性を決定する最も重要な要素です。
プロンプトのテクニック
プロンプトには定番のテクニックがあります。今回は3種類紹介します。
- Zero-shot プロンプト
- Few-shot プロンプト
- メタプロンプト
1. Zero-shot プロンプト

Zero-shot プロンプトとは、大規模言語モデルに対して、タスクに関する具体的な例を一切与えずに、タスクの指示のみで望む結果を出力させる手法のことです。
これは、人間が新しい質問や指示を受けたときに、事前の具体的な訓練例なしに、その知識と一般的な理解に基づいて回答を作成する能力に似ています。LLMは、大量のデータで事前学習されているため、特定のタスクの例を見せなくても、そのタスクを解くのに必要な知識やパターンを既に内部に持っていると見なされます。
- Zero-shot:タスクの実行例をプロンプト内で「0」個しか示さない、という意味です。
- 特徴:最もシンプルで直接的なプロンプト形式であり、プロンプトの設計にかかる手間が少なくて済みます。
活用場面
Zero-shot プロンプトは、LLMの事前学習能力を最大限に活用し、シンプルで一般的なタスクを効率的に処理したい場合に非常に有効です。
- 特別な知識や複雑な手順が不要なタスク:基本的な要約、翻訳、感情分析、簡単な質問応答など、LLMが一般知識として既に習得しているであろうタスク。
- プロンプトの効率的な作成:タスクごとに多数の具体例を用意する手間を省き、迅速に結果を得たい場合。
- 初期段階のテストや検証:新しいタスクをLLMに試させる際の、最も基本的な性能を評価したい場合。
- リソースが限られている場合:プロンプトに含める例の数(トークン数)を節約したい場合。
利用例
入力
日本で一番高い山は何ですか?
出力
日本で一番高い山は富士山(ふじさん)です。 標高は3,776メートルで、日本の最高峰として山梨県と静岡県にまたがっています。 --- * 1位: 富士山(ふじさん) * 標高: 3,776m * 所在地: 山梨県、静岡県 ちなみに、日本で2番目に高い山は北岳(きただけ)で、標高は3,193mです。
2. Few-shot プロンプト

Few-shotプロンプトとは、大規模言語モデルに対して、プロンプトの冒頭で「数個の具体的なタスクの実行例」を与えた後、ユーザーが解きたい本題の指示を出力させる手法のことです。
Few-shotは、タスクの実行例をプロンプト内で「少数(数個)」示す、という意味です。
- ゼロショットとの違い:Zero-shotは例を一切与えませんが、Few-shotは例を与えます。この例は、LLMがタスクの構造や期待される出力形式を学習するためのヒントとして機能します。
- なぜ例が必要か:LLMは事前学習で一般的な知識を身につけていますが、特定のタスク(特に専門的、あるいはあいまいなタスク)において、「どのような入力が来たら、どのようなルールで出力すべきか」という意図をより正確に理解させるために例が使われます。
活用場面
Few-shot プロンプトは、Zero-shot でうまく性能が出ない場合や、LLMに特定のルールを学ばせたい場合に特に有効です。
- 特殊な用語やドメイン固有のタスク:医療、法律、特定の技術分野など、LLMの事前学習データにはあまり含まれていない専門的な知識や表現が絡むタスク。
- 特定の出力形式を厳密に要求するタスク:JSON形式、Markdown形式、特定のコード言語、あるいは特定の文体(例:詩的な表現、ビジネスメール風など)での出力を厳密に守らせたい場合。
- あいまいな分類や意図の理解が必要なタスク:単なる「ポジティブ/ネガティブ」ではなく、「この企業のレビューを「価格」「サポート」「機能」の3つに分類し、それぞれを5段階で評価せよ」といった、複雑なルールに基づくタスク。
- 新しいタスクや未知のタスク:LLMが過去にあまり経験していない、新しい種類の質問や問題解決をさせたい場合。
利用例
入力
[例 1] 入力:仕事が終わらない 出力:夜空の月が微笑むまで、キーボードを叩き続ける。終わらないタスクは、明日への招待状。 [例 2] 入力:お腹が空いた 出力:胃袋のオーケストラが、静かにソナタを奏で始めた。さあ、冷蔵庫という名の宝箱を開けよう。 [本題] 入力:今日の天気は晴れだ 出力:
出力
太陽が優しく地表を抱きしめ、世界は金色に輝く舞台へと変わった。空の青は、キャンバスに残された、最高の笑顔だ。
モデルは、これまでの2つの例から「与えられた入力を、比喩的でユーモラスな文体のポエムに変換する」というルールを学習し、それに従って結果を出力してくれました。
ポイント:Few-shotプロンプトを使う際は、与える例(ショット)の質と、本題との関連性が非常に重要です。質の高い少数の例を与えることで、LLMは飛躍的に性能を向上させることがあります。
3. メタプロンプト

メタプロンプトには2つの意味があります。
1つ目のメタプロンプトとは、ユーザーが実行させたい具体的なタスクの指示に先立って、LLMの役割・制約・思考プロセスといった、タスク全体を管理・支配する上位の指示を定義したものを指します。
メタ(Meta-)には「高次の」「超える」といった意味があり、ユーザーの具体的な要求の土台となるAIの行動原則を定める役割があります。
- 役割の定義:LLMに「あなたは専門家です」「あなたは翻訳家です」といった役割を与え、そのペルソナに基づいた回答を導きます。
- 制約・出力形式の定義:「回答は必ずJSON形式で」「小学生にも分かる言葉で」といった、回答の形式やトーンに関する絶対的なルールを定めます。
- 思考プロセスの定義:「回答する前に、まず情報を整理し、その後に結論を述べなさい」といった、LLMが内部でどのように情報を処理すべきかを指示します。
メタプロンプトは、LLMの応答の一貫性、品質、そして精度を劇的に向上させるための秘密の指示書のようなものです。
次に、2つ目のメタプロンプトは、ユーザーの要求を受け取り、その要求を満たすための最適なプロンプト自体をLLMに作成させるための指示です。
活用場面
1つ目のメタプロンプトは、LLMの出力をより信頼性が高く、予測可能で、実用的なものにしたいあらゆる場面で活用されます。
- 専門的な回答の要求:単なる情報提供ではなく、特定の専門家としての視点や深い洞察に基づいた回答が欲しい場合。
- 対話の一貫性の確保:チャットボットや特定のAIアシスタントを作成する際、セッション全体を通してAIの口調、知識レベル、回答スタイルを一定に保ちたい場合。
- 複雑なタスクの分解と管理:一つのプロンプトで複数のステップ(例:要約 $\rightarrow$ 批評 $\rightarrow$ 改善案)を実行させる必要があり、AIに「手順」を厳守させたい場合。
- 安全で正確な出力の保証:回答に含めてはいけない情報(倫理的な制約、機密事項など)や、必ず守るべきルール(例:ソースを明記する)を徹底させたい場合。
2つ目のメタプロンプトは、どのようなプロンプトを書けば適切な出力を得られるか知りたいときに活用されます。
利用例
1つ目のメタプロンプトの例 以下の例では、LLMに厳しい編集者という役割を与え、その出力に制約を課しています。
入力
あなたはプロの日本語編集者であり、非常に厳しい採点基準を持っています。 あなたの任務は、与えられた文章を読み、以下の制約を厳守してフィードバックを提供することです。 【制約】 1. 曖昧な表現、冗長な言葉、不自然な日本語は全て指摘し、具体的な改善案を提案すること。 2. 5W1Hが欠落している箇所があれば、それを明確にすること。 3. 語尾は常に「〜してください」で統一すること。 --- [ユーザーの文章] 昨日、会議があった。そこで、重要なことが決まった。
出力
承知いたしました。プロの日本語編集者として、非常に厳しい基準でユーザー様の文章を添削し、具体的な改善案をご提案します。 --- ## 🧐 編集者による添削とフィードバック ### 📝 ユーザー様の文章 昨日、会議があった。そこで、重要なことが決まった。 ### 🚨 添削結果と改善提案 | No. | 指摘箇所と問題点 | 具体的改善案 | | :--- | :--- | :--- | | 1 | 「会議があった」: 5W1H(いつ・だれが・どこで・なにを)が不足しています。特に「誰の/何の会議か」が不明瞭です。 | 誰が、どこで、何の目的で会議を行ったのかを明確にしてください。例: 「昨日、A社とB社による次期プロジェクトの打ち合わせがありました。」 | | 2 | 「重要なことが決まった」: 曖昧な表現です。「重要なこと」の内容が全く伝わりません。また、「誰によって」「何が」決まったのかの5W1Hが不足しています。 | 「重要なこと」が具体的に何であるかを明確に記述してください。例: 「その会議で、来月開始する新サービスの正式名称と開始日が決定しました。」 | | 3 | 全体: 接続詞「そこで」は、文脈によっては自然ですが、より簡潔で論理的な接続詞に、あるいは文を統合することで、冗長さを解消してください。 | 2つの文を統合し、より自然で簡潔な一つの文にしてください。例: 「昨日開催された〇〇会議において、具体的な決定事項(例:プロジェクトの実施、予算の承認など)が決定しました。」 | --- ### ✅ 総合的な改善案 上記のフィードバックを基に、より自然で明確な文章に改訂してください。 【改訂例】 > 昨日、(誰が、どこで、何の)会議がありました。その会議で、(具体的な決定事項)が決定しました。 【最終指示】 上記の指摘に基づき、5W1Hの要素を具体的に補ったうえで、文章を再度記述してください。
2つ目のメタプロンプトの例
入力
入力内容に対して事実と解釈を区別するようなプロンプトを作成したいです。どのようなプロンプトにすればよいですか?
出力
ご質問ありがとうございます。 事実と解釈を明確に区別させるためのプロンプトを作成することは、AIからの回答の信頼性と透明性を高める上で非常に重要です。 プロンプトを作成する際のポイントと、具体的なプロンプトの例をいくつかご紹介します。 ----- ## 💡 事実と解釈を区別させるためのプロンプト作成のポイント 最も効果的なのは、回答の構造とAIの役割を明確に指定することです。 ### 1. 回答の構造を指定する AIに「事実」と「解釈/見解」を明確に分けて記述するように指示します。 * 事実 (Fact/Observation): 客観的に確認できる情報、データ、出来事、引用。 * 解釈 (Interpretation/Analysis/Opinion): 事実に基づいた推論、分析、見解、評価、または将来の予測。 ### 2. AIの役割(ペルソナ)を指定する AIに「客観的なレポーター」や「分析官」といった役割を与えることで、回答のトーンと内容を制御しやすくなります。 ### 3. 出典・根拠の明示を求める 事実に対しては、その情報がどこから来たのか(出典や根拠)を明記するように指示することで、AIが推測で情報を生成することを抑制できます。 ----- ## 📝 具体的なプロンプトの例 ### 例1:最もシンプルで汎用的な構造指定プロンプト ``` あなたは、提供された入力内容について分析し、客観的な事実と、それに基づくあなたの解釈・分析を明確に区別して出力するアシスタントです。 以下の指定されたフォーマットに従って回答してください。 --- 入力内容: [ここに分析させたい文章やデータ、トピックを入力] --- 【出力フォーマット】 ## 1. 事実・観察 (Fact / Observation) * (入力内容から確認できる客観的な情報、データ、出来事を箇条書きで記述する) ## 2. 解釈・分析 (Interpretation / Analysis) * (上記1の事実に基づき、どのような意味合いがあるか、なぜそれが起こったか、どのような影響が考えられるか、という推論や見解を記述する) 【制約】 * 「1. 事実・観察」の項目には、あなたの推測や評価を一切含めないでください。 * 「2. 解釈・分析」の項目には、必ず「1. 事実・観察」に書かれた内容を根拠として含めてください。
できたプロンプトを使ってみました。
入力
あなたは、提供された入力内容について分析し、客観的な事実と、それに基づくあなたの解釈・分析を明確に区別して出力するアシスタントです。 以下の指定されたフォーマットに従って回答してください。 --- 入力内容: 麻婆豆腐は今、ここに存在する。昨日食べたものは豆腐8割、ひき肉2割でした(事実)。この比率は究極のサステナビリティです。95%の店が花椒を使うのは、魂である証拠。麻婆豆腐を食べるのは、「食べること」と「食べないこと」の間を選ぶ、食卓革命なのです。 --- 【出力フォーマット】 ## 1. 事実・観察 (Fact / Observation) * (入力内容から確認できる客観的な情報、データ、出来事を箇条書きで記述する) ## 2. 解釈・分析 (Interpretation / Analysis) * (上記1の事実に基づき、どのような意味合いがあるか、なぜそれが起こったか、どのような影響が考えられるか、という推論や見解を記述する) 【制約】 * 「1. 事実・観察」の項目には、あなたの推測や評価を一切含めないでください。 * 「2. 解釈・分析」の項目には、必ず「1. 事実・観察」に書かれた内容を根拠として含めてください。
出力
承知いたしました。 提供された入力内容を分析し、事実・観察と解釈・分析を明確に区別して以下のフォーマットで出力します。 --- ## 1. 事実・観察 (Fact / Observation) * 麻婆豆腐が「今、ここに存在する」と述べられている。 * 昨日食べた麻婆豆腐の具材の比率は、豆腐8割、ひき肉2割であった。 * 「95%の店が花椒(ホアジャオ)を使う」というデータ(または認識)が提示されている。 * これらの比率や花椒の使用に関する主張に対して、「究極のサステナビリティです」「魂である証拠」「食卓革命なのです」という評価や主張が結びつけられている。 --- ## 2. 解釈・分析 (Interpretation / Analysis) * 【具材比率とサステナビリティ】 昨日の麻婆豆腐が豆腐8割、ひき肉2割という比率であった事実に基づき、「究極のサステナビリティ」であると解釈されています。これは、植物性タンパク質である豆腐を主成分とし、環境負荷の高い肉類(ひき肉)の使用を最小限に抑える食事が、持続可能性の観点から高く評価されていることを示唆します。 * 【花椒の使用と本質】 「95%の店が花椒を使う」という事実・認識に基づき、花椒が麻婆豆腐の「魂である証拠」であると解釈されています。これは、麻婆豆腐の最大の特徴である麻(マー)の感覚(しびれ)を与える花椒が、この料理のアイデンティティを確立する上で極めて重要であるという、筆者の強い見解を表しています。 * 【食卓革命の主張】 麻婆豆腐を食べる行為について、「『食べること』と『食べないこと』の間を選ぶ、食卓革命」であるという主張がなされています。これは、麻婆豆腐が単なる食事ではなく、その具材構成(豆腐とひき肉の比率)や調味料(花椒)の特徴を通じて、既存の食習慣や価値観を問い直すような革新的な意味合いを持っているという、筆者独自の解釈が反映されていると考えられます。
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