愛宕権現の神威 (あたごごんげんのしんい)*
舞鶴の愛宕山に愛宕神社を建立する時、円隆寺の和尚は女布の郷士・森脇宗坡(そうは)に土地を寄付してほしいと申し入れた。
ところが宗坡はその願いを聞き入れず、寺を辞して女布村ヘ帰った。
宗坡が村の入口まで帰って来ると、遙か向こうに見える森脇家の家の棟にパッと火柱が立ち、見る間に燃え上がって焼失した。
それを見た宗坡は突然高野川へ飛び込み、身を清め一心不乱に愛宕神社を念じつつ、再び円隆寺に駆けつけた。
そして和尚に申し入れを断ったことを丁重に謝り、神社建立に関する土地の寄付を快諾した。
帰宅して見れば、焼失したはずの森脇家は以前のまま建っていたので、宗坡は神威を感じ愛宕神社の大信者になったという。
『ふるさと女布』「愛宕神社」より
愛宕山の神様(愛宕権現)が土地を寄付させるために火事の幻を見せたのか、それとも本当に燃やして宗坡が寄付をOKした瞬間元通りに戻したのか。
いずれにせよ、家が燃えるのを見た瞬間「愛宕権現の御業だ!」と理解して考えを改めた宗坡の判断力と決断力は凄まじいですね。
ちなみに、森脇宗坡は毒の炎を吐く人喰い大蛇を退治した人物です。
また、愛宕山の東麓にある円隆寺には、夜な夜な絵から抜け出して畑を荒らす絵馬がありました。
→放れ駒
伝承地:舞鶴市引土、女布