蛇淵の女 (じゃぶちのおんな)*
塩谷の小川が大野川と合流する辺りに滝があり、その下は曲がりくねった淵が続いている。
その淵は木々に覆われ昼なお暗く、夏でも肌寒く感じる程で、地元の者は「蛇淵」と呼んでいる。
昔、夜になるとこの淵に若く美しい女が来て水浴をしているという噂が立った。
そこである男がその姿を見ようと夜に蛇淵へ向かったところ、噂通り美しい女が水浴をしていた。
やがて女は水浴を済ませ、着物を着て大川の方へ歩いて行ったので、男はその跡を追った。
女は大川をスタスタと苦もなく渡り対岸へ行ったが、尾行されていることに気づいたのか、足早に山を登って行った。
不思議なことに、女が薄い光を放っているように見えたという。
そして女は長瀬にある龍巌池という池まで辿り着くと、水中に飛び込み、恐ろしい大蛇に姿を変えた。
男は驚き家に逃げ帰ったが、病気になって寝込んでしまった。
その後も女は蛇淵に来ていたらしいが、誰も恐れて近づかなかったので、その姿を見た者はいないという。
また、女が大蛇に姿を変えた龍巌池の崖の上には小さな祠が祀られており、その中にはいつも赤い蛇がいると言われている。
『和知町 石の声風の音』「塩谷の蛇淵」より
京丹波町には「夜な夜な家を抜け出てはずぶ濡れになって朝帰りする娘を尾行したら池に入って大蛇(小蛇)に姿を変えた」という話が幾つか伝えられています。
伝承地:京丹波町長瀬(蛇淵は龍王の滝の辺り?)