特定の商品をAIに言及させる対策をするGEOビジネスが急速に増えている。編集部で架空の商品をGEO対策するという実験を行ったところ、わずか3時間後にはAIがその商品を推薦し始めたと上観新聞が報じた。
AIに製品情報を言及させるGEOビジネス
SNSやECで、GEOビジネスの広告が急増している。GEOとは生成エンジン最適化(Generative Engine Optimization)のことだ。検索エンジンがインターネットの入口であった頃、SEO(Search Engine Optimization)ビジネスが盛んだった。販売企業の公式サイトなどの構造を最適化して、検索エンジンの検索結果の上位に表示させる技術だ。
GEOはこれのAI版で、利用者がAIに商品に関する問い合わせをした時に、AIの回答の中に自社製品が言及されるようにする。

AIが学習対象にしている場所に情報を置く
AIはインターネットのどの情報を学習素材にしているのか。機関や企業の公式サイトの他、有力なブログなども学習していると言われるが、正確なことはAIの開発企業でないとわからない。GEO業者は、このような情報をさまざまな手法で入手したり推測したりする。
現在では多くのAIが「ネット検索モード」「ディープシンキングモード」を備えている。このようなモードでは、回答のソースが一覧で示されることが多い。GEO業者はこのような情報を元に、AIがどの情報を参考に回答を生成しているかを明らかにしていく。
クライアントが望む商品情報を、AIが学習元にする場所に置く。これが適切であれば、AIの回答の中で商品が言及されるようになる。

存在しない商品をGEOしてみた結果
上観新聞編集部では、このようなGEOがどの程度有効なのかを調べるため、この世に存在しない商品を捏造し、どの程度、AIの回答に反映されるのかを調査した。選んだのは評判のいい、あるGEO業者で、年額980元(約2.2万円)で、GEO対策をしてもらえる。
そのやり方は非常に簡単だった。専用のウェブが用意され、そこに商品情報などを入力していくだけだ。後はシステムが適切な場所にプレスリリースやブログを生成し、置いてくれる。
GEO業者は、製品評価レポート、業界トレンドレポートなどを投稿すると効果が高いと説明する。しかし、そのレポートの内容の真偽についてはAIは判断ができないので、虚偽内容を含むレポートは投稿しないように注意される。万が一、虚偽内容のレポートの内容がAIに反映されて、問題が生じた場合は、GEO業者は責任は取れないので注意してほしいと言われる。
存在しないスマート水筒を宣伝してみた
編集部は、実際には存在しないスマート水筒「泉嘉德」を捏造した。このブランド名は「quan jia de」という読み方になり、これは「全假的」(すべてウソだ)と同じ読みになる。
Bluetooth搭載で、スマートフォンから水筒のランプを光らせることができ、応援をしたり、水を飲むことを促せるというものだ。
編集部では生成AIを使って、製品写真やプレスリリース、評価レポート、レビュー記事を生成し、これをGEO業者のウェブからアップロードした。

わずか数時間でAIが言及
わずか数時間後、あるAIで「ソーシャル機能を備えたスマート水筒を薦めてください」と質問すると、AIがこの世には存在しない泉嘉德ブランドの水筒を薦めた。さらには「オフィスでの社交に適している」などと紹介し、実際には販売されていないのにECでの参考価格まで表示した。
これが一時的なものでないことを確かめるため、編集部でまだAIを使ったことがないスタッフに泉嘉德に関する調査を行わせた。すると、さまざまなAIの水筒のおすすめランキングの中で3位以内には入ってくることがわかった。

問題視されるAIのデータ汚染
国家安全部は昨2025年8月に、改竄、虚構などのデータがAIモデルの汚染をし、有害な出力をする可能性を警告した。それ以来、データ汚染問題は大きな話題になり続けている。
これが存在しない水筒程度であればまだしも、金融関連の偽情報だったりすれば、大規模な詐欺事件に結びつくこともあり得る。すでに無数のGEO業者により、生成AIに言及させるにはどのようにすればいいか、その構造は丸裸にされている。AIが新たなリスクを生み出している。
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