アップルは今年2025年11月にミニアプリパートナープログラムを公開し、この中でミニプログラムをiOS上の正式な機能として定義し、その中でのアプリ内課金の手数料率を15%に設定したと極客公園が報じた。
中国の小売業を変えたミニプログラム
ミニプログラムとは、テンセントのSNS「微信」(ウェイシン、WeChat)の中のみで動く小さなアプリのこと。実態はウェブアプリであり、インストールするのではなく、利用するたびにネットから読み込んで使う。WeChatの中でしか動作をしないため、アカウントはWeChatアカウントが適用され、決済はWeChatペイが設定される。これにより、インストール、アカウント登録、決済方法の設定が不要で、すぐに使えることが特徴だ。
例えば、飲食店に行って待ち行列ができている場合、店頭に掲示されている二次元コードをスキャンして専用のミニプログラムを起動、待ち行列に登録ができる。待っている間、別のところで買い物をしていても、ミニプログラムを開けば、あとどのくらいで自分の番が回ってくるかを知ることができる。
この他、初めての飲食店でもミニプログラムからモバイルオーダーをして決済まで行うことができるなど、中国の消費者にまつわる利便性を大きく向上させた。
アップルが管理できなかったミニプログラム
しかし、アップルから見ると、このミニプログラムの位置付けは曖昧なものだった。iOS上で動き、AppStoreから配布をするものに関しては、アプリ内課金(IAP)を利用することが定められ、アップルはアプリ内課金額の30%を管理手数料として徴収する。
しかし、ミニプログラムはAppStoreから配布するのではなく、WeChat内から呼び出すものであるため、アプリ内課金に対応せず、WeChatペイによる決済が行われ、アップルは手数料の徴収ができなかった。
そこで、2017年春に、アップルはテンセントに対し、ミニプログラム内の決済もIAPに対応し、アップルに対して30%の手数料を支払うように通告した。ECアプリなどでの物販に関してはIAPの対象外であるため、この時、ミニプログラムで問題になるのは、ユーザー同士の投げ銭だった。そこで、テンセントはミニプログラム内の投げ銭機能を停止することで対応した。
トップ階段から8年、ようやく和解へ
2017年9月に、テンセントの創業者、馬化騰が米国のアップルを訪ね、ティム・クックCEOと会談をし、投げ銭に関してはアップルは手数料を徴収しないことで決着をした。
そして、今年2025年11月、アップルとテンセントは最終合意に至り、アップルはミニプログラムを正式に認め、IAPに対応し、手数料率は15%にするということになった。

ミニプログラムでサブスクやコンテンツ販売が可能に
この合意は、一見、テンセント側が譲歩したように見えるが、テンセント側にも大きなメリットをもたらした。
最も大きいのは、ミニプログラムがアプリ内課金に対応し、サブスク料金やコンテンツ販売が可能になったことだ。ゲームや教育ミニプログラムで、初級ステージは無料で、以降はアプリ内課金で購入してもらうことができるようになる。また、毎月一定額を徴収するサブスクなども可能になる。
年齢制限が可能となり、大人向けミニプログラムも
また、IAPに対応するということは、ミニプログラムもアップルの審査プログラムに組み入れられるということだ。アップルはユーザーの年齢を把握しており、対象外の子どもが13+、17+などのアプリ、ミニプログラムを起動しようとしても遮断される仕組みを構築している。これにより、ミニプログラム内の安全性が保たれる。
一方で、年齢制限が厳格になるということは、逆に大人向けのミニプログラムも配布できるようになる。例えば、デートミニプログラムや婚活などのミニプログラムも可能になってくる。

定義されたことにより、ミニプログラムは海外にも
さらに大きいのが、アップルがミニプログラムを正式に定義したことにより、他国でもミニプログラムが開発できるようになることだ。特に東南アジアは、中国のITビジネスに倣う傾向があるため、ShoppeeやTikTokといったスーパーアプリを通じて、ミニプログラムが配布され、消費市場を成長させる起爆剤になる可能性もある。
長年の懸案だったアップル税問題が解決し、アップルとテンセントは両者とも大きな収穫を得たことになる。
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