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統計で中国のウソを語る方法。GDPや失業率にまつわる話はどこまでほんとうか

 

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今回は、中国の統計を使った誤解や歪曲についてご紹介します。

 

レアアースの本格的な輸出制限が始まり、非常に厳しい局面になってきました。以前もお話ししたように、中国に依存しているのはレアアースだけでなく、日用品や肥料、医薬品の原料も同じです。医薬品原料はさすがに人道的な問題もあり、簡単には制限してこないでしょうが、肥料原料はすぐに食糧生産に影響が出るわけでないので、中国が制限をしてくることを前提にして、先回りして手を打っておく必要がありそうです。

おそらくSNSでは、中国に対してあることないことが語られていると思います。その中にはもちろん的を射たものもたくさんあります。しかし、中国に限らず、他国を日本の物差しで捉えて「こんなにひどい」というのはだいたい的外れなことになりがちです。例えば、海外のスーパーのレジスタッフは座って仕事をしていることが多いですが、これを「お客に失礼」と捉えてしまうような話です。そんな気持ちはまったくなく、習慣や感覚が違うだけの話です。

それを「だから海外の労働者は労働意欲が低く、職業倫理も低い」などと解説され、私たちが海外のことをよく知らなければ信じてしまうかもしれません。中国に関しても、このような話が多いと思います。

 

中国に対する批判投稿を読んでいて思い出すのが、『統計でウソをつく方法』という本のことです。この本は1968年に発表されたダレル・ハフ氏の名著で、現在でも通用する内容です。「嘘には3種類ある。嘘、ひどい嘘、そして統計だ」というフレーズが有名です。平均値と中央値の違い、サンプル抽出の歪み、グラフの錯覚、相関関係と因果関係など、統計データを見るときに知っておかなけれならない基本姿勢が身につく内容です。講談社ブルーバックスから出版されているので、未読の方は一読をお勧めします。

今回は、そのような統計にまつわる話を取り上げ、どこがおかしいのかを検証してみたいと思います。

 

1)iPhone部品の半分以上が日本製

 

ニュース23」という報道番組を見ていたら、「知ってる?iPhoneの半分は日本製」という特集をやっていました。

日本製部品は1282個であり、全体の56.4%にもなります。しかも、都合のいいことに中国製部品はわずか4つであり、もはやiPhoneは脱中国化を達成したかのようデータです。

ニュース23で報道された内容。部品点数で数えると、iPhoneの半分は日本製ということになる。しかし、900個以上は積層コンデンサという同じ種類の部品が使われている。

 

しかし、この1282個のうちの900個以上は村田製作所太陽誘電TDK積層セラミックコンデンサです。コンデンサは電流のダムのような役割をし、電圧を安定させたり、ノイズを除去する役割を持っています。これがないと、チップにおかしな電流が流れて故障したり、エラーが起きてしまうことになります。特にグラフィック関連の部品の周りにはコンデンサが多用されます。

iFixit.comなどで、分解写真を見ていただくとわかりますが、基盤にびっちりと並んでいる小さな部品がコンデンサです。

ですので、部品点数の割合で、日本製が多用されていると誇ってみても、そのうちの900個以上の部品が同じ部品なのですから、あまり意味はないように思います。このような比較をするのであれば、部品種類数にした方が、まだ実情を把握できるのではないでしょうか。

 

アップルは取引のあるサプライヤーの全リストを公開しています(https://s203.q4cdn.com/367071867/files/doc_downloads/2024/04/Apple-Supplier-List.pdf)。

ただし、サプライヤー企業がどこの国の企業かということはもはや意味がなくなっています。たとえば村田製作所にしても、中国、ドイツ、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、米国に拠点を置いていて、グローバル企業になっています。この拠点のある国を数えたのが次のグラフです。

▲アップルが公開しているサプライーリストから拠点数を数えたもの。脱中国化は進んではいるものの、まだまだ中国に依存してiPhoneは製造されている。

 

確かに脱中国化は進んでいますが、中国に置かれている拠点は圧倒的に多くなっています。これはiPhoneなどの組み立てをしているフォクスコン深圳工場でテスト生産が行われるからです。

テスト生産の最中にはさまざまなトラブルが起きますから、そのたびにサプライヤーのエンジニアが工場に駆けつけ、問題解決をしなければなりません。これにより、深圳には世界中の企業が拠点を置いています。

グラフを見てわかるとおり、日本に拠点を置いているサプライヤーはわずか9%にまで減っています。

一般的に、アップルの脱中国化の進み具合を見るには、この拠点数割合を使います。インド生産も本格化をしたため、インドのフォクスコン、タタの組み立て工場の周辺には、各サプライヤーが拠点を新設しているでしょうから、2025年版ではインドの拠点数割合がぐっと増えることになりそうです。

 

また、部品金額のシェアで見るということも時々行われますが、具体的にどの部品をいくらでアップルに納品しているかはわからないため、あくまでも推測ということになります。この場合は、米国が圧倒的なトップになります。モデムチップをクアルコムが提供するなど、知的財産権が乗った部品が中心であるため、使用料込みの価格となるからです。

村田製作所ソニーは、日本で生まれた企業ですが、実態はグローバル企業になっています。部品点数という統計としては誤解を受ける要素を持った数字を使い、「iPhoneの製造には日本が欠かせない」などと言ってみても、意味のあることだとは思えません。

今回は、このようなちょっと気になる統計情報をご紹介していこうと思います。ご紹介する内容は以下のものです。

 

1)iPhone部品の半分以上が日本製

2)中国で新エネルギー車が突然売れなくなる

3)独身の日セールは年々売上が成長している

4)中国の若年失業率はほんとうは46.5%だと中国の研究者が暴露

5)国家首相ですら中国のGDPを信用していない。李克強指数

6)GDP成長率は2.6%から3.0%がほんとう?ロジウム・グループの試算

 

わかりやすい話から、だんだん複雑な話になるようにご紹介していきます。

 

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