中国の新幹線「高鉄」(ガオティエ)の国産化率は95%、98.5%などと言われる。どうしても国産化できないのが高品質ベアリングを使った車軸で、現在はドイツと日本からの輸入に頼っている。現在の国産化ベアリングの採用率は10%にとどまっているとMetceraが報じた。
中国版新幹線国産化への最後の部品「ベアリング」
中国の新幹線「高鉄」(ガオティエ)の国産化率については公式の公表数字はないものの、メディアなどでは「95%」とか「98.5%」などという数字が使われる。専門家の論評などでも「90%を超えた」という表現が使われる。
そして、「なぜ、100%にできないのか」という問いには「精密なベアリングが中国にはまだつくれない」と言われる。スイスSKF、ドイツFAG、日本NTNなどの輸入に頼っており、国産ベアリングの採用率は10%以下でしかない。そのため、「高鉄完全国産化を目指すのに、中国が乗り越えなければならない最後の部品」などとも言われる。
世界の4割を生産するも、高品質ベアリングがつくれない
中国は1949年に建国すると、すぐにベアリング工場を設立し、独自生産を始めた。これが現在のハルピンベアリング工場につながり、鉱山、紡績機、自動車などに使われるようになった。60年代には洛陽にベアリング工場が設立され、発電機などにも使われるようになる。
その後、民間企業でもベアリングの生産が行われるようになり、2024年の生産量は337億個、2315億元となり、生産量では世界の4割を占めるまでに至った。しかし、生産額で見ると3割しかない。つまり、高品質のベアリングはつくれていないということだ。この高品質ベアリングはドイツと日本の独壇場になっている。

高品質の秘密はレアアース添加
そのため、中国は、高鉄や風力発電機など高品質を要求するベアリングは輸入をしている。その量は16万トン、35億ドルにもなる。これは生産額ベースで中国の生産量の10%以上になる。
なぜ、中国は高品質ベアリングをつくれないのか。それはベアリングに使う素材に秘密がある。ベアリング鋼は純度が高く、均一でなければならない。ここに問題があると、金属疲労が起きて破損してしまう。純度は酸素含有量で測定されるが、中国は5ppm以下のベアリング鋼を生産できるが、この水準では高鉄などに使うことはできない。熱処理をするとベアリングが変形をしてしまうため、信頼度が落ち、寿命が短くなる。
ドイツや日本のメーカーは、ここをどうしているのか。秘密はレアアース添加だ。少量のレアアースを配合することにより、結晶が小さくなり、均一性が大幅に向上する。しかし、当然ながら、どのようなレアアースをどのくらい、どの工程で配合するのかは企業秘密であり、ここが中国が追いつけないポイントになっている。

中国でも高品質ベアリングの生産が始まっている
しかし、2018年、西王特鋼と中国科学院は、このベアリング鋼の問題を突破する技術を開発し、2019年から洛陽ベアリングでの生産が始まっている。2021年に西王特鋼は、このベアリング鋼による高品質ベアリングを高鉄に供給し始めた。
まだ、実績を積む段階で、採用率は10%以下だが、今後、高鉄でも国産ベアリングの採用は増えていくと見られる。まだまだ時間は必要だが、高鉄国産化率100%に向けて動き出している。
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