シャオミがインドへの投資を停止する決定をした。2014年にインドでの生産を始め、インドのスマートフォン市場でも1位の座を獲得したが、インド政府の理不尽な差し押さえで身動きが取れなくなっていると南方娯楽網が報じた。
アップルは中国からインドへ
トランプ関税の影響により、中国生産からインド生産への切り替えを進めているアップル。米国で販売されるiPhoneの8割ほどはインド製になっていると言われる。これにより製造パートナーも変わった。これまでは、台湾鴻海精密工業(Foxconn)が中国工場で製造をしてきたが、米国向けiPhoneはインドでタタグループが中心となって生産をしている。インドにとっては、精密製造産業を飛躍させる大きなチャンスになっている。
また、アップルはインド国内にアップルストアを開設していき、インド国内でのiPhone販売にも力を入れるようになっている。
2014年からインド生産と販売をしている小米
アップルがインドに入っていくのとは対照的に、インドから出ていくのが小米(シャオミ)だ。
小米は2014年という早い段階でインドに進出をしている。インド向けに低価格機「紅米」(Redmi)を開発し、そのコスパから一気にシェアを握ると、翌2015年には、創業者の雷軍(レイ・ジュン)自らモディ首相と面会し、インド生産をするための協力を取り付けた。
2017年には工場が完成し、数千人の現地雇用を実現した。これにより、小米のスマートフォンは、インド市民から「準国産」と見做されるようになり、一時期は市場シェアが28%となり、インドで最も売れているスマホになった。



小米はインドから事実上の撤退
しかし、2022年に突然、状況が変わった。4月29日、インド当局は小米インド法人を封鎖し、5551億ルピー(約1000億円)の資金を差し押さえた。理由は、違法な海外への送金を行ったというものだった。
小米インドでは、中国のサプライヤーから部品を仕入れ、小米本社からOSなどのソフトウェアを仕入れ、スマホを製造している。その代金のうち、小米本社に支払ったソフトウェア使用料が違法な利益移転だと指摘された。
小米は当然納得をせず、裁判所に差し止め請求をしたが、デリー高等裁判所は当局の行動を支持する判決を出した。
この額は、くしくも、小米がインドに進出して以来の利益の合計と同じであり、小米は多大な努力をして、工場を7つつくり、数万人を雇用して、インドに地盤を築いたが、最終的に1元も儲からなかったということになってしまった。

小米本社ではインドへの投資を停止することを決定
これにより、インドでシェア1位だった小米は、2022年Q4にサムスンに抜かれ、2023年Q1にはvivoに抜かれ、3位にまで後退した。
しかし、差し押さえの影響はそれだけにとどまらなかった。現金が不足をしているため、部品サプライヤーへの支払いができず、生産数そのものを落とさなければならなくなった。2023年6月には1500人規模のリストラ計画を進めることになった。
2024年、小米本社ではインドへの投資を停止することを決定した。研究開発チームは全員撤収をし、インド向けのカスタマイズ開発もすべて停止された。グローバル製品のみをインドに供給することになった。

給与支払いも滞るほどの状態
小米では、インドを放棄し、そのリソースをインドネシア、南米、欧州に振り向けることにし、この3つの市場は順調に成長をしている。
2025年3月、小米は譲歩をし、違法な利益移転だとされた額の一部を認め、残りの資金凍結を解除してもらう交渉をしたが、インド政府の対応は遅く、いまだに進展が見られない。
その間に、サプライヤーへの支払いが滞るだけでなく、従業員の給与も支払えない状況が迫ってきている。現在、従業員数は1000人以下となり、工場はほぼ動いていない状態だ。
インド政府の不可解な行動
いったいインド政府は何をしたかったのか。せっかく、海外から有力な企業が参入をしてきて、現地雇用をし、産業の振興に大きな弾みがついたはずなのに、それをダメにしてしまった。
大方の見方は、小米が好調なのを見て、インドの会社にしたかったのだというものだ。資金差し押さえの交渉の中では、取締役会へのインド人採用やインド人への株式譲渡などの話が何度も出ている。
今、アップルはインド国内に5つの工場を置き、インド向けと米国向けのiPhoneを生産している。これで、インド国内でのiPhoneのシェアが高まってくると、小米と同様の事態が起きる危険性は否定ができない。何かが起こるかもしれない。
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