バーガーキングの中国事業が危機に直面している。新たな運営先を探して、再出発することを予定している。美味しいが高いという評価のバーガーキングは、それだけではない、さまざまな問題を抱えていると企業頭条が報じた。
バーガーキング中国が委託運営先を模索中
2025年2月、バーガーキングを運営するRestaurant Brands International(RBI)は、中国事業の運営会社BK Chinaの株式を買収し、ほぼ100%の子会社化をした。
2005年にバーガーキングが中国に進出をした時は、RBIが直接運営をしていたが、あまりうまくいかなかった。そこで、2012年にトルコのファストフード運営企業TAB Gidaと共同してBK Chinaを設立し、運営をBK Chinaに委託した。バーガーキングのRBIの株の持分は少なく、実質的に中国事業をBK Chinaに移管した形だ。
しかし、バーガーキングはそれでもうまくいかなかった。そこで、RBIがBK Chinaから経営権を取り戻した。再度、RBIが直接運営するというよりは、新たな委託先を探すのだと見られている。
なぜ、バーガーキングは迷走をしているのか。

スタートダッシュに失敗したバーガーキング
中国に進出をした2005年から2012年までRBIが直接運営していた時代、チェーンはほとんど拡大しなかった。2012年には68店舗にしかなっていない。なぜ、この時期に拡大を試みなかったのかはわからない。しかし、2012年にRBIが拡大をしようとした時、すでに西洋ファストフードの中国市場は、KFCとマクドナルドに占有されていた。また、地方市場には成長空間が残されていたが、そこにも国内系の「華莱士」(ホアライシー、ウォレス)が成長し、バーガーキングの成長空間はどこにもない状態だった。
拡大してもうまくいかないバーガーキング
そこで、RBIは中国事業をBK Chinaに移管することにした。BK Chinaは2日に1店舗を出店し、2018年には1300店舗にまで拡大した。
ただ拡大しただけではない。現地化も進めた。四川マーラー醬バーガー、五香辣チキンなどもメニューに加えている。このような現地化メニューは人気となり、売上の半分を占めていた時期もある。
しかし、それでもバーガーキングは浮上しなかった。
価格はマクドナルドの2倍
バーガーキングの世界的な評価は非常に高い。マクドナルドはハンバーガーをポップな食べ物に変えて成功したが、バーガーキングは本格的なハンバーガーを出し続けている。高級バーガーとまでは言えないものの、本格バーガーをファストフード価格で提供するチェーンだ。
しかし、中国では完全に高級バーガーのイメージがついてしまった。KFC、マクドナルドも中国市場に参入した時は高級飲食品だった。中国人民元の価値が低く、コストギリギリの価格で販売をしても、中国人にとっては高級な食事になってしまう。チキンセットは7.3元で販売されたが、現在の物価は60倍以上になっている。つまり、当時の人にとっては400元(約8500円)ぐらいの感覚だったのだ。
その後、中国の経済が発展し、人民元の価値が高まるにつれ、KFCとマクドナルドはこまめに価格調整をし、本来あるべき庶民的なポジションに近づけていった。ところが、バーガーキングはこの努力を怠り、高いままの状態が続いている。感覚的にはマクドナルドの倍であり、ウォレスの3倍ぐらいの感覚だ。バーガーキングのハンバーガーが美味しいことは多くの人が理解しているが、それでもマクドナルドの2倍美味しいのかと言われると首をひねる人が多い。自然に、KFCやマクドナルドを選ぶようになる。


儲からないことですべての歯車が狂う
この価格調整を怠ったことがすべての歯車を狂わせた。バーガーキングはフランチャイズ加盟方式で店舗を増やしていったが、店舗ではなかなか黒字にならず、投資した資金が回収できない。そこで加盟店オーナーが始めるのは、食材などを本部から供給されるものではなく、市場で安く調達したものを使ってコストを下げることだ。これは規約違反であり、品質を下げてしまう。
さらに、利益が減少していく本部は、提供する食材の品質を下げて利益を確保しようとした。加盟店ではさらに違法調達をするようになり、モラルハザードが起きてしまった。
賞味期限切れ、不衛生などの問題が噴出
2020年3月15日の中央電子台の「3.15晩会」で、バーガーキングの問題が暴露された。3月15日は消費者権利デーであり、この番組は消費者に不誠実なことをする企業の内部告発などを取り上げて人気になっている番組だ。
バーガーキングのある店舗では、賞味期限をすぎたバンズのラベルをはがし、新しい日付のラベルに貼り替えて使っていた。解凍していないチキンを直接フライパンで調理し、中がまだ凍っている状態で客に提供していた。さらには、バンズを床に落としてもそのまま使っていたなどの行為が隠し撮り映像などで暴露された。
さらに、接客態度も最悪であることを多くの消費者が知っていた。この頃にはどこのファストフードにもセルフ注文機が導入されていたが、不慣れな人は使い方がわからないことも多かった。KFCやマクドナルドでは、フロア担当を置き、困っていそうな人がいるとすぐに近づいて手伝ってくれる。ところが、バーガーキングではフロア担当がいない。近くにいるスタッフに助けを求めても、間が悪いと「簡単だから自分でやって」と言われてしまう。
KFCでは子連れのお客がくると、笑顔でエプロンを渡してくれる。洋服を汚さないための配慮だ。KFCとマクドナルドは、顧客体験をよくする努力をチェーン全体で行っていたが、バーガーキングにはそのような努力がまったくなかった。
バーガーキングは「美味しいかもしれないが、高いし、居心地が悪い」チェーンになってしまった。そこに、Shake Shackなどの高いけれど美味しい高級バーガーも登場してきた。バーガーキングは居場所を失ってしまった。

RBIはいったん買い戻して新たな運営会社を探す
この状況を見たRBIは、契約満了までまだ8年あるのに、4.6億元(約99億円)を支払ってBK Chinaから経営権を取り戻した。このままでは倒産しかねないからだ。そして、RBIは新しい運営パートナーを探している。
中国にもバーガーキングファンは多い。やはりハンバーガーらしい味が楽しめるからだ。そのようなファンは、今回の経営権の買い戻しを歓迎している。新しい運営体制でバーガーキングが改善される可能性があるからだ。しかし、バーガーキングは今度こそ失敗することはできない。中国のバーガーキングは正念場を迎えている。
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