つい数年前には電力不足が問題となり、計画停電がたびたび行われていた。しかし、今では電力が余って廃棄電力が問題になっている。再エネ発電へのシフトが生んだ混乱だったと影史侃談が報じた。
発電量、使用量ともに増え続ける中国
中国の電気使用量が増え続けている。2024年7月に初めて単月での使用量が1兆kWhを突破し、2025年も7月は1.02兆kWh、8月は1.015兆kWhと1兆kWh超えが続いた。これは日本の年間電力消費量に相当する。
それだけではなく、発電量が多すぎて、電力の廃棄まで行われている。2021年の秋には各地で電力不足問題が深刻となり、予告なしの大規模停電なども行われたが、もはやそういうことはなくなっている。
石炭火力の抑制を進めすぎたことによる停電
2021年に停電が発生した理由はさまざまな要因が積み重なっているが、最も大きな理由は再生可能エネルギーへの転換を進めるだけでなく、同時に石炭火力の抑制を進めたことにある。
水力、風力、太陽光を中心とした再生可能エネルギー発電所の建設計画は強力に進められたが、このような再生可能エネルギー発電所には電力の貯蔵施設が必要になる。天候や日照に左右される発電をいったん貯蔵することで、発電所としては安定して電力を供給できるようにするためだ。
しかし、多くのプロジェクトで、発電設備は整って発電を始めたものの、貯蔵施設の建設が遅れた。これにより、電力供給が安定せず、停電の要因となった。

石炭炭鉱の閉鎖で石炭不足も
もうひとつは、石炭炭鉱を次々と閉鎖していったことにより、石炭不足が起こり、石炭火力発電の発電量が低下したことだ。現在、発電設備容量ではすでに再エネが50%を超えているが、発電実績ではまだまだ石炭火力が60%程度を占める。
しかし、中国政府は石炭から排出されるCO2量を2030年までにピークアウトすると公表しており、強力な石炭抑制策を行っている。結果として、2024年3月をピークに石炭から排出されるCO2量は5年以上前倒しをする形で達成できた。
この再エネの準備不足と石炭火力の急速な抑制が重なって、停電という事態が発生した。

再エネ発電が増え、今度は廃電が問題に
この状況は急速に改善された。大きいのは再エネ発電の体制が整ってきたことで、同時に再エネ発電が多い西部から大都市の多い東部に送電をする「西電東送」のインフラも整ってきたことだ。これにより、電力は余ることになり、2025年上半期では風力発電の廃棄率は5.7%、太陽光発電の廃棄率は6.6%に達し、今度は電力が余ることが問題になりつつある。
しかし、再エネ発電に適している西部では電力があまり、消費をする大都市がある東部では電力が不足しているという構造は変わらず、西電東送だけでなく、電力を消費するデータセンターなどを西部に建設し、電力の地産地消を促す政策が進められている。
このような体制が整うことで、中国は電力を安く生産できるようになり、電力を大量に使うデータ演算、半導体製造、化学製造などで強みを発揮するようになっている。

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