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米国の製造業は復活できるのか。フォクスコン工場の失敗から学ぶ

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今回は、米国の製造業の復活についてご紹介します。

 

今年は、世界中の人がトランプ関税に振り回された年となりました。多くの人が「めちゃくちゃ」という言葉を口にし、トランプ大統領の気まぐれぶりを非難します。

しかし、トランプ大統領がやりたいことは非常に明白です。ひとつは、大量の中毒患者を生んでいるフェンタニル流入を止めること。中国が原材料を製造し、これがメキシコやカナダで商品に加工され、米国に流入しています。

もうひとつは、米国の製造業を復活させることです。米国ではアップルのような企業がファブレスと呼ばれもてはやされ、米国では設計だけを行い、製造は中国でというパターンが急速に広がりました。その結果、トランプ支持者である白人中間層の工場での仕事が奪われています。

ですので、トランプ関税は一見無茶苦茶に見えますが、米国では海外製品は非常に高くなり、国内製品は関税は関係ないですから相対的に安くなるため、製造業に投資をしようという人が増えます。日本が約束した5500億ドル(約84.4兆円)の米国投資の一部も米国の製造業に対して実行されるようです。

乱暴なやり方ではありますが、方向性としては合っていますし、強引にやらなければならないほど、米国製造業の衰退ぶりは深刻なのです。

 

アップルは、製品の多くを中国、最近ではインドで生産をしていますが、2017年の段階で、雑誌フォーチュンが主催したフォーチュン・グローバル・フォーラムに出席をしたティム・クックCEOは、フォーチュン編集長と「Appleはなぜ中国生産をするのか」というテーマで対談をしています。


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▲2017年のフォーチュン・グローバル・フォーラム。ティム・クックCEOが、なぜアップルは中国で生産をするのか、その理由を語っている。

 

クックCEOは人件費の問題についてこう述べました。「一般的な考えは、企業が中国にくるのは人件費が安いからというものです。彼らが中国のどの地域に行くかはわかりませんが、真実は、中国は何年も前に低労働コストの国ではなくなっているということなのです」。

では、なんでアップルは中国で生産をするのか。それはスキル密度が高いからだと言います。「私たちが製造する製品には、本当に高度な製造装置が必要です。最先端の製造装置です。米国では、機械エンジニアのイベントを開いても、部屋がいっぱいになるかどうかはわかりません。中国では、複数のサッカースタジアムが必要になります」。

 

今の製造業というのは、100円ライターをつくっていたような軽工業とは違って、どの分野でもあっても、最先端の製造装置を使います。その製造装置を動かし調整するには高い専門知識が必要になります。昔のような製造ラインに並んでネジを締める単純作業をする工員は自動化されて不要になりましたが、その代わりに高い専門知識を持ったエンジニアが必要になるのです。

このような高度人材は、必要になったらすぐに育成するというわけにはいきません。時間がかかります。トランプ大統領は、この時間がかかるということを無視した政策を実行していますが、わかっていないのではなく、それを言っていたら何も前に進まないということなのではないかと思います。

 

学生時代に司馬遼太郎さんの「アメリカ素描」を読んで衝撃を受けました。司馬さんはウォール街を訪問し、銀行と証券会社、保険会社が「バクチでありつつもソンをしないシステムを開発しては、それへカネを賭け、カネによってカネを生む」とウォール街の仕組み説明しました。そして、こう言います。

 

資本主義というのは、モノを作ってそれをカネにするための制度であるのに、農業と高度技術産業はべつとして、モノをしだいに作らなくなっているアメリカが、カネという数理化されたものだけで(いまはだけとはいえないが)将来、それだけで儲けてゆくことになると、どうなるのだろうか。亡びるのではないか、という不安がつきまとった。

 

この「アメリカ素描」は昭和60年に初版が出ています。1985年です。今日のアメリカの兆候は、40年前でも、司馬さんのような本質を鋭く見抜く人にはわかっていたことになります。

 

トランプ大統領は、海外からの輸入品に関税をかけるだけでなく、一方で、国内製品の値上げは厳しく監視をしました。これはアップルのようなファブレス企業にとっては非常に厳しい処置です。

アップルはiPhoneを中国やインドで製造し、それを米国に“輸入”をして米国内で販売しています。輸入関税を支払わなければならないのに、販売価格をあげることはできません。しかし、多くの人がiPhone 17では大幅値上げにならざるを得ないと予想していました。

ところが、アップルは値上げどころか、価格据え置きにしただけでなく、値下げすらしたのです。iPhone16と17の価格を比較すると、ベースモデルとPro Maxは価格据え置きですが、Proは約10%の値上げになっています。

▲各モデルの最低価格の比較。Proは10%の値上げになったように見える。単位:ドル。

 

しかし、これは最低価格の価格にすぎません。

これまで、ベースモデル、Proは最小ストレージ容量が128GBからでした。ところが、この最小容量が廃止をされ、256GBからになりました。そこで、16の256GBモデルと比べてみると次のようになります。

▲同じストレージ容量での比較。ProとPro Maxでは価格据え置きで、ベースモデルでは値下げになっている。単位:ドル。

 

ベースモデルでは同じストレージ容量では値下げになっているのです。

各モデルには256GBモデル以外に512GBモデル、1TBモデル、2TBモデルなどが用意されています。ストレージ容量が128GB増えると、価格は100ドル増えます。ところが、ストレージに使われるフラッシュメモリの相場価格は128GBで20ドル程度ですから、アップルはかなり高めの設定をしていることになります。

これはぼったくりというわけではありません。大容量モデルの利益率を高く設定することで、最小容量モデルの価格を安くできているのです。今回、アップルは、大容量モデルから得られる利益を削って、最小容量モデルの価格を据え置きまたは値下げをしました。

「vol.298:白物家電コモディティ化して進化の余地はないのか。小米が見つけた人車家全生態とは」(https://tamakino.hatenablog.com/entry/2025/09/14/080000)でもご紹介しましたが、アップルはもはやハードウェアの会社ではなく、Apple MusicやApp StoreiCloudなどのサービスの会社です。Bank of Americaは、2025年にはサービスの売上がハードウェアの売上を超えると予測しています。

▲アップルの各事業の売上構成。2024年の実績値でもサービスによる売上が高くなってきていて、Bank of Americaは2025年にはサービスの売上が製品の売上を上回ると予測している。

 

それだけではありません。製品の粗利率は40%弱ですが、サービスの粗利率は80%近くになろうとしています。アップルの儲けはサービスからきているのです。

つまり、アップルは製品の価格を抑えて、できるだけ多くの人にアップルデバイスを持ってもらい、その人がサービスを利用し支払いをすることで、利益の帳尻を合わそうとしています。

さらに、アップルは米国の製造業、データセンターなどに2029年までに6000億ドル(約92.3兆円)の投資計画を明らかにしています。また、日本が行う総額5500億ドルの投資のどのくらいの割合かはまだわかりませんが、かなりの部分が米国の製造業へ投資されることになるでしょう。

トランプ大統領のトランプ関税政策はあまりにも粗雑で荒っぽいものですが、アップルのようなスマート企業が対応すると、それなりの形になっていきます。トランプ大統領は、米国企業の優秀さを信用していて、それを見越して荒っぽくて強力な政策を実行しているのかもしれません。

 

しかし、投資というお金を用意すれば米国の製造業が復活するというほど、簡単にはものごとは進みません。

実際、2017年に台湾鴻海集団(Foxconn)は、ウィスコンシン州ラシーン郡に100億ドル(約1.5兆円)をかけて工場を設立し、1万3000人の雇用を生み出すとして、鴻海の創業者、郭台銘(グオ・タイミン)氏は、ホワイトハウスでトランプ1.0時代のトランプ大統領と共同記者発表をしました。

▲鴻海集団の創業者、郭台銘氏は、ホワイトハウストランプ大統領と共同で投資に関する記者会見を行った。しかし、このプロジェクトは無惨な失敗をしている。

 

ところがこれがものの見事に失敗をしています。

現在の衛星写真を見ると、工場棟が2つ、多目的ビル(管理棟)、オフィスとイベントスペースを兼ねた丸いグローブと呼ばれる建物(未使用)が見えるだけで、その他は空き地と貯水地になっています。

▲フォクスコンのウィスコンシン州の工場の現在。工場棟が2つあるが、その他は広大な荒地と貯水池で占められている。

 

トランプ大統領と郭台銘氏の共同発表には既視感があります。日本の経営者も同様にトランプ大統領と共同発表をして投資計画を公表しています。

フォクスコンの計画がうまくいかなかったというのは、フォクスコンだけの落ち度とも言えません。やはり、下地がない米国でいきなり製造工場を立ち上げるというのは非常に難易度が高いのです。

そこで、今回はフォクスコンの米国工場の物語を振り返り、米国での製造業復活にどのような問題があるのかを考えます。

 

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