中国で最も個人消費額の大きな都市は重慶になった。重慶では住宅負担が小さいために、収入の多くを消費に回すことができる。重慶の個人消費が大きいのには3つの理由があると華商韜略が報じた。
中国で最も個人消費額が大きい都市「重慶」
中国で最も個人消費額が大きい都市はどこだろうか。多くの日本人は上海と答えるはずで、多くの中国人も上海と答える。しかし、2025年上半期の都市ごとの社会消費品小売総額は、重慶市が8300億元以上であることが明らかとなり、上海市の8260億元を超えた。
重慶市といえば火鍋の都市。重慶市には3.7万軒の火鍋店があり、火鍋産業の市場規模は3000億元にも達している。単なる食事ではなく、社交の場ともなっているからだ。「火鍋で解決できない悩みはない。万が一解決できなかったら、もう一度火鍋を食べに行く」と言われるほど火鍋は愛されている。
しかし、それだけで中国最大の消費都市になれるわけではない。重慶の経済が強いのは3つの理由がある。
重慶経済が強い理由1:3つの強い産業がある
重慶には自動車、電子製品、半導体という3つの強い産業がある。
重慶には長安汽車があり、自動車関連のサプライチェーンが成熟しているため、多くの自動車メーカーが生産工場を置いている。重慶市の2025年H1の自動車生産量は121.85万台になり、全国第3位だ。さらに、昨年から8.4%増加している。
また、電子部品のサプライチェーンも成熟しているため、多くのメーカーが重慶市に生産拠点を持っている。米ヒューレットパッカード、台湾ASUS、台湾Acerなどで、日本の東芝も重慶市に生産拠点を持っていたことがある。
2014年以来、重慶市は世界最大のノートパソコンの生産地になっていて、最盛期には9385万台を生産した。世界のノートパソコン3台のうち1台は重慶産ということになる。
さらに半導体産業も成長をしている。中国政府の方針で、重慶市は西部地区の半導体生産の中心地となった。すでに上流から下流までの完全なサプライチェーンが完成しており、今後、重慶の第3の産業になることが確実になっている。
このような産業の強さにより、2025年H1の重慶市民の平均可処分所得ランキングは全国9位で、内陸都市の中では1位になっている。

重慶経済が強い理由2:住宅価格が安い
重慶は市民の収入も沿岸大都市並みに高いが、それ以上に、消費を促しているのが住宅価格の安さだ。住宅投資を考える人は、値上がり率を見るため、内陸都市にはあまり目を向けない。そのため、重慶は住宅価格が安く抑えられ、狂気のようなバブルも起こらなかった。
個人の可処分所得と住宅支出を比べてみると、北京、上海では30%を超え、40%に近づいている。しかし、重慶は7%前後にすぎない。2025年7月の重慶市の中古住宅の平均価格は9200元/平米で、これは上海の1/5でしかない。
この負担の軽さにより、収入の多くを消費に回せることになる。住宅価格が安いため、貯蓄志向もさほど強くない。
面白いのは、重慶市民の場合、消費の矛先が物質ではなく食に向かうことだ。火鍋は毎日のように食べるし、それ以外のものも外食をする。北京、上海の2024年の飲食産業の収入はそれぞれ4.9%、5.3%減少し、不況感が強まっているが、重慶市の場合は9.1%も増加しており、ますます外食を楽しむようになっている。
重慶経済が強い理由3:観光都市としての成功
また、他都市からの観光客によるインバウンド収入も大きい。重慶は長江沿いの峡谷にある都市で、市内の高低差が大きい。地形的には決して暮らしやすいとは言えないが、重慶市はこれを重慶の特徴と捉え、抖音などで「重慶・魔幻8D都市」としてアピールして、観光都市としての人気を確立した。
土地が狭まく高低差があるため、地下鉄や路面電車を敷設することができず、「軽軌」(チングイ)と呼ばれるモノレールが市民の足になっている。李子壩駅はビルの中に設置され、モノレールがビルの中に吸い込まれている風景を見ることができる。これは土地利用の制限から仕方なくやったことだが、これを奇観として積極的にアピールした。さらに洪崖洞の夜景をアピール、市民たちは落書き街、防空壕を利用した飲食店など、次々とSNSで受けそうなスポットをつくっていく。
2025年の5月の連休には1858万人の観光客が訪れ、消費総額は151億元(約3200億円)となった。日本の年間インバウンド旅行者のほぼ半分の人数が、1週間足らずの連休にひとつの都市を訪れたのだ。各観光地は大混雑となったが、あらかじめ警察と市民ボランティアが誘導する計画を立てていたため、大きな混乱は起こらなかった。


重慶に続く成都市。内陸都市に活気がある
一方、成都市も重慶と同じように住宅価格が安く、半導体や自動車、電子製品が強く、観光都市であり、おまけに四川火鍋が有名だ。住宅バブル崩壊で、北京、上海という沿岸大都市の不況感が強まっているが、その代わりに内陸都市が頭角を現し始めている。
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