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ガートナーが選ぶ中国AIの10の傾向。オープンソースAIと自主開発と人材育成

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今回は、中国AIの10の傾向についてご紹介します。

 

調査会社ガートナー中国が、「2025年中国AIの10大傾向」(https://www.gartner.com/cn/newsroom/press-releases/2025-china-ai-trends)というレポートを公開しています。

レポートと呼ぶには短い記事で、10の傾向を列挙し、それぞれに簡単にガートナーが予測した数字をつけただけのものですが、中国AIの特徴を非常にうまく抽出しています。短い記事ですので、中国語がある程度わかれば読めますし、そうでなくてもブラウザの翻訳機能を使っていただければ大まかな理解はできるかと思います。

しかし、短すぎて、読んでもピンとこないという方もいるかと思いますので、10の項目を少し丁寧にご紹介していこうというのが今回のテーマです。

 

ガートナーが挙げている中国AIの特徴は次の10項目になります。

1)オープンソース生成AIモデル

2)自主開発の傾向

3)AIエージェント

4)演算力の節約傾向

5)開発能力を重視する傾向

6)協調型AIセキュリティ

7)AI人材の育成

8)ユビキタスAI

9)包摂的なAI生態系

10)データ生態系からAI生態系に

この10項目について、順番にご紹介していきます。

 

1)オープンソース生成AIモデル

 

2022年11月にChatGPTが一般公開されことは、AIの大きな転換点になりました。それだけでなく、IT産業の、あるいは産業界の、さらに大きく言えば人類の大きな転換点かもしれません。これがまだ3年にもならない最近のことであることに誰もが驚くはずです。

2025年1月に中国の深度求索がDeepSeekを公開したことは、ChatGPTの登場に次ぐ大きなトピックです。それは最先端AIと肩を並べる性能のAIがオープンソースであることに驚きがありました。

米国のエンジニアたちは、このオープンソースであるということに驚いたわけですが、日本のメディアにはそこがピンときていないようで、「開発コストが既存の1/10」ばかりに注目が集まりました。また、DeepSeekがChatGPTのコードを表示することから「ChatGPTのパクリなのか」という騒動にも注目が集まりました。

ブログなどで意見を公表しているエンジニアの方々はオープンソースであるということに反応をして、AIビジネスの方向性が大きく変わることに注目をしていましたが、オープンソースであることに着目したメディアの記事は非常に少なかったように思います。

 

オープンソースというのはソースコードを公開し、誰でも自由に使ってかまわないし、ソースコードを改変してもかまわないというものです。Linuxオープンソースを前提にした開発をすることで成功をして以来、多くのソフトウェア開発がオープンソースを意識せざるを得なくなっています。

オープンソースのメリットはいくつもありますが、現在ではセキュリティ対策に最も大きな効果が生まれています。サーバーソフトウェアは、もしそれが完璧につくられていれば、凄腕のハッカーと言えどもつけ入る隙はありません。設計上は完璧なはずなのです。しかし、現実はそうではなく、数々のセキュリティホールが生まれてしまいます。これが、オープンソースであれば、多くの人がソースコードを見られるため、誰かがこのようなセキュリティホールに気がつくというわけです。オープンソースの世界ではバイブルとも言える「伽藍とバザール」(エリック・レイモンド)の中にも「じゅうぶんな目があれば、すべてのバグは浅い」(Given enough eyeballs, all bugs are shallow.)という言葉があります。

多くの企業がバグバウンティ制度(バグ通報報奨金制度)を設けているため、セキュリティホールに気がついた人はそれを悪用したり、ダークウェブで売却するよりも、素直に運営企業に通報した方が経済的利益を得られます。

もうひとつは、多様なアイディアが生まれてくることです。多くの人がソースコードを見て、さまざまなアイディアを出し、改変をします。その中で優れたものはソースコードに統合されていきます。例えば、ブラウザに複数のページを表示して、タブで整理するというのは今ではあたりまえになっていますが、元々はオープンソースのブラウザMozillaOperaなどのコミュニティで自然発生的に生まれたものです。

また、オープンソースは無料で利用ができますから、広がりやすいという点もメリットです。多くの人がLinuxを使うのは、もともとが無料であり、多くの人がバグやセキュリティホールに目を光らせているため安定しており、不都合な部分があれば自分で修正ができるからです。

 

しかし、オープンソースはどうやって利益を得るのでしょうか。一般的なクローズドソフトウェアは、そのソフトウェアのコピーを販売したり、クラウド運用して利用料を徴収することができます。しかし、オープンソースは無料でコピーすることができてしまいます。

オープンソースで利益を出す方法はさまざまありますが、最もわかりやすいのは、企業向けビジネスを展開することです。DeepSeekの場合、ウェブから個人が使うのは無料ですが、企業や機関が導入したい場合、ウェブから使うだけでなく、自社のデータを学習させたい、自社のシステムに組み込みたいという要望があります。このようなコンサルと開発をすることで利益を得ています。どのような企業が、DeepSeekと取引をしているかは公開されていませんが、多くの企業(金融、医療、製造が中心)と教育機関の多くが導入をしているため、DeepSeekは大きな売上をあげていると推定できます。

クローズドソースにして企業に営業をするよりも、オープンソースにして広く使ってもらい、その機能に納得をしてもらった方が導入してくれる企業は多くなります。製品に自信があるのであれば、オープンソースの方が優れたビジネス戦略になります。

 

DeepSeek登場後は、公的機関と教育機関でDeepSeekを導入することが一種の流行現象のようなことにもなりました。その理由はオープンソースだったからです。公的機関や教育機関で最も神経質になるのは内部情報の流出です。しかし、AIには内部情報も学習してもらう必要があります。

この矛盾を解決するには、ソースコードを入手して、自社のクローズなシステムの中で動かせばいいのです。外部連携していない社内システムであれば情報が外に出ることはなく、情報流出が起きません。もちろん、自力で稼働させるにはそれなりの技術力が必要だったり、DeepSeekのコンサルを受ける必要がありますが、安心をして運用することができます。

浙江省浙江大学ではすぐに学内システムにDeepSekkを導入し、「AI学園」(https://chat.zju.edu.cn/)として学生と教職員が無料で使えるようにしています。さらに、学生と教職員だけが使えるAIエージェントやプラグインも多数用意され、人気になっているのは履修アドバイスAIだそうです。自分がどんな職業に就きたいのかなどを相談していくと、それに見合った授業を時間的に重ならないように決めてくれるというものです。また、課題をこなすときによく理解できていない概念を理解したり、音声で外国語や面接の練習相手になってもらう、寮生活で困ったことを相談するなどに使われています。

 

オープンソースはMetaのLlamaが先行していましたが、厳密にはLlamaはオープンソースではありません。Metaはオープンモデルと呼んでいます。一般の企業、個人はオープンソースと同じように自由に使うことができますが、Metaと競合する企業に関しては通常の商用ソフトウェアと同じように契約や支払いが必要になります。つまり、オープンソースにすることによってライバルに利用されるデメリットを防ぎ、広く普及するというメリットだけを享受しようというものです。

DeepSeekが完全オープソースとして登場すると、アリババの通義千問(Qwen)も追従し、OpenAIもオープンソースモデルを検討するようになっています。

ガートナーは、2026年には、中国のAI産業の半分がオープンソースモデルに基づいた製品で占められると予測しています。オープンソースAIは中国AIの大きな特徴になっています。

 

ガートナーはこの他に9つの中国AIの特徴を挙げています。今回はガートナーが指摘をした中国AIの10の特徴についてご紹介します。

 

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