シェアが下落をしているアリペイが巻き返し策としてNFCタッチ決済に対応し、対応店舗が広がっている。しかし、決済時間の短縮よりも、多くの商店はマーケティングへの利用に注目をしていると大衆日報が報じた。
アリペイがNFCタッチ決済に対応
アリババのスマートフォン決済「支付宝」(アリペイ)は、昨年2024年7月からNFCによるタッチ決済をスタートさせ、順調に拡大している。今年2025年6月末時点で、利用者が1億人の大台を突破した。
アリペイは決済時間の短縮を強調している。従来のQRコード決済では、スマホを取り出し、アリペイアプリを起動し、スキャンを起動し、QRコードをスキャンして、金額を入力し、(多くの場合)暗証番号を入力して、支払いをタップする。だいたい15秒程度かかる。これが、スマホを取り出し、そのままタッチをするだけでわずか3秒になるとしている。
しかし、多くの人はここにはあまり魅力を感じていないようだ。なぜなら、コンビニやスーパーなど混雑をする場所でQRコードをスキャンして支払う方式にしていることは稀で、QRコードを表示するだけで、店舗側がスキャナーでQRコードを読んでくれるからだ。しかも、アリペイアプリには「支払いQRコードを表示する」ショートカットも用意されているため、スマホを取り出して、ショートカットボタンをタップするだけのことになっている。これがタッチ決済に変わっても、さほど時間は変わらない。

下落シェアの逆転策「タッチ決済」
アリペイのライバルである騰訊(テンセント)の「微信支付」(WeChatペイ)とのシェアは差が開きつつある。今年2025年Q1では、WeChatペイ59.7%、アリペイ36.2%と差がつき、しかも、アリペイは微減傾向にある。
WeChatペイの方が、ミニプログラムが豊富で、知り合いとの送金も簡単という利便性が高く、多くの人が両方を使いながらも、WeChatペイを使うシーンが多くなっている。
この状況をひっくり返すために、アリペイが投入してきたのがタッチ決済=NFC決済だった。

決済よりもマーケティングに有効なタッチ
このタッチ決済は、決済時間の短縮よりも、マーケティングの点で商店からも消費者からも注目されている。
例えば、店内に「タッチするだけで、会員登録。20元クーポン進呈」などというNFC端末を設置することができる。あるいは、商品の横に「今だけ10元クーポン配信中」というNFC端末を設置することができる。NFC端末は、非常に小さく、従来の商品ポップと変わらないために、さまざまなプロモーション施策に応用できる。
ここが、販売業者が競ってタッチ端末を導入することになっているし、得ができることからタッチ決済を開通する消費者が増えている。

タッチの濫用に対するリスクも
しかし、その一方で、安全面のリスクを指摘する専門家もいて、それを心配してタッチ決済を開通しない利用者もいる。
2010年代後半、QRコード決済が普及すると、QRコード詐欺が流行したことがある。正規の支払い用QRコードの上から、別のQRコードのシールを貼り付け、別のアカウントに送金させるというものだ。
同じことがNFCタッチ決済でも起こる可能性があるのではないかと心配する声がある。専門家は、その可能性は否定できないとしている。悪人が、NFC端末を自分で設置し、お金を盗んだり、口座番号などのプライバシー情報を盗むことが原理的に可能だからだ。
マーケティング利用で巻き返しをねらうアリペイ
アリペイ側は当然反論をしている。タッチでクーポンを取得する場合、タッチしてから確認画面が表示され、ユーザーがそれを明示的にタップしない限り、いかなる情報も送信されない仕様になっている。そのため、悪人がNFC端末を設置しても、同意のタップをしなければ何も危険なことは起こらないとしている。
しかし、悪人がいかにも安全そうな確認画面をつくることは可能だ。騙されて、同意ボタンを押してしまう人はいるのではないか。アリペイは、NFC決済で被害を受け、消費者に重大な落ち度がない場合は、アリペイが100%補償をすると表明している。とはいえ、そもそもそういうトラブルに巻き込まれること自体が面倒なことで、その後、サポートと不毛なやり取りを重ねなければならないのも煩わしいことだ。
現在、タッチユーザーは1億人を突破したが、そのうちの50%は30歳以下の若者だ。特に40歳以上はタッチ決済を開通することに消極的だ。アリペイのシェア低下の起死回生策として登場したNFCタッチ決済。これで巻き返すことができるか、今後が注目されている。
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