米国政府は、AI開発に必須の最先端GPUの中国への輸出を禁止している。しかし、中国では第三国経由で輸入され普通に使われている。サポートが受けられないため、独自の修理業者まで生まれていると頭条眼が報じた。
輸出禁止のGPUが普通に使われている
米国は、AI開発に必須のNVIDIA「H100」「A100」などのGPUの中国への輸出を2022年10月に禁止したが、中国ではごくあたりまえのように使われている。ある推計によると、2025年Q2だけで10億ドルの輸入できないはずのGPUが取引されているという。
その多くは、シンガポールやマレーシア、インドなどを経由して中国に輸入されている。
GPUの修理ビジネスが生まれている
しかし、中国がじゅうぶんなGPUを手に入れているわけではない。このため、GPUの修理という新しいビジネスが興っている。中国科学技術センター深圳の調査によると、このようなGPU修理業者はすでに数十社が存在すると見られている。
GPUの数が不足をしているため、多くのケースで24時間ノンストップで利用することが常態化している。これにより、一般的な半導体に比べて、相当に高い故障率になっているという。しかし、第三国経由で輸入をしているため、正規サポートを受けるわけにはいかない。そこで、独自の修理業者が生まれるようになっている。
このような修理業者の中には、技術力の高い業者もいる。NVIDIAの公式技術サポートでも解決できない問題にまで対応できる業者が多く、現在では正規サポートよりも安価で技術力が高いからという理由で利用するケースが増えているという。

米政府はGPUに追跡機能を搭載する法案を準備中
米国の議員たちは、先端半導体に対して、販売後も追跡できる機能を搭載する法案を提出した。NVIDIAなどのメーカーに、自社が販売したGPUに追跡ができる仕組みを組み込むことを要求するというものだ。
NVIDIAは、米国の輸出規定を厳格に守ることを公言しているが、現実に、すべてのGPUを正確に追跡することは簡単ではないとも述べている。
人気のない輸出OKのH20
米国政府は、H100やA100といった先端GPUと比べて、大幅に性能を制限したH20の中国輸出を認め、H100、A100の需要を抑えようとしている。しかし、中国ではH20は人気がない。性能が劣るうえに価格が高いからだ。
そのようなH20を購入しなくても、第三国経由でH100やA100を手に入れ、国内のサポート業者を利用すれば問題がない。
また、GPUのレンタルサービスも盛んになってきている。NVIDIAがGPUの追跡を始めた場合、第三国経由のGPUを所有している企業は米国から何らかの制裁対象となることが考えられる。そのため、自社では所有せず、このようなレンタルサービスを使ってリスク回避をする企業も増えているという。
結局、米国がチップ封鎖をしても、中国への流入は避けることができず、しかも中国内で新たなビジネスが生まれているという状況だ。

GPUにリモートシャットダウン機能も搭載?
また、中国ネット安全情報化委員会は、H20にも追跡機能、さらにはリモートでシャットダウンする機能が備えられているのではないかという懸念から、NVIDIA社を呼び出し、面談を行ったことを明らかにした(https://www.cac.gov.cn/2025-07/31/c_1755675743897163.htm)。
NVIDIA社はもちろん、そのような機能は備えられていないと否定をしている。米国は、H100やA100を何としてでも中国に流入させずに、低性能のH20を使わせたい。中国は低性能のH20ではなく、第三国からH100やA100を合法的に迂回輸入して使いたいという駆け引きが続いている。
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