ドナルド・トランプ大統領が率いるトランプグループがスマホ事業に参入し、T1というスマートフォンを発売する。当初は「アメリカ製」とうたわれていたが、中国のウィングテックが製造したのではないかという疑いが起きていると毎日経済網が報じた。
トランプグループがスマホ事業に参入
ドナルド・トランプ米国大統領が率いるトランプグループは、今年2025年9月にスマートフォン事業に参入すると発表した。傘下のトランプモバイルが、T1というスマホを発売し、価格は449ドル。使用料は、通話、メッセージ、データが使い放題で月47.45ドル(約7000円)というものだ。この価格は、トランプが第47代大統領、第45代大統領であることにちなんでいると思われる。
このT1は、筐体が金色であり、デフォルトの壁紙も金色で、「Make America Great Again」という文字が入っている。

製造は中国ウィングテックの疑い
トランプモバイルでは、当初、公式サイトで「アメリカ製」と表記していたが、各方面から疑問の声が寄せられた。
疑問を呈した人の中には、米国本土でスマホの組み立てを行い「Liberty Phone」を販売しているPurismのトッド・ウィーバーCEOもいる。ウィーバーCEOは、現状では米国でスマホを製造するのは不可能だと主張した。すると、公式サイトの文言は「アメリカで設計」に修正された。
それだけではない。スマホの構造などから、このT1を製造したのは、浙江省嘉興市を拠点とする「聞泰科技」(ウィングテック、https://www.wingtech.com/cn)ではないかと推定されている。

ウィングテックはノーコメント
毎日経済網は、ウィングテックに問い合わせをしたが、「スマホ製造事業は売却をしたので、こちらでは詳しいことがわからない」として取材に応じてもらえなかった。毎日経済網はさらにこの製造の仲介をしたと目される業者を突き止め、取材を申し込んだが「顧客に関することはお話しできない」として取材には応じてもらえなかった。

アメリカで設計にも疑問の声
さらに、T1の「アメリカで設計」という文言にも問題があることが明らかになってきた。なぜなら、ウィングテックがリファレンスモデルとして各社に配布しているサンプル品とT1はほとんど同じなのだ。
リファレンスモデルとは、ウィングテックのような受託製造企業が、仕事を取るために、見込み客に配布をするサンプル品だ。先にスマホを製造しておき、それを顧客に見せ、必要なカスタマイズを行って量産する。
本来は、顧客側でリファレンスモデルにさまざまな機能を追加するなどして、オリジナルの製品に仕上げ販売をするというものだが、中にはほとんどそのまま、見た目だけ変えて、自社開発製品だと主張して販売してしまうケースがある。
T1は、このウィングテックのリファレンスモデルと変わっているところがほとんどないため、ウィングテック製だと言っても差し支えがないのだ。
この疑問がメディアで報道されるようになると、トランプモバイルの表記は「アメリカ設計」から「アメリカ人の誇り設計」(American-Proud Design)という、意味が取りづらい文言に変わってしまった。
発売されればすべては明らかになる
トランプ大統領は、アップルに対して米国で生産するように圧力をかけ続けている。しかし、現実にはそれは不可能なのだ。
Liberty Phoneを米国で組み立てし、「Made in USA」をアピールするPurism(https://puri.sm/)も、筐体やモデムは中国製であることを明示している。可能な限り、米国部品を使い、米国生産を行っているが、それでも中国に頼らざるを得ない部分がある。しかも価格は1999ドルと高くなってしまう。iPhone 16の799ドルと比べると倍以上になってしまう。PurismのウィーバーCEOは、T1がほんとうに米国製であるというのであれば、449ドルという低価格で販売できる理由がわからないという。
T1の発売は当初の9月から年内に変更された。販売が始まると、多くのハッカーが中をあけて、どのような部品構成になっているかを確かめることになるだろう。その時に、T1がどこまで米国製なのか明らかになる。

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