投資銀行UBSが、中国の住宅に対する意識調査の結果を発表した。これによると、住宅所有者の47%が赤字となっており、住宅市況は底打ちをしたものの、消費マインドが上向くまでにはまだ時間がかかりそうだと資本市場那些事児が報じた。
まだ下がると思うから買い控えて、住宅価格がさらに下がる
中国の不況の原因はシンプルで、不動産バブルの崩壊だ。過熱する不動産投資を抑えるために、中国政府はデベロッパーの経営状態を調査し、基準に満たない企業は新たな資金調達ができない「三道紅線」政策を2021年から始めた。これにより、恒大不動産などが運転資金が確保できなくなり、デフォルト危機に陥った。
これまで市民が不動産を買っていたのは、価格があがるからで、投資の意味が強かった。非常に利回りの高い短期定期預金のような感覚だったのだ。しかし、デベロッパーが開発のペースを落とすと、投資目的の購入が激減する。投資目的の人がいなくなると、住宅価格はあがらなくなる。価格があがらないと投資商品としての利回りが落ちるため、さらに投資目的で買う人が減るという悪循環が始まり、住宅価格が下がり始めている。
これを、住むための実需が支えなければならないが、多くの人は「住宅価格はまだまだ下がる」と考えているため、「今は賃貸に住んで、もっと安くなってから買おう」と考え、さらに住宅価格が下がる。
これまで投資目的で買ってしまった人は、売却をすることが難しくなり、売却をしても購入価格よりも安くでしか売れず、莫大な含み損を抱えることになった。
これからマンションを買う人は「節約をして将来の購入に備えよう」と考え、すでにマンションを持っている人は「莫大な含み損に備えて節約しよう」と考える。こうして、消費が急速に収縮していった。
UBSの住宅意識調査
UBSエビデンスラボは、市民の住宅購入に対する意識がどうなっているのか、広範な調査を行い、その結果を「中国住居調査:市場心理は弱いが、地域差も見られる」を公開した。この報告書から4つの重要な観点を得ることができる。
観点1:住宅購入意欲は今後も低下する
現在、住宅購入の意思がない人は48%となり、過去最高となった。さらに、現在賃貸住宅に住んでいる人の73%は賃貸を継続する意向を示し、これも上昇している。つまり、今後も市民は賃貸を好み、住宅購入は控えると見られる。
一線都市(大都市)の住宅購入意欲は安定をしてきたが、地方都市では下落傾向にあるため、地方の住宅価格が下がることが予想される。


観点2:中古住宅の価格は2010年代後半の水準まで戻った
中古住宅の価格は、一線都市では2024年9月に小幅に上昇したが、全体としては下落傾向にあり、2021年水準まで落ち込んでいる。また、二線都市、三四線都市は下落傾向が続き、それぞれ2018年水準、2016年水準にまで下落している。

観点3:42%の人が住宅価格は今後も下がると見ている
住宅価格の今後の動向について尋ねると、42%が今後1年間は下落し続けると答えている。上昇すると答えたのは15%にすぎなかった。
下落すると考えている人のうち、47%は下落幅が10%以内だと考えているが、15%の人は下落幅が20%を超えると考えている。
住宅価格が底を打つ時期は、29%の人が2025年、44%が2026年、28%の人が2027年以降だと考えている。

観点4:47%の人が不動産で赤字になっている
不動産所有者のうち、47%の人が、現在の不動産価格は購入価格よりも下がっていると考えている。つまり、売却をしても赤字が出て、住宅ローンを精算しても借金が残るということだ。
実際の住宅市況は小幅ながらの反発も見られ、底打ちをする兆しも見られ始め、深刻な時期は脱している。しかし、それ以上に、市民のマインドが冷え込んでしまい、これを変えるきっかけがつかめないままでいる。この心理不況を反転させるのは簡単ではなく、時間もかかる。中国の不景気感は最低でも数年の間は続くと見ておいた方がよさそうだ。

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