以下の内容はhttps://tamakino.hatenablog.com/entry/2025/08/03/080000より取得しました。


ロボタクシー事業は2030年に急拡大。ゴールドマンサックスの予測レポートから

まぐまぐ!」でメルマガ「知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード」を発行しています。

明日、vol. 292が発行になります。

登録はこちらから。

https://www.mag2.com/m/0001690218.html

 

今回は、ロボタクシーの事業化についてご紹介します。

 

このメルマガの読者の方には中国在住の方もいらっしゃると思うので、すでにロボタクシーに乗車してみたという方も多いかと思います。ロボタクシーは、私たちの社会が人手による制御から自動制御に移る最初の一歩ですので、一度は体験しておくことを勧めします。

新鮮だったのは「人間は新たなテクノロジーに対する適応能力が非常に高い」ということを再確認したことでした。乗る前はワクワクして、乗って発進してからは他の車が接近してくると心臓がバクバクするほど不安になります。しかし、5分か10分もすると、完全に慣れてしまうのです。次からもロボタクシーに乗りたいかというと、特にロボタクシーを選ぶ理由はなく、有人でも無人でもいいので、早くて安い方という感覚です。あっという間に日常になってしまうのです。

これは普及は早いのではないかと思いました。今では、地下鉄や航空機などで自動運転になっているものは少なくありません。それでも、私たちは(気がついていないということもありますが)日常の移動ツールとして使っています。

 

昨年、DT研究院がロボタクシーに対する意識調査を行っています。その中に、いくつかの言葉からロボタクシーのイメージに最も合うものを複数選んでもらうというものがありました。

▲ロボタクシーのイメージに合う言葉を複数選択してもらった結果。ネガティブな言葉は年齢が高くなるほど高くなるが、その上がり方は想像よりもずっと小さい。

 

「謹慎」(慎重)と「担憂」(憂慮)は否定的な言葉で、年齢があがるほど増えるのは当然です。75后とは50歳前後のことです。しかし、75后がまだ現役世代ということもありますが、高齢になってもそれほど否定的になるわけではないようです。中国だからなのかもしれませんが、中高年でも新しいテクノロジーに対する反発はさほど大きくはありません。

同じ調査で、タクシーで嫌な思いをする体験では、1位が「車内が臭い」(タバコや食品などの臭い)66.1%、2位が「運転手の違反行為」(ながら電話、駐停車違反など)48.5%、3位が「運転手の言動」(接客態度や汚い言葉使いなど)37.3%と、上位3位までが人間の運転手に関連するものでした。ひょっとしたら、多くの人が「人間がいないロボタクシーの方がいい」と考えているのかもしれません。

 

ロボタクシーについては、昨年5月から、百度バイドゥ)傘下の「蘿卜快跑」(ルオボ)が、湖北省武漢市に数百台を投入して正式営業をしたことが大きな話題になりました。蘿卜とは大根のことですが、音の「ルオボ」が「ロボ」に似ていることからのネーミングです。

当初は、乗車料無料+洗濯石鹸プレゼントというキャンペーンを行ったため、予約が取れないほどの人気となりました。

ところが、武漢市政府が運営する市民伝言板https://liuyan.cjn.cn/)に、340件以上ものロボタクシーに対する苦情が書き込まれました。「開発区全力南片区では、毎朝のラッシュ時、ロボタクシーが異常な交通渋滞を引き起こしています。道路の真ん中に意味なく停車をするからです。普通なら5分で行けるはずのところが20分以上かかります。朝のラッシュ時はロボタクシーの運行を禁止すべきだと思います」などというものです。

なぜ、ロボタクシーは「道路の真ん中に意味なく停車」するのでしょうか。多くの場合、Uターン待ちです。中国の道路は大きな通りが多いため、多くの場所でUターンが認められています。交差点ではUターン専用レーンがあることもあります。通りの反対側に行きたい、反対側の路地に入りたいという場合、行き過ごしてUターンしてくるということを誰もが行います。

ところが、ロボタクシーの運転戦略は保守的で、原則として相手側を優先させます。そのため、Uターンをしようとすると、対向車が途切れるのをじっくり待つために、後ろの車にとっては迷惑になってしまうことがあるのです。

人間は、多少無理なタイミングであっても、鼻先を少し入れるということをやります。これが「譲ってほしい」合図になり、譲ってくれる車が一定数いるために、迅速にUターンができますが、ロボタクシーはこういう動作ができません。対向車が途切れるのを辛抱強く待ってしまうのです。

問題は起こりましたが、逆に言えばこの程度の問題しか起きていません。思っていたほどの拒否反応はなく、世の中の大きな拒否反応を引き出すような大事故も起きていません。

 

ロボタクシーは、蘿卜快跑(https://www.robotgo.com/)、小馬智行(Pony.ai、https://pony.ai/)、文遠知行(WeRide、https://www.weride.ai/)の3社が主要なプレイヤーです。

このうちのPony.aiが昨年11月にナスダック市場に上場をしました。株価はまずまず安定した推移をしています。

▲Pony.aiの株価の推移。まずまず安定した推移をしている。

 

Pony.aiが上場し、有価証券報告書を公開したことにより、ロボタクシーの経営状態が少しずつですがわかるようになってきました。ロボタクシーが技術的に可能であることは確実になっていますが、まだわからないのが、事業として成り立つかどうかなのです。

Pony.aiの業績公開により、この事業可能性についてもある程度のことがわかるようになってきました。また、ゴールドマン・サックス・リサーチが「Robotaxi: China’s Robotaxi Market」というレポートを公開しています。非常に詳細な予測を行い、2035年までにロボタクシー市場が成立するかどうかを検証しています。今回はこのようなデータを使い、ロボタクシー市場がビジネスとして成立するかどうかについてご紹介したいと思います。

 

その前に、ロボタクシーの前提知識として、3つのことを確認しておきたいと思います。

ひとつは、ロボタクシーはどの国でも必須の公共交通であり、ここをやっておかない社会は、運転手不足で移動の自由が損なわれることになりかねないということです。次のグラフは、現在のライドシェアとタクシーの運転手の年齢構成です。

▲現在のタクシーとライドシェアの運転手の年齢構成。56以上は2025年、46歳以上は2035年に引退をする。中国のタクシーは2035年に深刻な運転手不足に直面することになる。

 

56歳から65歳の運転手は2025年には退職することになります。ただし、割合が多くないために、若い層が流入することで補えるかもしれません。しかし、次の46歳から55歳は2035年に引退することになり、ボリュームが大きいために、若い層の新規流入では補えそうにはありません。中国のタクシー業界は2035年危機が潜在していることになります。

つまり、2035年までにロボタクシーをじゅうぶんに普及させることができるか、ここが大きな課題となります。

 

もうひとつは「無人運転だから人件費が不要になって儲かる」という考え方はあまり正しくないということです。確かに運転手の人件費は不要になりますが、その分、車両価格は高くなり、さらに運営コストがかかります。無人運転の場合は、センターで人が監視をすることが必要になります。

ロボタクシーは自分で判断がつかない状態になると、まずは安全停止をして、センターにアラートをあげる設計になっています。そこで、センターの担当者がリモートで状況を判断し、リモート運転で自動運転に復帰させるということをします。現在は、法令により、1人の担当者が最大3台までしか受け持つことができません。百度によると、技術的に1人が20台ほどを受け持っても安全を確保できるとしていますが、そこに行くには、まだまださまざまな段階を経なければなりません。

 

ロボタクシーは、人件費が不要だから利益が出るというよりも、機会損失が少ないために利益が出るのです。例えば、天候や事故などで空港から市内までのリムジンバスや地下鉄が不通となった時、タクシーは何台あっても足りないぐらいになります。しかし、人間の運転手を急に招集するということはできません。一方、ロボタクシーであれば、休ませていた車両を急遽出車させるということができますし、近隣都市のロボタクシーを応援に向かわせるということができます。

ギグワークをベースにするライドシェアも、このような突発事態に対する対応は簡単ではありません。なぜなら、そのままでは「空港で乗客が困っているから車を出そうか」と考える運転手はほとんどいないからです。運転手の取り分にインセンティブをプラスして「いつもより儲かるから車を出そう」という促進策をとらなければなりません。つまり、プラットフォームとしては、いつもより1台あたりの利益は少なくなってしまうのです。

しかし、ロボタクシーはこのような時でもコストをあげることなく対応することができます。車を出せば出すほど売上が立ち、利益率は同じですから、利益も大きく増える稼ぎ時になります。

 

3つ目は、ロボタクシーは疲労をしないということです。バッテリーの充電時間は必要ですが、それ以外の時間はずっと走り続けることができます。現状でも1日最大22時間稼働できます。人間のように、10時間を超える業務になると眠くなるということもありません。また、1日の乗務時間に法令による制限がかかることもありません。

タクシーの運転手が長時間労働になりがちなのは、掻き入れ時となるピークの時間が分散しているからです。朝方通勤客のピークがあり、昼頃も小さなピークがあり、夕方、そして夜から深夜にかけてピークがあります。その間のオフピーク時間は、いったん家に帰って体を休めた方がいいのですが、そうはせず、車の中で体を休めるということになります。これが疲労を蓄積させます。ロボタクシーの場合は、乗客が少なければ基地に入り、充電をしたり点検に回したりすればいいだけで、ピーク時に合わせて車を稼働させることができます。

つまり、運営コストの面では、有人タクシーと比べて圧倒的に有利というわけではありませんが、機会損失をすることが少ないことにより、有人タクシーよりも利益が出る可能性があるということです。

これを実現するには、予測機能を持ったタクシー配車システムの開発が必須になります。ロボタクシーは優秀な車両だけ開発すればいいというものではなく、それを事業として成り立たせるための優秀な管理システムが必要になります。ここが大きなポイントです。

今回は、ロボタクシーの事業化がどこまで進んでいるかについて、ゴールドマンサックスリサーチのレポートを引用しながらご紹介します。

 

続きはメルマガでお読みいただけます。

毎週月曜日発行で、月額は税込み550円となりますが、最初の月は無料です。月の途中で購読登録をしても、その月のメルマガすべてが届きます。無料期間だけでもお試しください。

 

先月、発行したのは、以下のメルマガです。

vol.288:MUJIの模倣から始まったメイソウは、なぜ、ちいかわをヒットさせることができたのか

vol.289:400組が行列するスシロー、11億円の損失で撤退するくら寿司。違いを分けたものはなんだったのか

vol.290:「まいばすけっと」とフーマNB。フーマが見出した活路=コミュニティースーパーとは

vol.291:ルンバのジレンマと中国メーカーの葛藤。イノベーターのジレンマに陥ったiRobot

 

バックナンバーポッドキャスト放送中!

open.spotify.com

  • Bioré

 




以上の内容はhttps://tamakino.hatenablog.com/entry/2025/08/03/080000より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14