中国では人型ロボットに注目が集まり、大量のロボットレンタル業が登場した。しかし、一時の需要は落ち込み、どの業者も儲からなくなり、撤退をし始めている。人型ロボットの社会実装は早すぎたかもしれないと中国経営報が報じた。
春節の番組で火がついた人型ロボット
今年2025年の春節に中央電子台(CCTV)が放映した春晚会、通称「春晚」で、宇樹科技(Unitree、https://www.unitree.com/)の人型ロボットH1がダンスを披露して以来、中国ではロボットの話題が盛り上がっている。中国東北地方の特徴的な衣装を着て、民族舞踏「秧歌」(ヤンブリ)を踊るというもので、映画監督の張芸謀(チャン・イーモウ)が演出をするという力の入れようだった。
この話題性により、大量のロボットレンタル業者が誕生した。Unitreeなどからロボットを購入して、1日単位でロボットをレンタルするというビジネスだ。しかし、思ったように需要がない。雨後の筍のように誕生したレンタル業者は、今は波が引くように消えていっているようだ。

マラソン大会で潮目が変わった
あるレンタル業者は400万元(約8000万円)を投入して、人型ロボットと犬型ロボットを20体購入し、1日7000元(約14万円)から貸出をしている。大人気であれば28.5日で投資資金が回収できる皮算用だった。
当初はぽつぽつと需要があった。イベントや結婚式、企業のキャンペーンなどでの需要があった。
潮目が変わったのが、4月19日に北京市亦庄経済技術開発区で開催されたロボットのハーフマラソン大会だった。20体のロボットが出場し、UnitreeのG1も出場をした。ところが転倒をしたり、斜めに走ったりして、ポンコツぶりの方が大きく報道された。それ以来、ネットでもUnitreeのロボットが転倒をしたり、動かなくなったりするネガティブな映像が集中的に投稿されるようになった。
これはUnitreeが出場したのではなく、G1を購入した企業が独自のソフトウェアを開発して出場したもので、Unitreeとは本質的には関係がなかったと、Unitreeも正しい情報を伝えようとしたが、すっかりポンコツロボットとしてのイメージが定着をしてしまった。

過剰生産により新鮮さも失われる
また、春晩でロボットに注目が集まり、各ロボットメーカーがここが勝負だと考え、大量生産を始め、過剰供給にもなっている。2025年Q1は産業用ロボットは14.9万台が生産されたが、サービスロボットは260.4万台も生産されてしまった。これにより、どこのイベントでもロボットが見られるようになり、消費者の新鮮さは急速に失われていった。
また、サービスロボットは、多くが負荷能力は5kg程度で、航続時間は1.5時間ほどで、ただ立って愛想を振り撒くことぐらいしかできず、1時間ほど働くと2時間ほどの充電休憩が必要になる。

早すぎた社会実装
このような仕様はいずれ改善をされていくものの、AIの対応への遅れは専門家からも問題視されている。カメラはついているものの、目の前の物体が何であるか認識できる能力を備えているサービスロボットはほとんどない。多くは、音声を聞き取り、背後で大規模言語モデルによるテキスト生成AIに回答をつくらせて、それを音声で返すということまでしかできない。
もちろん、現状のサービスロボットが期待外れだからと言って、人型ロボットというジャンルが暗礁に乗り上げるというわけではない。むしろ、早すぎたとは言え注目を浴びたのはチャンスだとも言える。しかし、注目を浴びたゆえに、今後の開発スピードは加速をさせていかなければならない。サービスロボットが家庭や社会の中に浸透をするか、それともただの流行で終わってしまうのか、重要な時期を迎えた。

バックナンバーポッドキャスト放送中!