学生や生徒がAIに課題や宿題を代行させてしまうことが問題になっているが、その一方で、教育現場ではAI採点システムの導入が進んでいる。この「生徒はAIに宿題をやらせ、先生は採点をAIにやらせる」状況が議論を呼んでいると羊城派が報じた。
生成AIにやらせた課題を0点にした大学教授
小中学校の生徒が、宿題をAIにやらせることが問題になっている。数学の問題などはスマートフォンで写真を撮り、AIに解法を生成してもらい、それを丸写しする。作文の課題はAIに代筆してもらう。意見や考えを述べる課題もAIに考えてもらう。
AIに宿題を肩代わりしてもらう行為は大学生にも及んでいる。南京大学文学院の苗懐明教授は、文学「紅楼夢」の講義の中で、「紅楼夢が現代社会に与えるインスピレーション」というテーマで小論文を書く課題を出した。
その中のある小論文が、妙にまとまりがいいことを不審に感じ、苗懐明教授は、ふと思いついて、自分が出した課題を生成AI「DeepSeek」に入れてみた。すると、提出されたレポートとほぼ同じ文章が生成されてきたのだ。苗懐明教授は、このレポートに0点を与えた。この学生は、この紅楼夢の講義の単位を取得することは絶望的になった。
教育とAIの問題がSNSの関心事に
この事件は、ネットでも大きな議論になった。教授の対応を賞賛する人もいれば、学生が少しかわいそうなので挽回するチャンスを与えて欲しいという人もいれば、AIにヒントをもらいながらレポートを仕上げるのはOKなのか否かを議論する人もいる。
この議論は、小中学校にまで波及をし、複数の人が、小中学校の生徒たちが、宿題を生成AIにやらせていることをSNSで訴えた。
しかし、その一方で、教師たちも宿題の採点を生成AIにやらせているという話が出て、生徒には自分で宿題をやらせるのに、先生はAI任せでいいのかという議論が起きている。

導入され始めたAI採点
事実、宿題のAIによる自動採点は広く導入されている。浙江省杭州市浜江区では、すべての中学校に自動採点AIを導入した。採点の精度は98%以上で、人間とほぼ同等。1クラス分の採点業務にかかる時間は、それまでの2時間から5分に短縮された。
杭州二中付属第一学校の劉倚帆教諭は、羊城派の取材に応え、以前は週末の宿題を月曜日に受け取り、採点後の返却は火曜日になっていたが、AI採点導入後は月曜日中にコメントをつけて返却できるようになった。また、教師がやるべき採点業務とは◯×の判定ではなく、それぞれの生徒がどこに弱点を持っているかを把握することだ。現在のAI採点システムは、単に◯×を判定するだけでなく、生徒ごとに記録をつくり、どこに課題があるかを分析してくれる。この分析ができることが重要なのだと語った。

AI採点は賛否両論
教師のAI採点を支持する人たちは、教師の膨大な作業負担が減少し、その分を教育の質を高めることに使うことができるようになり、生徒の学習習熟度の分析も、教師の記憶やメモに頼るよりも、AIの分析の方が客観的で正確であり、生徒の利益になると主張する。
反対をする人たちは、感情面から意見を述べている。教師がAIを使って宿題の採点をしているのであれば、生徒たちに向かって、宿題をAIでやってはいけないと強く言えるのだろうかと指摘をする。学校で禁止をすることはできるし、親に管理をしてもらうことはできる。しかし、親も24時間監視をするわけにはいかないし、学習の際、タブレットやスマホを利用するのは常識になっている。
結局、子どもたちはいくら禁じられても、宿題をAIにやらせてしまうのではないかというものだ。そうなると、AIが解いた宿題をAIが採点するということになり、いったい宿題は何のためにあるのかがわからなくなる。

AIにはできない宿題とは
「宿題の内容を進化させなければならない」と主張する人もいる。AIにできる課題はAIにやらせて、学校は子どもたちに「AIにはできない課題」を出すべきだという主張だ。一見、素晴らしい主張だが、では「AIにはできない課題」とは具体的に何なのかと問われると、漢字の書き取りぐらいしか誰も思いつけない。高度な知的作業はAIがこなし、人間は単純な機械的作業をすることになる。
教育とAIの関係の議論は終わることがなく続いている。
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