広州市には下町工場地帯が広がり、中国の製造業を支えている。縫製村では、職人が社長を面接するという習慣が伝統になっている。社長は経営に失敗をすると夜逃げをするが、職人は腕さえあれば夜逃げをしない。そのため、職人の方が立場が強く、職人天国と呼ばれていると鳳凰衛星テレビが報じた。
下町工場は職人天国
広東省広州市康鷺片区は、縫製村とも呼ばれる。康楽村と鷺江村という2つの城中村(都市の中に取り残された村)があり、そこには家族経営に近い零細縫製工場がひしめいている。
いまだにミシンを使って手作業で衣類をつくっていることから、遅れた下町工場地帯とみなされがちだが、実は「職人天国」とも呼ばれている。その理由は2つある。
ひとつは、腕があれば稼げること。鳳凰衛星テレビが密着取材をした陳啓忠さんは、1日で2033元(約4万円)を稼いだことがある。しかも、ここは日払いであるので、職人としての腕があれば食うには困らない。節約をしてお金を貯めれば、数年で、小さな工場を居抜きで買って、自分が経営者になることもできる。

職人が社長を面接する縫製村
仕事を見つけるには、朝から求人広場に行って仕事を探す。しかし、縫製村がよその場所と大きく違うのは、職人が社長を審査するのだ。
工場の社長は、その日につくりたい衣類のサンプルを持って立っている。職人はその間を歩き回り、自分の技術でつくれそうな服を探し、社長に声をかける。そこで、賃金交渉をして仕事が決まる。
賃金は1日いくらではない。1着いくらでその日に何着が必要かで決まってくる。例えば、1着0.8元で400件なら日給は320元となる。400件を半日で仕上げられる職人であれば早く仕事が終わるし、手が遅くて終わらなければ徹夜をしてでも仕上げることになる。さらに、食事が無料で提供されるかなど待遇面の交渉をして、その日に働く工場を決めていく。
陳啓忠さんは毎朝、10数人の社長を面接して、最も稼げる仕事をじっくりと選ぶ。この求人広場では、職人が工場を選ぶのだ。




夜逃げをするのは社長の方
なぜ、社長が職人を選ぶのではなく、職人が社長を選ぶのか。工場はどこも零細で、大きな仕事を受ければ家が立つほど儲かるが、失敗をすると夜逃げをしなければならなくなる。そのため、月給制だと職人は給料を取りはぐれてしまうことが起きる。
そのようなことを繰り返す中で、日給日払い制になり、職人が社長を選ぶようになっていった。ここでのヒエラルキーは、職人の技術が頂点にあるのだ。



下町工場に支えられる中国のものづくり
広州市周辺にはこのような製造村が点在をしている。佛山市順徳では小型家電、中山市では照明器具、深圳市大芬では複製画油絵。いずれも職人の技術がヒエラルキーの頂点にいて、腕に覚えのある職人が、全国からやってきて、あちこちの工場で働いている。出来上がった製品は海外に輸出をされる。中国のものづくりを支えている。
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