アリババの原点の地「湖畔花園」が、アリババ本社内のビジターセンターに精密復元された。外来者だけでなく、従業員も参観をし、毎日長い行列ができている。アリババが原点回帰することを形に表したものだと潮新聞が報じた。
復元されたアリババ発祥の地
アリババの本社がある浙江省広州市余杭区文一西路960号には、外来者のためのビジターセンターがある。そのホールに、小さく古いアパートが復元された。
このアパートは、文一西路176号の湖畔花園16棟1の202号室、アリババの創業の地だ。元々は馬雲(マー・ユイン、ジャック・マー)の自宅であり、ここではさまざまなドラマが生まれている。
創業メンバーの通称「アリババ十八羅漢」が集まり、決起集会が行われた。現会長の蔡崇信(ツァイ・チョンシン、ジョセフ・ツァイ)が、投資会社「インベスターAB」のアジア責任者を勤めていた1999年、ある経営者と会うついでに湖畔花園を訪れ、起業したばかりのアリババの熱気に触れ、年棒9000万円を捨て、月給500元でアリババに飛び込んだ。
2003年、SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)が流行して外出自粛が始まると、ジャック・マーは秘密プロジェクト「淘宝網」(タオバオ)の開発を始めた。3人のエンジニアがこの湖畔花園に閉じこもり、わずか1ヶ月でタオバオの初期バージョンを完成させた。
そのアリババ創業の地、湖畔花園が細部にわたるまで再現されている。



アリババ記念日はSARS感染者が出た日
この湖畔花園は、アリババの記念日「アリの日」5月10日に合わせて公開をされた。
この5月10日というのは、2003年のSARSの時、アリババ従業員に感染者が出て、約500人の従業員が全員テレワークを始めた日だ。当時は、インターネット回線も貧弱で、電話を主体にしたテレワークを強いられ、混乱をした。しかし、そこからアリババはECを生み出し、社内システムの重要さを認識し、デジタル回線で人と人を繋ぐことの重要さに気がつき、アリババのミッションが確固たるものとなった。SARSによる困難がアリババの成長の起点であり、この湖畔花園がその起点になっているのだ。
現在は、外部の訪問者とアリババ従業員が行列をして見学をするようになっている。すでに2万4000人が参観をしたという。


アリババの遺伝子には創造だけしかない
アリババの現在は、業績は安定をしているものの、勢いのある成長は影を潜め、すっかり規模もマインドも大企業になってしまっている。このことにジョセフ・ツァイ、現CEOの呉泳銘だけでなく、創業者のジャック・マーまで危機感を抱いているようだ。すでに引退をしたジャック・マーは、今年2025年になって頻繁にアリババに顔を出すようになっている。自分の姿を見せることで、起業の頃の精神を思い出す助けになればと考えているのかもしれない。
呉泳銘CEOは、社内メールで「アリババの遺伝子には守るという考え方はない、あるのは創造だけだ」と書いた。「スタートアップ企業と同じように考えなければならない。創造の中にだけ機会がある。さもなければ、私たちが直面するのはリスクだけだ」。
この再現された湖畔花園が、ただの懐古趣味になってしまうのか、次のアリババの起点になるのか、今のアリババが試されている。

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