お掃除ロボット各社が苦境に立たされている。ルンバで有名なiRobot社は経営難となり、それを追撃していた中国各社も利益が出せずに苦しむようになっている。必須ではない家電の宿命的な限界が訪れようとしていると定焦Oneが報じた。
中国勢に追い上げられるルンバ
お掃除ロボットは、米国のMITのロボット工学者たちが起業したiRobot社がイノベーターだ。その製品「ルンバ」は、お掃除ロボットの代名詞ともなった。しかし、2010年頃からEcovacsなどの中国メーカーが追従をし、当初は安さで市場を取ったが、次第に性能でもiRobotに迫るようになっていった。
調査会社IDCのQuarterly Smart Home Device Trackerの24Q4のシェアのトップは、Roborockであり、iRobotは2位となっている。上位5社のうち、iRobot以外はすべて中国企業になっている。
中国市場でもほぼ同様の状況だが、違いはiRobotは影も見当たらず、すべて中国企業で占められているということだ。


売上は伸びても利益が縮小するパラドクス
東方証券研究所の予測では、今後も保有台数、世帯普及率とも順調に伸びていくことになっているが、そううまくはいかないかもしれない。確かに、Roborockを中心に、各社の販売数と単価は順調に伸び続けている。しかし、利益が縮小をするというパラドクスに悩まされるようになっているからだ。
Roborockの2024年の業績発表では、売上高は119.27億元となり、前年比37.82%増と好調だった。しかし、純利益は16.25億元で11%減。各社ともこのような増収減益状態に陥っている。
年報を見ると、販売費用、管理費用、研究開発費の伸び率が、売上高の伸び率を上回っている。
Ecovacsも同様に純利益の額が24Q3には604万元にまで落ち込み、赤字転落ぎりぎりで踏みとどまっている状態だ。業界全体が「販売単価があがり、販売数も増えているのに、ますます稼げなくなっていく」というパラドクスに陥っている。

必須ではない家電の宿命的限界
根本的な問題は、お掃除ロボットが他の白物家電とは異なり、必須の家電ではないということだ。なくても困らない。しかし、あると便利だし、生活に潤いがもたらされる。このような家電は、シンプルな低価格製品よりも、高価格であっても心に刺さる機能があった方がよく売れる。
お掃除ロボットが進化の途上にあり、どんどん機能が進化をしていた最中は、マニアとも呼べる人が続出し、よく売れた。AIを搭載し、部屋の隅やテーブルの足周りもきれいに掃除ができるようになると、買い換える人も多かった。しかし、現在はその機能競争も成熟し、これ以上、本質的な機能進化をする余地がなくなっている。
世帯普及率は順調に伸びているが、これは保有台数を単純に世帯数で割った指標であり、複数保有をしている家庭の割合はよくわからないところがある。つまり、好きな人は目新しい製品が登場すると高くても買い、買い替えをしたり、複数台保有をしているが、興味のない人は買わないという、実質的な普及率が頭打ちになっている可能性があるのだ。

必須家電にシフトするお掃除ロボット企業
このような状況を受けて、お掃除ロボット各社は、根強い需要がある白物家電を手がけるようになっている。Roborockはハンディワイヤレス掃除機、洗濯機など、Ecovasは空気清浄機、窓拭きロボット、草刈りロボット、Dreameはエアコン、冷蔵庫、洗濯機になどに進出をしている。
しかし、このような領域は、すでに大手家電メーカーが市場を占めていて、そこで成功できるかはまったくの未知数だ。
iRobotの苦境が報じられる中、多くの報道が「中国企業にシェアを侵食されて…」というフレーズを使うが、中国企業は中国企業で非常に苦しい状況に立たされている。iRobotが生み出した「お掃除ロボット」というジャンル全体が、生き残りをかけて、新しい活路を見出さなければならなくなっている。
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