住宅環境が改善されてきた中国では小家電が売れてきたが、不動産バブル崩壊で伸びが頭打ちとなった。各社は東南アジアの輸出に活路を見出そうとしているが、今度は各国が独自の関税をかけて国内産業を守ろうとしている。各社はAI家電にかけているが、先行きは不透明なままだと定焦Oneが報じた。
生活の豊かさの指標になる小家電
小家電と呼ばれる家電ジャンルは、生活の豊かさを表す指標になる。その国で経済成長が始まり、分譲にしろ賃貸にしろ、人々が独立した家を構えられるようになると、まずは冷蔵庫、洗濯機、テレビといった生活に必要な家電が売れる。
その後、住宅の質があがると、今度はジューサー、エアーフライヤーといったキッチン家電やロボット掃除機、ヘアードライヤーといった衛生家電が売れるようになる。小家電の売れ行きは、経済成長の中では、住宅面積の広がりにほぼ比例をして売れるようになる。
ブレーキがかかった小家電の販売額
中国でも住宅が売れてきたこの10年、小家電の販売が好調だった。しかし、不動産バブルの崩壊により、小家電の売れ行きにブレーキがかかるようになっている。2023年のキッチン家電の販売額は549.3億元で前年比9.6%減、2024年は減少幅が縮小したものの0.8%減だった。

小家電の六小龍
中国の小家電企業は6社が主なプレイヤーだ。SUPOR(https://www.supor.com/foreigntrade.html)と九陽(https://www.joyoung.com/)が大手で、ネット販売を中心とした小熊電器(https://www.bears.com.cn/)とDEERMA(https://www.deerma.com/en)、また自社ブランドではなくOEM提供を中心にする新宝(http://en.donlim.com/)、小米(シャオミ)ブランドでの販売を中心にするBUYDEEM(https://cn.buydeem.com/)の6社だ。
2020年から2021年までは、コロナ禍があり、小型家電の販売台数は大きく伸びた。しかし、2022年が転換となり、ネット販売を中心とする小熊電器以外はすべて前年割れとなった。
2023年になると、ライブコマースによる販売が広がり、多くのブランドが業績を回復した。しかし、九陽とDEERMAはこの波にうまく乗り切れていない。

海外進出を模索する小家電
小家電の販売規模は住宅面積と比例をするため、小家電各社の努力だけでは販売数を伸ばすことは簡単ではない。
そこで、多くの小家電が海外進出の道を探っている。これから住宅事情が改善される東南アジアへ輸出することで販売数を伸ばすことができるのだ。中国機械電気製品輸出入紹介のデータによると、2024年のキッチン家電の輸出額は199億ドルで9.1%増、輸出台数は10.4億台で18.6%増と好調だ。
実際、海外売上比率が高いSUPORと新宝は業績を維持しており、急速に海外売上比率を伸ばしたBUYDEEMも2024年の業績が好転をしている。逆に、海外売上比率が低い九陽と小熊電器は業績が低迷をしている。

東南アジア各国は関税で防衛
しかし、懸念されるのはデカップリング=保護貿易主義だ。米国が輸入品に高い関税をかける前から、各国が輸入ではなく、自国に生産拠点の投資をしてもらうために、独自の関税をかけ始めている。小家電は必需品ではなく、生活の豊かさを感じる製品が多いために、消費者は価格にも敏感で、関税の影響を直接受けやすい。
そこで、各社が新しい道として模索しているのがAI家電だ。今年2025年3月に、上海で開催された家電の見本市AWE2025では、各社がAI家電の展示を行った。カメラを備えて、衣類の生地を分析し、温度やスチームを自動調節するアイロン、時間帯と消費者の好みを学習して最適の粉砕時間と温度に調整する豆乳マシンなどだ。また、大規模言語モデルを家電に搭載して、音声でやりとりができるコンシェルジュ機能を持たせようという動きもある。
しかし、このようなAI機能は、本体価格の上昇につながるため、どのような消費者に向けてどのように販売をしていくのかの工夫が必要になる。
不動産バブル崩壊と保護貿易主義の広がりにより、小家電業界は脱出口を見つけなければならない状況になっている。
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