不動産バブル崩壊で、大都市の消費は低迷をし続けているが、地方の消費は好調だ。この状況を受けて、ローソンとコッティが積極的に地方都市への進出を始め、店舗数の拡大を始めている。ねらっているのは、個人店舗の転換だと零售商業評論が報じた。
コンビニは大都市から地方都市へ
中国のコンビニ業界に新たなトレンドが起きている。それは「地方都市へ」というものだ。
中国の現在の不景気は、不動産バブル崩壊によるものだ。以前は購入したマンションが数年後には高く売れるため、経済的に余裕のある人はマンションを買えるだけ買い込み、転売をして大きな利益をあげていた。この利益で、自動車を買い、海外旅行に行き、ブランド品を買っていた。
しかし、不動産の供給が過剰になり、政府もデベロッパーの放漫経営を一気に糺し、マンション価格が下がり始めた。不動産を買い込んでいる人は、多額のローンを背負い、売却をしても赤字になるという状況になっている。これにより、消費マインドがかつてないほど萎縮している。

地方転換の好機と見たローソンとコッティ
一方、地方都市はこの不動産バブルの被害を受けていない。購買力の小さい地方都市住民にとっては、自分が住むためのマンションを買うのがやっとで、投資用のマンションなど買う余裕はなかったからだ。
一方、可処分所得は毎年5%ずつ成長をしている。これにより、購買力は小さくても景気は順調で、消費も伸びている。これにより、多くの小売業が、消費の停滞する大都市ではなく、消費が伸びている地方都市に進出するようになっている。
コンビニも例外ではなく、地方都市への展開に勢いが出ている。その地方戦略を積極的に進めているのが、ローソンとコッティだ。

個人商店の転換をねらうローソン
ローソンは、店舗面積の基準を20平米までに下げ、地方の加盟店を積極的に開拓をしている。一般的なコンビニは160平米から200平米ほどで、かなり小さい。これは、いわゆるパパママショップ=個人経営の店舗の面積だ。ローソンは、地方にある個人店舗をコンビニに改装し、「ローソン小站」(ミニステーション)として店舗を拡大しようとしている。
ロイヤリティー(加盟費用)は1万元、改装費が1万元、保証金が2万元の合計4万元(約80万円)からスタートすることができ、解約をした時に保証金は戻ってくる。また、2025年内に解約をする場合はロイヤリティーも返金される。つまり、実質1万元の負担でローソンになることができる。非常にハードルは低い。
これでローソンの商品を販売することができる。ミニステーション用には2500SKU(商品品目)が用意され、店主は、この中から店舗の都合に合わせて、商品を選択することができるようになっている。
ローソンの弁当、お惣菜、スイーツは、中国でも人気が高く、特に若い世代に受けていることから、このミニテーションはすでに200店を突破している。

コーヒー+コンビニで展開をするコッティ
もうひとつのコッティは、元々はカフェスタンド「庫迪珈琲」(COTTI)だ。ラッキンコーヒーとスターバックスを追いかけ、9.9元コーヒーという低価格戦略で、店舗数ではすでにスターバックスを抜いた。
しかし、コーヒーだけでは成長に限界があるため、カフェスタンドにミニコンビニを併設したスタイルの展開を始めている。こちらは保証金が5万元必要だが、ロイヤリティーはなし。解約をしたら保証金は戻ってくるのだから、店舗改装費だけで始めることができる。店舗改装費も分割で支払う方法が用意されている。さらに、コーヒースタンドになるため、若者を引きつけやすい。

特に注目されるタバコ販売免許保有店
このような個人商店は、全国に680万店舗あり、その多くがタバコの販売免許を持っている。コンビニ業界が注目をするのはこのタバコ販売免許だ。現在では、タバコ販売免許を新たに取得するのは非常に難しく、大都市のコンビニではタバコを扱っていない店舗が多い。
しかし、タバコを売っていると、タバコそのものの売上は小さくても、客数が多くなり、ついで買いを期待することができる。地方では、このタバコ免許+コンビニという組み合わせをねらっている。
地域適応の管理が成功の鍵になる
ただし、地方の個人商店のコンビニ化には課題も多い。それは地域に根ざしているため、地域特性が非常に強いということだ。その地域ならではの食品、商品というものが多く、それは大手コンビニのサプライチェーンではカバーしきれない。
全国で3万9000店舗を展開し、店舗数No.1のコンビニ「美宜家」(メイイージャー)は、地方都市を中心に展開をし、個人商店をコンビニ化することで拡大をしてきた。ローソンやコッティが今やろうとしていることを、すでに以前から戦略として定め、成功してきたチェーンだ。
美宜家では、本部が提供する商品の他に、店主の独自仕入れを認めている。そのため、地域にあった品揃えをすることができている。
ローソンやコッティの課題はここで、本部が提供する商品以外の仕入れをどのようにコントロールするかだ。厳しくすれば、地域への適応を失ってしまいビジネスが成り立たなくなる。しかし、緩くすれば、ブランドの希薄化が起きるだけでなく、場合によっては品質や賞味期限などの問題のある商品を販売してしまうという事故も起きる。
両社の地方展開戦略が成功するかどうかは、この独自仕入れ商品のコントロールをどうするかにかかっている。
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