故宮の建築物の屋根には雑草が生えない。それには科学的な理由があった。近年の調査研究により、故宮の失われたテクノロジーが明らかになりつつあると科技日報が報じた。
故宮の屋根には雑草が生えない理由
北京に行ったら、誰もが必ず一度は行く故宮博物院。1406年、明朝の永楽帝が建設をした壮大な宮殿「紫禁城」だ。それ以来、500年の間、宮殿として使われ、築600年になりながら保存状態はよく、世界最大の保存状態のよい木造建築群としてユネスコ世界遺産にも登録されている。
600年もの間良好な状態を保つことができたのは、丁寧な管理がされ続けきたこともあるが、近年の研究で、そもそも設計にさまざまなテクノロジーが使われていることがわかってきた。
故宮の屋根には鳥が寄ってこず、糞を落とさない。そのため、屋根に雑草が生えることがない。さらに、近代以前の大規模木造建築の火災原因で多いのが落雷だが、故宮の屋根には落雷もない。清朝までは、これらすべては「皇帝の威光」で片付けられてきたが、現代の研究者たちは科学的な理由があることを明らかにした。

屋根に鳥がやってこない3つの工夫
鳥の糞が屋根にたまらない理由は3つある。
1:傾斜角度
一般的な民家の屋根は、雨水を流し、同時に風による影響を受けないに20度から30度に設計してある。しかし、故宮の屋根は60度から70度と傾斜が急になっている。
一般に、傾斜角が55度を超えると鳥類は足元が安定しなくなり、そこにとどまることはなくなる。これにより、鳥がとどまったり、巣をつくることがなくなる。
2:瓦の反射率
故宮の屋根には瑠璃瓦が使われている。これは特殊な釉薬を使い、金色にしたものだ。この釉薬は二酸化ケイ素と金属酸化物が含まれており、日光をよく反射する。その反射率は85%にもなり、現代のガラスが60%程度なので、鳥にとっては警戒をするほど輝くことになる。
これにより、鳥の目から見下ろした時、故宮は全体が輝くことになり、鳥は近寄らなくなる。
3:バードソニック
故宮には各所に銅鑼が置いてあり、宦官は定期的に鳴らす役割があった。この音で鳥は驚いて逃げる。定期的に鳴らすために、鳥は故宮が危険な区域だと学習をし、近寄らなくなる。
これは、現代の空港で使われているバードソニックと同じだ。バードソニックも定期的に高周波音を流すことで、鳥を追い払うだけでなく、そこは不快な音がなる危険な区域だと学習させることをねらっている。
強アルカリ性の充填材で雑草を生やさない
一般的な屋根瓦には、空中を飛んできた土が堆積をし、そこに雑草が生え始める。すると虫が発生し、そこに鳥がやってくるという小さな生態系が生まれる。しかし、故宮の屋根には雑草が生えない。
瓦と瓦の間には、モルタル状の充填材が詰め込まれ、瓦を安定させている。この充填材は、もち米の研ぎ汁、羊桃藤の汁、石灰でできている。この充填材の硬度はセメントに匹敵をし、強アルカリ性を示す。最近の研究によると、この充填材環境では、99%の種子が3日以内に生命反応を失うという。生き延びることができるのは、コケ類だけだそうだ。
うだつについている龍は古代の避雷針
屋根のうだつの部分についている吻獣(龍)はただの飾りではない。鉄でできていて、その龍のヒゲは地下にまで伸ばされている。つまり、避雷針なのだ。ベンジャミン・フランクリンは、1752年に避雷針を発明して、多くの建物を落雷火災から守ったが、故宮ではこの吻獣による避雷針を1420年から使っている。「神獣が雷を飲み込んでくれる」という記述が当時からあるため、原理はともかく、避雷針としての効用は理解をしていたと思われる。

ロストテクノロジーにした故宮の厳しい掟
このような故宮に使われているロストテクノジーが、文字通りロストしてしまったのは、故宮の設計については厳格に秘密が守られてきたからだ。すべては秘密にされて、漏らしたものがいると処刑をされた。
明朝に故宮は23万人の職人が集められ建築されたが、そのうちの1万人は仕事が雑だという理由で処刑をされ、残りの22万人は、秘密を守るために毒殺をされたという。
その故宮も現代科学者の研究が及ぶようになり、数々のロストテクノロジーが発見されるようになっている。
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