ECの返品率が高止まりをしている。女性アパレルになると80%に達することも珍しくなくなった。従来は、販売業者に戻し、検品の後、再商品化をし出荷をしていた。しかし、これには2週間ほどかかる。そこで、京東物流では、配送センターで再商品化業務を行い、4日に短縮する挑戦をしていると真故研究室が報じた。
返品率が高止まりする女性アパレルEC
EC販売される女性アパレル商品は返品率が高い。セール期のライブコマースでは返品率が80%に達することも珍しくなくなり、小規模なショップは次第にセールに参加をしなくなっている。返品率が高すぎて、大幅割引販売をするセールでは利益が出るどころか赤字になってしまうからだ。
女性服の返品率が高いのはそれなりの理由もある。ひとつはサイズの問題だ。購入してみたがサイズが合わない。返品をして、異なるサイズのものに交換をしてもらう。
また、女性服のサイズ感は微妙で、サイズとしては合っているものの、着てみると写真のようなきれいなラインにならない。自分には合わない商品だと判断し、返品をしてしまう。
また、それを見越して、複数サイズ、複数の色などのバリエーションをまとめて注文し、すべて試着してみて、気に入ったものだけを残して、後は返品をするという人も増えている。
また、注文をして、着てみて、姿見の前で写真を撮り、それをSNSにあげて、それで満足をし、返品してしまうという人も増えている。さらには、旅行などに着ていき、帰ってから、箱に戻して返品するという強者もいる。

返品商品は検査をして再商品化
返品された商品は、検品を行い、アイロンをかけ、再包装をして販売をする。そのため、ショップにとって手間は増えるものの、大きな損害になるわけではない。むしろ、返品がしやすいことで販売量が増えることを考えると、気軽に返品できる仕組みにしておくことは決して悪いことではない。
中には、検品をしたら、汚れていたりして再商品化できないという場合もあるが、このようなロスは業界で1.5%から2%程度であり、厳しいが、吸収できないわけではない。

返品プロセスにかかる時間が大量の不良在庫を生む
しかし、問題は返品プロセスにかかる時間だ。消費者が返品をし、それが運ばれてきて、検品をし、再包装をして商品化するまでに2週間ほどがかかる。女性服のシーズンはきわめて短く、ものによっては1ヶ月ほどしかないものもある。このような賞味期限の短い商品が高い率での返品をされると、シーズンが終わって不良在庫になってしまう商品が大量発生する。これがショップにとっては打撃となる。
そのため、多くのショップが、予熱セールを行うようになっている。セールの1ヶ月ほど前から、セール価格で販売するというものだ。これであれば、返品があっても、セール期間に再度商品として販売できるため、損失を抑えることができる。
しかし、今度は、実質的なセール期間が長期化をし、セールによる効果が薄れていくことになる。

返品問題に取り組む京東
この問題に、大手EC「京東」(ジンドン)が挑戦をしている。まず、ライブコマースでは、ショップ直営のライブコマースを主体とし、インフルエンサーによるライブコマースを厳選をした。
インフルエンサーは、販売数に応じて販売手数料が稼げ、返品率には関知をしない。そのため、視聴者に商品の魅力を誇張して伝える傾向があり、それが「届いてみたらイメージと違った」という返品に結びついてしまう。
そのことを各ショップに伝え、インフルエンサーごとの返品率を集計し、返品率が極端に高いインフルエンサーは起用しないように推奨した。

返品最商品化業務を配送センターが行う
もうひとつは、返品した商品を再商品化する業務を京東が請け負ったことだ。返品された商品が、京東の配送センターに送られてくると、そこで検品や再包装を行い、再商品化をしてしまう。これで、返品から再商品化までのプロセスが4日ほどに一気に短縮された。
従来は、再商品化をするまでに2週間ほどかかっていたため、その間に売れた商品については商品を仕入れなければならない。最初の2週間は、返品された商品が手元にないので、売れた分をすべて仕入れる必要がある。これが過剰仕入れにつながり、シーズンが終わった時に大量の不良在庫として残ってしまう。
しかし、京東が配送センターで最商品化をしてくれれば、5日後からは、返品された商品を出荷できるようになるため、仕入れ量を抑えることができ、最終的な不良在庫を大きく減らすことができるようになった。
ショップから見れば、京東に委託手数料を支払っても、ロスを抑えることができる。通常の返品では、1個あたり5元程度の運送費用がかかるが、京東に再商品化を委託すると1個あたり2元から3元の委託料ですみ、なおかつ5元の運送費用が必要なくなる。また、再商品化された商品は、ショップの倉庫から出荷するのではなく、京東の配送センターからの出荷になるため、配送時間も短くなる。ショップの倉庫の在庫は少なくなり、倉庫費用も抑えることができるようになる。
京東としては、無駄な配送(ショップ倉庫と配送センター間)を省くことができ、再商品化委託料が入ってくることになる。
現在、京東では、全国に7箇所の配送センターに再商品化機能を持たせ、1日3万個を処理できるようになっているが、この数を増やし、なおかつ再商品化に必要な時間を4日に短縮する努力を行っている。

次はパレット管理の改革で更なる効率化へ
もうひとつの挑戦がパレット管理だ。1つのショップが、複数のECチャンネルで販売をするというのはもはや常識になっている。この場合、商品はECごとのパレットで管理をされる。すると、Aのパレットでは返品が多く、商品が余っているのに、Bのパレットでは商品が不足して出荷ができないという状況が生まれている。
これをショップごとのパレット管理に改善しようとしている。これであれば、返品は1つのパレットに戻し、そこからすべてのチャンネルに向けて出荷をすればよくなり、商品の回転が円滑になる。
ただし、これを実現するのは簡単ではない。なぜなら、ショップによっては、異なるECチャンネルで販売をする場合に、微妙に商品が異なっていたり、価格が異なっていたり、付属物が異なっていたりするからだ。商品そのものは同じであっても、パッケージされた商品は異なっているということがある。
ここをどのようにして円滑に管理をしていくか、京東の挑戦が続いている。いずれにしても、一回着たものを返品して戻してしまうような悪質な消費者は論外だとしても、サイズが合わない、質感が違うという正当な理由での返品には対応をしなければならない。それが「ECなら気軽に購入できる」イメージをつくり、EC購入の駆動力になっているからだ。返品をさせないではなく、返品されても効率的に運営ができる仕組みを、京東は構築しようとしている。
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