購入した航空券が知らない間に勝手に払い戻され、安くなったチケットに買い直されるという不思議な現象に対する苦情が増えている。旅行社が、差額を利益にするために行っている疑いがあると南方都市報が報じた。
自分のチケットが勝手に払い戻される謎現象
航空券は、航空会社のサイトから直接買うのではなく、旅行アプリから購入することが多くなっている。複数の航空会社のチケットから比較をして選ぶことができるからだ。
上海に住む林さん(仮名)も、ある旅行アプリから、吉祥航空の上海ー長白山の航空券を2枚購入した。1人あたりの金額は1251元だった。
多くの人が航空券を購入すると、「航旅縦横」アプリに航空券を登録する。どの航空会社の航空券でも登録ができ、出発時間の変更があった場合も通知をしてくれる。当日は、航旅縦横アプリでQRコードを表示して搭乗することができる。記録も残してくれると便利だからだ。
林さんも航旅縦横アプリに登録をすると、出発の3日前、突然、航空券が勝手に払い戻されたことが通知された。驚いて、元々航空券を購入した旅行アプリのマイページを開くと、航空券はちゃんとある。林さんは、何かの間違いだと思って、再び、航空券を航旅縦横アプリに登録しなおした。すると、そこには価格が770元と表示された。最初の1251元から大きく下がっている。

高いチケットが払い戻され、安いチケットに買い直される
林さんは、最初の1251元を支払っただけで、それ以外に返金は受けていないし、追加で料金を支払っているわけではない。チケット料金が安くなっても、座席のクラスや付帯サービスは同じだ。何も被害はないので、そのまま搭乗すればいいとも考えたが、不安になって、旅行アプリの運営元に問い合わせをした。すると、運営元ではスタッフの操作ミスで元の航空券が無効となってしまい、再度購入をした。時期が異なるので価格が異なっている場合がある。差額に関しては返金の手続きを取るというものだった。
旅行会社が差額を儲けているのではないかという疑い
同様の苦情は増え続けていて、これは旅行会社が、航空券の価格が変動をすると、すでに販売した航空券を顧客の了解なく勝手に払い戻しをし、安くなっている航空券を再購入し、その差額を稼いでいるのではないかと疑われている。
航空券は、ダイナミックプライシングが浸透をしている。当初は正規料金に近い価格で販売されるが、出発日が近づくにつれて、座席が埋まらない場合は価格を下げていく。
各航空会社は、航空券の購入代理店に対して、価格が下がった場合に払い戻して買い直すことを暗に認めている。代理店は、価格が下がった航空券を以前の価格で払い戻して、安くなった航空券を再購入することで、差額を利益にすることができる。
この仕組みがあるために、当初、まだ価格が高い航空券も、将来の値下がりを予想して、原価ギリギリあるいは原価割れ価格で販売することができ、航空会社は航空券を早めにさばくことができる。いわゆる持ちつ持たれつの関係だ。
業界の内部操作に気づき始めた消費者
このプロセスは、実際に航空券を購入した消費者には知らされることはない。それでも同じ航空券が手元にあるのだから、気づく人は少なかった。苦情があった場合は、操作ミスだと主張して、差額分を返金することで対応してきた。
しかし、消費者の中から「差額の3倍を賠償すべきだ」と主張する人が増え、トラブルになっている。中国消費者権益保護法第55条1項には、販売側が詐欺行為を行った場合は、3倍の賠償をしなければならないと規定されているからだ。
中国政法大学知的財産権センターの趙占領研究員は、南方都市報の取材に応え、詐欺行為にあたり、3倍の賠償をする必要があると指摘した。「詐欺行為とは、販売者が真実を故意に隠したり、虚偽の情報を伝えることを指します。今回のケースでは、消費者は知らない間に航空券が払い戻しされ、買い直されましたが、その事実は消費者に通知されませんでした。故意に事実を隠蔽したのであれば詐欺行為にあたります」。
ただし、現実に賠償金を請求できるかどうかは難しいとも言う。「システムの不具合、スタッフの操作ミスで払い戻しがされたと主張されると、販売側は、顧客の損失を回復しただけであり、その事実を伝えないのは不誠実かもしれませんが、詐欺行為とは言えなくなります」。
急増する航空チケット関連の苦情
消費者の苦情を受け付けるポータルサイト「黒猫投訴」(https://tousu.sina.com.cn/)では、2024年の苦情状況をまとめた統計を発表した。OTA(Online Travel Agent、オンライン旅行社)に対する苦情は17.4万件となり、前年よりも7.13%増加している。特に航空関連の苦情は3.9万件となり、前年比56.18%増と急増している。特に低価格の航空券の苦情が多くなっている。
業界関係者は、航空券を買う場合は航空会社の公式か、大手のオンライン旅行社を利用することを勧めている。